謎の魔物

カメラで周囲を撮っていく


「特に足場が不安定な場所は無さそう」


ゼラは周囲を歩いたり軽く叩いて地面を確認する

特に崩れそうな場所は見つからない


「それでは写真だけ撮って次に行きましょう」

「そうだね」

「魔物来ない〜」


近くにいた魔物を倒し切り暇をしている

(ここは比較的安全な場所かそれとも……)

ルナルールスを見る

出てきた魔物の数少ない

強い魔物が居るから出てこないという可能性もある

写真を撮り終えた後、他の地点に向かう


「付近に強い魔物は?」

「特に居ない〜」

「居ないなら安全に進められる」

「大抵の魔物なら私が倒せるけどねー」

「そうだね」


次の地点に着く

魔物の群れが居る

ルナルールスは手を振るい糸で切り裂く

見えない糸は視認出来ず素早く襲いかかる

硬くとも両断する

戦いは一瞬で終わる

カメラを起動して付近の写真を撮る

ゼラはまた地面を確認する

近くにある空き家を見る

戦闘の跡でボロボロだがまだ原型が残っている


「これ何?」


ルナルールスが隣に来て空き家を指差す


「人間が住んでいた場所」

「へぇ洞窟とかじゃないんだ」

「人類住める程洞窟は多くないからね」

「なんでこんなボロボロなの?」

「もう人が住んでいないから、手入れが一切されてない」


魔物エリアは5年前の大災厄以降、人間の手から離れている

空き家などはボロボロで住めなくなっている


「ふーん、まぁ魔物が住む場所に住めないよね〜」

「今住んでる場所も安全とは限らないけどね」

「あぁ、ダンジョンの出現場所だね」

「そうだよ」


ダンジョンは何処に湧くかその法則は全く分かっていない

突然現れるのだ

その為都市内部が完全に安全であるとは限らず騎士団や警察が徹底して見回りをしている

ダンジョンが現れた時すぐに対応出来るように


「内部に出てきたら不味くない?」

「魔物が溢れ出したら危険、まぁその前に騎士団長辺りが攻略に出ると思うけど」

「彼女なら余裕だねぇ」

「こちらからすると君のダンジョンが内部に出現しなくてよかったよ」


ルナルールスは魔物を周囲から集めていた


「数増えるし余裕じゃない?」

「一箇所に集まるなら、戦力を分断されると弱い所から攻め落とされる」


ダンジョンという一箇所に集まってきていたので夢の異能や守護隊の弓使いの攻撃で纏めて倒せていた

もし都市内部に現れた場合一箇所に集まって来るとは限らない

魔物が様々な方向から来た場合、戦力を分断する必要がある

そして狭い範囲に一箇所に集まっていた為一度に戦う数はそこまで多くはなかった

広がればその分一列の魔物の量が増える

そうなれば脆いところから押し切られる


「成程〜」

「だから不運の中でも運が良かった」

「そうなんだ〜」

「次の地点行きますよー」

「分かった」

「はーい」


次の地点も問題なくさっさと済ませその次の地点で写真を撮り始める

魔物は皆一瞬で切り刻まれる

(僕要らなかった気がする)

地面を確認しながら周囲を歩く

瓦礫のある付近を歩く

丁度ルナルールスの視界から隠れる位置

ゼラはその事に気付かず歩き瓦礫のある所を超える

その瞬間空を切る音がする

咄嗟に後ろに飛び退く


「魔物!? 潜んでたか」


瓦礫の裏に潜んでいた魔物が姿を現す

2mの図体の大きい魔物、二足で武器は持っていない、黒いモヤを多く纏っている

(黒いモヤは多い。弱い魔物?)

剣を作り出して飛ばす

魔物は拳を振るい剣を殴り飛ばす


「強いな」


6本の剣を作る

2本の剣を飛ばし時間差で4本を飛ばす

魔物は避けて2本の剣の柄を握り剣を振るって4本を弾く

そして持った剣で攻撃を仕掛けてくる

すぐに剣を消滅させる


「危なっ、これはまずい」


勝てたとしても時間がかかると感じて通信機を使って夢に連絡をしようとすると魔物の拳が顔面の真横を通る

そして通信機が吹き飛ばされる

(しまっ……)

続けて拳を叩きつけてくる

2本の剣を作り出して拳を防ぐ

ビキッ

剣に亀裂が走る

後ろに飛び退く、剣が砕かれる

(走って逃げ……いや間に合うか分からない)

魔物は素早く接近して拳を振るってくる

剣で攻撃を防ぎ剣を飛ばす

攻撃を辞めて剣を掴み握り砕く

異能で生み出した剣は硬いし鋭い

それを砕く力と手の頑丈さを理解する

そして勝てないと判断する


「伏せてー」


後ろから声がする

言われた通り地面に伏せる

頭上を何かが通る

魔物は高く飛び上がり避ける

ルナルールスが異変に気付いて駆けつけた


「怪我は?」

「無い。助かった、あの魔物結構強い」

「そうだね、避けられたし」


手を振るい糸で攻撃を仕掛ける

魔物はしゃがみ糸を避ける


「もしかして〜見えてる〜?」

「糸を避けるの化け物過ぎないかな」


何度も糸で攻撃をする

糸が見えているかのように攻撃を次々と避ける


「たぶんそういう系の異能持ちだと思うよ〜見覚えは無いけど」

「無いんだ」

「知り合いじゃない。私隠れてたからあんまり知らないよ」


ゼラも剣を飛ばして攻撃を仕掛けるが剣は掴まれ砕かれる

後ろから氷塊が飛んでくる

魔物は氷塊を両手で掴み力を込める

氷塊が砕け散る

(前倒した奴より力強い)


「夢」

「大丈夫ですか? あの魔物強そうですね」

「強い。さっき糸の攻撃を避けた」

「糸を避けた……なら見えたって事ですかね。ルナあれは知り合い?」

「知らない魔物、多分回避に使える異能持ち」

「回避に……厄介」


足元から氷を発生されて地面を凍らせる

一直線に魔物まで氷の道が出来上がる

魔物の足を凍らせるが魔物が足を軽く振ると氷が砕ける

氷の礫を作り出して飛ばす

魔物は避けず拳を振るって砕いていく

糸を飛ばして攻撃をするが避けられる


「面倒」

「畳み掛ける」

「分かった」


(あれは巻き込むから使えない)

大量の氷の礫で攻撃を仕掛ける

氷柱も混ぜて攻撃をする

ゼラも6本の剣を飛ばして攻撃を仕掛ける

ルナルールスが糸を飛ばす

地面や瓦礫を切り裂いて襲いかかる

礫や剣を食らうのを承知で糸を回避する


「あれは何の異能ですかね?」

「未来視とか?」

「未来視の魔物は知ってるから違うよー」

「なら身体強化?」

「有りそうですね。視力強化も出来る異能」


刀を作り出す

(硬いと言っても柔らかい部位はある筈……首を切れれば)


「接近して首を狙う」

「了解〜」

「危ないですよ! 剣の攻撃が通じてませんし」

「相手がどんな異能か分からない。試せる事は試した方がいい」

「そうだねぇ、もしそれで異能が分かれば突破口が見つかるかもだし〜」

「わかりました。お気をつけて……無理はしないでください」

「分かってる。危なければ即引く」


2人が攻撃を畳み掛けているうちに魔物の視界外に移動する

不意をつく、どんな異能か分からないなら試せる事は試す

音も気配も無く潜む

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