第3話 お試し同棲1日目のパート1

こちらを読んでいただいている方は驚かれるかもしれないが、婚活物語の本編開始からいきなり同棲なのである。

ここに至る経緯は追々記載することになるだろう。


少し前の私達の関係は、分かり易いマンネリであった。

これは婚活に関しては必ずしも悪くはないと考えている。なぜならば、婚活においてどちらかにその気がないならば、あっさりと、これまたビックリするくらいあっさりと、関係が終わるからである。

なのでマンネリとはいえお互い会うということは、何だかんだで両者前向きではあるといえる。


どちらが先に切り出したのか分からないが、私たちの関係をより発展させるには、一緒に住んでみるしかないという結論に至った。

とはいっても、ある時からいきなり週7で同棲するのはお互いに負担が大きことが予想された。

なにせ私はこれまで同棲経験が一度もなく、20年以上独り暮らしだったからだ。

なので、まずはお試しとして週1回(金曜夜から土曜の夜まで)、私がいんちょさんの家にお泊りすることになった。


少し前の金曜日、在宅勤務後、私はいんちょさんの家に向かった。

電車で20分、ドアツードアで40分で到着出来る距離に住んでいたことは神様か何かに感謝するしかない。

既に数回、お部屋にお邪魔した事があるので迷わず部屋にたどり着けた。

その日はいんちょさんも在宅勤務だったようで、夕食を作りながら私を待っていてくれた。

ベルを鳴らしドアが開いた瞬間、今日の夕食が何なのか分かった。

誰がどう考えてもカレーだった。


いんちょさん(海外出身の非インド系)もカレーを食べるんだねと伝えたら、カレーは好きよと答えた。

キッチンを覗くと、フライパンの中に日本風のカレーがあった。

カレーをフライパンで作ることと、日本風のカレーだという事に少し驚いたが、その事は触れなかった。

早速いんちょさんに盛り付けをしてもらい食べ始めた。

辛さが強くなく、そう言えば辛いのは苦手だった事を思い出した。

美味しく食べられた。


何だかんだしているうちに、それなりに遅い時間となり、お風呂に入ることになった。

いんちょさんには先に入ってもらった。

お風呂といってもいんちょさんは湯船に入る習慣はないのでシャワーなんだけれども。

いんちょさんが終わり私の番になったとき、湯船に入りたいかと聞いてくれたが、私もシャワーで良いよと答えた。

初めて普段着ではない寝巻き姿のいんちょさんが目の前に現れて、何となく見てはいけない気がして目をそらしたが、微かな石鹸の香りは私まで届いた。

きっと普段よりも無表情で浴室へと向かったと思う。


いんちょさんは22時にはいつも寝ているらしく、そんな時間は直ぐにきてしまった。

この部屋にはお母さんが来るときもあるらしく、その時使っている布団を使わせてもらうことにした。

少し広目の部屋に住んでいるので、お互い仕切り一枚隔てた別のスペースに寝る準備を整えた。

23時も過ぎた頃、いんちょさんの寝息が届きはじめた。

私はというと、眠れる気がしないなと布団の中でスマホをいじっていたが、いつも寝ている0時くらいにはあっさり眠てしまった。

そして朝を迎えた。


何事もなく。



























  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る