第一部 ファースト・コンタクト

1話 凶報、舞い込む。

「ミオ司令官‼️」


 オーウェン共和国、軍司令部の一室にて。

 ダークエルフのニーヴ・モナハンが青ざめた様子で部屋に入ってきた。


「どうした」


 東部総合司令官の獣人、ミオ・カリガラインは慌てること無く、ニーヴに聞き返した。


「サッチ王国にて虐殺の兆候が見られます」


 その報告に、ミオは堪らず眉をひそめた。

 ニーヴは平静を保とうとしているが、明らかに動揺していた。


「確かか?」

「はい、信頼できる内通者からの報告と、見張りの兵士からほぼ同時に報告が入りました」


 ミオは短くため息を付き、ニーヴに言った。


「……分かった。予定通り魔法部隊と、科学部隊を国境に展開してくれ」

「はっ‼️」


 ニーヴは急いで部屋を出ていった。

 ミオは席から立ち上がり、上着を手に取った。

 ふと窓外を覗くと、遠方に煙が上がっているのが見えた。

 その方角は、隣国のサッチ王国なのは、司令官のミオには一目瞭然だった。


「結局、止められなかった……」


 上着を羽織、ミオは部屋を出ていった。

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