9話 四つ目の調査結果

 ――原因不明の大虐殺


 ――謎の遺言


 ――『ゴールデン・レコード』


 そして、事件を解決するために、『ゴールデン・レコード』を解析することになったこと。


「で、数日間一人で解析していたってわけ」

「……」

「でも、流石にそろそろ一人で解析するのはきついなーって思って、お兄ちゃんに研究チームの発足許可をお願いしてたってわけ」

「…………」

「……もしもーし、キアン君?」


 リズは、固まっているキアンに向けて手を振る。

 キアンはやっと我に返った。


「すみません……ちょっと衝撃的で……」

「うん、私も最初聞いた時そうだったよ」


 ――にしては落ち着きすぎですけどね


 キアンは、そう思ったが、流石に言葉にはしなかった。


「それで……さっきの手紙は、謎の円盤、『ゴールデン・レコード』を解析するチーム発足の許可が降りたということですね?」

「そうそう‼️」

「そして、この『ゴールデン・レコード』については、何一つ分かっていないので『みたい』と言ったわけですね」

「そう‼️ さすがキアン君‼️」


 リズは拍手してキアンを褒め称えた。


 傍から見たら馬鹿にしているように見えるかもしれながい、これはいつものことなのでキアンはもう慣れている。


「でもね、本当に全くというわけではないよ。一応私が調べた結果としてはこんな感じ」


 そう言って、先程ペンを走らせていた板をキアンに見せた。


『一、ゴールデン・レコードは二つある』


『二、模様だらけの円盤と、溝だらけの円盤』


『三、大きさは三〇』


 それを読んだキアンは顔を歪め、第一声――


「なんとも……初歩的ですね」

「あー、馬鹿にしてないそれー?」


 キアンはリズに詰め寄られ、慌てて謝罪した。


「すみません、訂正します。

 何も分からない中で三つも新しい発見をするなんて、やっぱりリズ学師はすごいです」

「……馬鹿にしてるね」


 キアンはもう何も言えなくなってしまった。


「まぁでも、今から四つになるんだけどね」


「はい?」

「キアン君がもう一つ増やしてくれるでしょ?」


 キアンはそう言われて、リズがどうして自分をチームに入れたのか分かった。


「……私の目ですか」

「そっ‼️」


 キアンの目には、特殊な能力がある。

 それは、『対象物質の情報を読み解く』ことである。

 石を見れば、石の成分を。

 木を見れば、木の成分を読み解く事ができる。

 研究を生業にする誰もが羨む能力である。

 しかし、そんな破格の能力にもいくつか欠点があり――


「あんまり多くの成分が混ざりあってないといいのですが……」


 読み解く物質に多くの成分が含まれていると、正確に全てを把握することができない。


「なんかヤバそうだったら途中でやめていいからさ、お願いね‼️」


 リズはそう言って、『ゴールデン・レコード』の、模様が書かれている方を渡した。

 キアンはため息をつきながら、サングラスをとった。


「それでは、失礼します」


 そう言って、リズから円盤を受け取り、観察を始めようとすると――

 リズはキアンの瞳をまじまじと見つめていた。


「……どうしました?」

「いつ見てもきれいな瞳だよね、その目。星空みたい」

「ありがとうございます……」


 キアンは少し恥ずかしそうにし、改めて円盤の観察を始めた。

 まずは円盤をぐるりと見つめ、散りばめられた模様を見つめる――


「……どう? 気分悪くない?」

「今のところは……すみません、少し集中します」


 キアンは円盤に近づき、よりじっくりと観察をする。

 

 そして、目を閉じ、サングラスをかけ直した。


「大丈夫?」

「ええ……とりあえず、見えたものだけ書きます」


 そう言ってキアンは板にペンを走らせる。



 二つの単語を――


 

 アルミナ――


 不明――

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