第7話 隣国との戦争
翌朝、目が覚めると隣に人の気配を感じたのでそちらを見ると、
なんとグレオスハルト様が隣で寝ているではありませんか!
驚いた拍子に思わず飛び起きてしまいましたけれど、よく見ると彼はまだ眠っているようです。
その証拠に規則正しい呼吸音が聞こえてきますから。
それにしてもどうしてこんな状況になっているのでしょうか?
不思議に思って考え込んでいますと不意に声をかけられました。
驚いて振り返るとそこには彼がいて、私をじっと見つめているではありませんか。
これは一体どういうことでしょう?
状況が飲み込めず混乱していると、グレオスハルト様は微笑みながらこう言いました。
「おはよう、リアンシューベレナ」
その声を聞いた瞬間、顔が熱くなるのを感じていましたが、
何とか平静を装って返事をすることにしました。
「おはようございます、グレオスハルト様」
そう挨拶を返すと、彼は満足そうに頷いてくれました。
その様子を見てホッと胸を撫で下ろしていると今度は彼から質問されましたので
答えさせていただきましたところ、どうやら昨日の記憶がないらしく
困惑している様子でしたから教えてあげることにしたんです。
そうしたら納得してくれたようで安心しました。
それから朝食を済ませた後、グレオスハルト様の案内で街へと出かけることになりました。
なんでも今朝方、お父様から伝言が届いたそうでして、内容は二人で街を散策してくるようにということでした。
なんでも近々大事な会議が行われるらしく、その時に私たち二人を引き合わせたいと仰っているようです。
ですからこれはチャンスだと思い、思い切ってお誘いしてみたのですけれども
快く了承してくださったので嬉しくなってしまいました。
そうして私たちは手を繋ぎながら歩き始めますと、
すぐに街の人たちからの注目を浴びるようになってしまいました。
「おい、見ろよあれ」
「ああ、すごい美人だ」
そんな声が聞こえてくる度に恥ずかしくなりますけれど、同時に誇らしくもあるのです。
だってグレオスハルト様は私の婚約者なんですもの、これくらい当然ですわよね?
それからしばらく歩いたところで、あるお店の前で足を止めました。
そこは装飾品を取り扱っているようでして、店内に入ると様々な商品が並んでいましたので目移りしてしまいました。
そんな中で一番気になったのは指輪でした。
それは金色に輝く美しいものでしたから思わず見とれてしまったのですが、
ふと我に返ると隣にグレオスハルト様がいることを思い出し慌てて目を逸らしますと
今度はネックレスが目に入ったのでそちらを手に取ることにいたしました。
その次にブレスレットを見た後、最後は髪飾りを購入することに決めて
会計を済ませた後店を出ると再び歩き始めました。
その後は特に目的があるわけでもないので適当に散策していると
やがてお腹が空いてきたため食事をすることに決めまして適当な店に入りました。
「いらっしゃいませ、こちらのお席へどうぞ」
案内された席に座ってメニュー表を開きますと様々な料理の名前が
書かれていましたので悩みましたが最終的にパスタを食べることに決めました。
注文を終えてしばらく待っている間にグレオスハルト様と会話を楽しんだ後、
運ばれてきた料理を食べ始めましたけれど、どれも絶品でしたから思わず感動してしまいました。
特にデザートのケーキがとても美味しくてあっという間に完食してしまいましたもの!
それから店を出た後は街を散策しつつ歩き回りましたけれど、
特に目新しいものはありませんでしたわね?
残念ではありますけれど仕方がありませんわね?
そうして夕方頃になった頃に屋敷へ戻ることにいたしました。
その帰り道でのことなのですけれども、不意に手を握られまして
驚いてしまいましたがすぐに握り返すことで応えさせていただきました。
その後はお互いに無言のまま歩いておりましたけれど、
決して嫌な感じはせずむしろ心地よいとさえ思えていたくらいですので、
ですから私はこの時間がずっと続いてくれればいいなと思っていましたし、
グレオスハルト様も同じ気持ちでいてくださっていると信じていますので、
今後とも良好な関係を築いていきたいと考えているのですけれど、
何か問題が生じるようなことがあれば遠慮なく相談させていただきたいと思います。
そしてその時は全力でサポートしていきたいと思います。
ですからどうかこれからもよろしくお願いいたしますね?
私の婚約者であるグレオスハルト様とのデートは、とても楽しいものでした。
ただ一つだけ不満があるとすれば、彼があまり私に触れてこないという点ですけれども、
これはきっと照れていらっしゃるだけだと思うことにして気にしないことにいたしました。
だって彼はこんなにも魅力的な方なんですもの、自信を持ってくださいまし!
それに私だって緊張して上手く話せなかった部分もありましたし、
お互い様ということで良いではありませんか?
それにこれから少しずつ慣れていけばいいだけの話ですし
焦る必要はないと私は思っておりますのよ?
だから今はこの時間を精一杯楽しむことに専念しようと思うのです。
そう決意を新たにしながら歩いているうちに屋敷に到着しましたので
そのまま中に入っていったのですが、そこでふと思い出したことがありましたの。
それは、お父様が私たちを呼び出した理由についてですけれど、
グレオスハルト様なら何か知っていらっしゃるのではないかと思ったので聞いてみることにしました。
そうすると、案の定心当たりがあるとのことでしたから詳しく聞かせていただくことにしたのですけれど、
その内容というのが、どうやら近々行われる会議に関することでした。
なんでもその会議では、隣国との戦争についての話し合いが行われるそうでして、
それに伴って私たちにも協力して欲しいことがあると仰っているらしいのですけれど、
具体的な内容についてはまだ何も聞かされていないそうです。
ですから余計に気になってしまっているんですけれどもね?
まあ今は考えても仕方がありませんから一旦置いておくことにしましょう。
「それよりも、そろそろ夕食のお時間になりますし、食堂へ参りましょう」
そう言って彼の手を取り歩き始める私でしたが、
その時ふとあることを思い出しまして立ち止まりました。
というのも今朝方、お父様から伝言が届いた際にグレオスハルト様宛の手紙も同封されていたことを思い出したからです。
ですから早速彼にお渡しすることにいたしました。
受け取った後、その場で開封して読み始めたのですが、
その表情を見る限りでは特に変わった様子はなかったように思えますし、きっと大丈夫でしょう。
そう判断した私はそのまま食堂へ向かうことにいたしましたのでした。
そして食事を終えた後は自室に戻って休むことにいたしましたので、
すぐにベッドに入り込み眠りについたのですけれど……その翌日になってとんでもないことが起こったのです。
それはなんと、隣国との戦争が始まったというではありませんか!?
これには本当に驚きを隠せませんでしたし、同時に不安にもなってしまいましたけれども、
今はただ祈るしかないと自分に言い聞かせながら過ごしておりますれば幸いです。
それにしても一体どうしてこんな事態に陥ってしまったのでしょうか?
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