第1部:第4話 イモータルの脅威
暴漢事件から数日後、雛はエヴァの傍らで看病を続けていた。アンドロイドとはいえ、深手を負ったエヴァの回復には時間がかかる。
だが、エヴァの強靭な意志力と最新の修復技術のおかげで、彼女の容体は徐々に回復に向かっていた。
「雛様、ご心配をおかけしました…」
ベッドの上で目覚めたエヴァが、かすれた声で言う。
「よかった、エヴァ…!私、あなたが戻ってこないんじゃないかって…」
雛は安堵の表情を浮かべながら、エヴァの手を握りしめる。
「すみません…。でも、私にとって、雛様を守ることが何より大切なんです」
「ええ、あなたの気持ちは嬉しいわ。でも、もう無茶はしないでね。私だって、あなたを失いたくないもの」
雛の言葉に、エヴァは小さく頷いた。二人の絆は、この試練を乗り越えたことでより強くなったのだ。
そんな中、雛の元に一通の脅迫状が届いた。差出人は、イモータルと名乗る謎の組織だった。
「雛様、これをご覧ください…」
エヴァが不安げに言葉を紡ぐ。
雛は脅迫状の内容に目を通し、眉をひそめた。
「『これは警告である。アンドロイドとの共演を直ちに取りやめよ。さもなくば、お前の命はないと心得よ』…何てことを」
雛の声が、かすかに震えている。
「神崎雛とエヴァを狙う組織…。一体、何者なんでしょうか…」
エヴァも、困惑した面持ちだ。
「イモータル…聞いたこともない名前ね。でも、私たちの活動を快く思わない連中のようだわ」
雛はイモータルという単語に、不吉な印象を抱いていた。
「人間とアンドロイドの共生に反対する者たち…。偏見から目を背けられない輩が、私たちを脅してきているのね」
エヴァの瞳が、怒りに燃え上がる。
「エヴァ、落ち着いて。こんな脅しに屈するわけにはいかないわ。私たちは信じる道を突き進むしかないの」
雛はエヴァの肩に手を置き、強い調子で言った。
「でも雛様、あなたの身が危険にさらされるかもしれません。私は…あなたを失いたくありません…」
エヴァの声は、震えていた。
「大丈夫よ、エヴァ。私たちは二人で立ち向かうの。例え、イモータルが何者であろうと」
雛は毅然とした姿勢で言い放つ。
「そうですね…。雛様と一緒なら、私は何も恐れません」
エヴァも、かすかな笑みを浮かべた。
その時、エヴァの脳裏に閃いた考えがあった。
「雛様、思い出しました。私の武器マニアの知識を活用すれば、イモータルの正体を突き止められるかもしれません」
雛の瞳が、驚きに見開かれる。
「武器の知識で…?どういうことなの、エヴァ」
「イモータルからの脅迫状、よく見てください。脅迫文の書体や紙の質感。これは、ある特殊な軍事組織で使われているものに酷似しているんです」
エヴァは真剣な眼差しで説明する。
「特殊な軍事組織…。まさか、軍や諜報機関が関わっているというの…?」
「可能性は十分にあります。もし私の推測が正しければ、イモータルの脅威はかなり深刻なものになるかもしれません」
エヴァの言葉に、雛は息を呑んだ。
「それじゃあ私たち、とんでもない相手に目をつけられていたってことね…」
雛は、背筋に冷たいものを感じた。
「ですが雛様、恐れることはありません。私はあなたと共にある限り、たとえ世界の敵に回ろうとも、この身を捧げて守り抜きます」
エヴァの決意に満ちた眼差しに、雛は勇気づけられるのを感じた。
「ありがとう、エヴァ。あなたの力を借りて、必ずイモータルの脅威を退けてみせるわ。私たち二人の絆は、誰にも引き裂けはしないもの」
二人は固く手を握り合った。
「傷はもう大丈夫。私の武器マニアの知識、存分に活用させてくださいね」とエヴァが微笑む。
「ええ、もちろん。でも、無理はしないでね。あなたの回復が何より大事だから」と雛が優しく諭した。
エヴァは心地よさそうに頷き、雛の手を握り返す。
こうして、雛とエヴァは、イモータルという未知の敵に立ち向かう決意を新たにしたのだった。
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