BrassBand

20XX年。教育委員会は、「児童の健康、安全な身体かつ、有限な時間の保護のため」として、国内全域で学校での吹奏楽を禁止した。

詳細な理由として

「明らかに過度な練習の停止、生徒への過剰なストレス緩和」

そして

「児童の有限な時間を有意義に活用するため」

だ。

違反すればその者の「音を奏でるもの」が壊される。

それは笛か、ラッパか、太鼓か、はたまた他の何かか…。

世の中のほとんどの人は無関心、一部学生時代に嫌な思いをした人々が大絶賛、そして、青春のすべてをかけた大人は大反対、そんな中、青春のすべてをかけている最中だった子供たちはというと…。

“特殊武装団体 BrassBand”

となっていた。

自分たちの音楽を守るため、音楽は無意味な時間なんかでは無いことを証明するため。“自分たちなりの最善の方法で”戦う、18歳未満の武装集団。BrassBandと教育委員会の戦いは日々白熱し、死者は出さないものの、怪我人はいつものこと。

死者が出ない理由だって、

殺したいのに殺す勇気の出ない子供

殺したら罪に問われる大人

が戦っている。

それだけの話だ。


そんな中、BrassBandで唯一、味方にも、相手にも後遺症の残る怪我人がいない隊があった。

強く、気高く、そして優しい

海と山に囲まれた、自然豊かな地域。川のせせらぎと子供の笑い声が響き渡る、そんな街に、その隊はあった。

みどりに囲まれた、四角い校舎。その四階、海の見える音楽室。

そこが、この隊の本拠地。

牡丹高校 合唱部

吹奏楽部無き今、音楽に触れていたかった彼らは、合唱部を作り、週に1度の練習で音楽を楽しんでいる――――――。

―――と教育委員会は思っている。

牡丹高校 BrassBand第3部隊 blooming flowers

それが、牡丹高校吹奏楽部の本当の名前だ。

味方には傷つけない方法を。相手には報いと手当を。

Brassbandでは珍しい、「殺す意思のない」隊だ。

自分たちから音楽を奪おうとすることは許さない。

でも、自分の目的のために「死」という恐怖によって相手を押さえつけるのでは、

「罪」で自分たちを縛り付ける教育委員会と同等だ。という考えからだ。


そんな第三舞台に、一人の新入生が入隊した。


「…ここなら、あいつらを、ぶっ倒せますか?」


天波 音。壊れた楽器を片手に、暗い目で入ってきたその気迫に、blooming flowersは―――――――――――。

「入隊希望!?ほんと!!楽器は…ああ、そのくらいうちのリペアマンが直してくれるよ!それより、ほんとに入隊してくれるの?とりあえず入って入って!!」

―――――超絶歓迎ムードだった。

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