第2部:第4話 悲劇の連鎖
イモータルの幹部であるソルから、レオン博士とその恋人マーガレットに関する衝撃の事実が明かされる。
「マーガレットは、生まれながらにして高い霊性を持つ特殊な能力者だったんだ。彼女の力は、人の心を癒やし、時に奇跡をも起こすと言われていた…」
ソルの語る真実に、雛とエヴァは息を呑む。
「だが、数年前のある事故で、マーガレットは肉体の大部分を失ってしまう。普通の人なら、そこで人生の幕を閉じることになるだろう。けれど、レオン博士は違った。彼女を救うために、とてつもない決断をしたのさ」
レオン博士が選んだ道は、マーガレットの意識をデジタル化し、機械の体に宿すことだった。
「博士はマーガレットを失いたくなかった。だから、彼女の意識データをサーバーに保存し、いつか再び現実の世界に連れ戻すことを夢見ていたんだ」
けれど皮肉にも、その決断がマーガレットを危険な運命に晒すことになる。
「レオン博士の研究を知ったイモータルが、マーガレットの意識データに目をつけたのさ。人の心を自在に操れるその力を、兵器として利用しようと考えたのだ」
ソルの告白は、イモータルの非道さを浮き彫りにしていた。
「つまり、マーガレットは自分の意思に反して、イモータルの実験体にされてしまったってことね…」
雛が震える声で言葉を紡ぐ。
「ああ。イモータルはマーガレットの意識データを、次々と新しいアンドロイドに移植しようとした。けれど、彼らの技術では彼女の強すぎる意識を制御できない。だから、移植に失敗する度に、マーガレットの意識は分断され、弱まっていったんだ…」
非情な運命に翻弄され続けるマーガレット。その悲劇に、エヴァの拳が震える。
「なんてひどい話なの…マーガレットは、どれほどの苦しみを味わったことか…」
エヴァもまた、雛と同じ感情を抱いていた。
「俺は…どうしてもマーガレットを、この地獄から解放してやりたい。レオン博士に頼まれたこともあるが、それ以上に、彼女を救うのが俺の責任だと感じているんだ」
ソルの言葉からは、強い決意が伝わってくる。
「私たちも全力で協力するわ。マーガレットを犠牲にするなんて、絶対に許せない」
雛も心から同意する。
「本当に助かる。雛、君の催眠術があれば、マーガレットの意識を現実世界に呼び戻せるかもしれない。そして、長年の苦しみから解放してあげられるはずだ」
「ええ、私にできる限りのことをするつもりよ。人の心に寄り添うこと。それが私の催眠術の基本理念なのだから」
雛の思いに、エヴァも力強く頷く。
「私には武器に関する知識があります。その知識を活かせば、マーガレットの意識データがどのような技術で作られたのか、解明できるかもしれません。そうすれば、彼女を現実世界に呼び戻す手がかりが見つかるはず…!」
「エヴァ…!心強いわ。私たち三人の力を合わせれば、必ずマーガレットを救い出せる。そう信じましょう」
雛に言われ、ソルとエヴァも深くうなずいた。
事件の発端が、レオン博士とマーガレットの悲恋にあったとは…。しかし皮肉にも、その悲劇こそが、雛たち三人を新たな希望へと導こうとしていた。
ソルの案内で、雛とエヴァは極秘のサーバールームへと辿り着く。そこは、イモータルに奪われたマーガレットの意識データが眠る、まさに希望と絶望の狭間とも言える場所だった。
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