第21話 女神との出会い
比較的開けた場所に建てられているため、日当たりが良く、太陽の光を浴びることができるのです。
また地面は土で覆われており、雑草なども生えていないため、非常に歩きやすい環境となっていた。
近くに川があるわけではないようだが、 水はけが良いのだろうけど、
地面は比較的湿っているように思えるのです。
周囲は静寂に包まれており、時折聞こえてくる鳥のさえずりだけが唯一のBGMになっていたのです。
しばらく周囲を散策してみたものの、特に変わった点はないように思えたのです。
しかし、油断はできないと思い直し、気を引き締め直すことにしたのです。
それからさらに奥へと進んでいくと、小さな洞窟を発見したのです。
入り口はかなり大きく、人が一人通れるくらいの幅はあったのです。
中を覗いてみると、真っ暗闇が広がっているだけだったのです。
どうやら、奥に続いているようです。
恐る恐る足を踏み入れてみたものの、中は思った以上に広大で驚いたのです。
天井も高いため、圧迫感はあまり感じませんでしたが、
それでも不安になってしまうほどの広さがありました。
奥の方に目を向けると、うっすらと光が見えるような気がするのです。
もしかすると、あそこに何かあるかもしれないと思った私は、意を決して進んでみることにしました。
しばらく歩くと、広い空間に出たのです。
そこには、巨大な石像が置かれていたのです。
大きさは10メートルほどもあるでしょうか、見上げるほどの大きさです。
一体何のために作られたものなのかわかりませんが、
少なくとも人間が作ったものではないことは確かだと思います。
よく見ると、その石像には顔が彫られているようなのです。
目を凝らして見てみると、そこには見覚えのある顔があったのです。
驚きのあまり言葉を失ってしまったのです。
何故なら、その石像の顔は、私自身の顔そのものだったからなのです。
一体どういうことなのかわからず混乱していたところに、突然声が聞こえてきたのです。
その声は、頭の中に直接響いてくるような感覚です。
声に導かれるようにして意識を集中させると、
やがて目の前に一人の人物が姿を現したのです。
その人物は、全身が白いローブのようなもので覆われていて、
顔はフードに隠れていてよく見えませんでしたが、
声を聞く限り女性のように思えたのです。
彼女は、私に向かって話しかけてくるのです。
「こんにちは、私は女神ルシリスと申します」
そう言って丁寧にお辞儀をしてきた彼女につられて、私も慌てて頭を下げたのです。
すると、それを見た彼女が微笑みながら言うのです。
「ふふっ、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ?
ここには私と貴女しかいませんから安心してください」
そう優しく語りかけてきたので少しホッとしたのです。
そこで思い切って質問してみることにしました。
「あの、ここは一体どこなんでしょうか?」
そう尋ねると、彼女は困ったような表情を浮かべて答えてくれたのです。
「ごめんなさいね、実は私にもわからないのよ」
それを聞いて不安になった私が黙り込んでしまうと、
彼女は申し訳なさそうにしながらこう続けました。
「ただ、ひとつだけ言えることがあるとすれば、
ここは貴女がいた世界とは別の世界だということよ」
それを聞いて唖然としてしまったのですが、同時に納得もしていました。
何せ、目の前にいる女性がどう見ても普通の人間とは思えない外見をしていたからです。
明らかに普通ではない存在であることは間違いありませんし、
それが何よりの証拠でしょう。
そんなことを考えているうちに、再び話しかけられたことで我に返ることになりました。
「さて、そろそろ本題に入りましょうか」
そう言うと、彼女は私に問いかけてきました。
それはまるで尋問のようでした。
こちらが質問に答えるまでは絶対に逃さないといった強い意志を感じました。
仕方なく正直に答えることにしました。
私が語り終えると同時に、彼女の口から大きな溜息が出ました。
そして、呆れたような表情でこちらを見てきます。
「はぁ……まったく困った子ですね……」
呆れた様子で呟く彼女に対し、反論することもできず黙って俯いていると、今度は別の質問をされました。
「あなたの名前は何ですか?」
その問いに答えた直後、またしても深い溜息をついてきました。
その様子を見て、何だか申し訳ない気持ちになりましたが、
だからと言ってどうすることもできない以上、どうしようもないわけです。
諦めて次の質問を待つことにしました。
次に聞かれた内容は至ってシンプルなものでした。
その内容とは、私の職業についてでした。
それについて説明すると、またもや大きな溜息をつかれてしまいました。
その理由については何となく想像がつくのですが、あえて触れないようにしています。
下手に追及すれば藪蛇になる可能性もあるからです。
それよりも、もっと気になることがあったので聞いてみることにしました。
それは、何故このような状況に陥れられたのかということです。
そもそもの話、私はごく普通の貴族に過ぎないのですから、
わざわざ呼び出す必要などないと思うんです。
何か特別な理由でもあるのでしょうか?
それとも単なる気まぐれなのか、あるいは他に理由があるのか、
色々と考えを巡らせていると、ふとあることを思いついて、つい口に出してしまっていたのです。
その瞬間、目の前の人物の表情が一変したのです。
先程までの穏やかな雰囲気が消え去り、代わりに冷たい視線が突き刺さるようになったのです。
その表情を見た途端、背筋がゾクッとする感覚に襲われたのです。
それと同時に恐怖心が込み上げてくるのを感じたのですけど、
本能的に危険を察知したのか、無意識のうちに後ずさりを始めてしまっていたのです。
その様子を見た相手の表情は変わらないままであったが、目だけは笑っていなかったように思うのです。
その瞳の奥に宿った光は鋭く研ぎ澄まされており、獲物を狙う狩人のような鋭さを感じさせたのですが、
その視線に晒されるだけで生きた心地がしなかったのです。
心臓が激しく脈打ち、呼吸が荒くなるのがわかるのですが、
額からは冷や汗が流れ落ち、手足は小刻みに震えていたのです。
「女神ルシリス、そういえば、グレオスハルト様は?」
「ああ、彼なら今頃、城にいるはずよ、心配しないでちょうだい、ちゃんと許可を取ってあるから」
その言葉にホッと胸を撫で下ろしつつ、改めて周囲を見渡してみると、確かに誰もいない様子です。
そのことを確認した上で、改めて彼女に向き合うと、真剣な眼差しを向けて問いかけることにしたのです。
「それで、話っていうのは何でしょうか?」
そうすると、彼女は小さく息を吐き出すと、ゆっくりと口を開いたのです。
「単刀直入に言うと、あなたにお願いしたいことがあるのよ」
その言葉を聞いた途端、嫌な予感を覚えましたが、
今更断ることなどできそうにありませんでした。
なので、覚悟を決めた上で話を聞くことにしたのです。
まず最初に聞かされた内容としては、この世界に存在する四つの国についての説明です。
それぞれ、王国、帝国、聖教国、魔国の四カ国が存在していて、
それぞれの国同士が対立関係にあるそうです。
中でも一番大きい勢力を持つのは、もちろんのこと、この国である王国なのです。
ちなみに現在、この国を治める女王の名は、ミレーユ・エリュシアーナといい、
かなりの美人さんなのです。
他にも他の国々についても簡単に教えてもらったけど、
あまり興味がなかったこともあり、ほとんど聞き流していたのです。
悪役令嬢は複数のスキルと最強の称号の持ち主~しかし、イケメンには弱い彼女~ 一ノ瀬 彩音 @takutaku2019
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