守護隊

「相手は小規模の魔物の群れ、周囲には魔物は居ない」

「等級」

「4級3級クラス」

「危険」

「大丈夫、そのくらいの敵なら何度も戦ってるから」

「守護隊強い?」

「強いよ。全員異能騎士の部隊で騎士団にある部隊では最強だよ」


(噂知ってる……何故)

夜は一つ疑問に思う

すぐに質問する


「優先攻略守護2番目」

「それは違うよ」

「違う?」

「例え攻略が進み土地を奪い返したとしてもそこに住む人々が居なければ無意味なんだよ。攻略優先じゃ民を守れない」

「優先存続?」

「そうだよ。まぁ他の理由を言うなら今強い異能者は居るけれどそれだけじゃ足りない。世界中に存在するダンジョンを攻略するには時間も人材も何もかも足りない」


ダンジョンから溢れ出した魔物は未だに増え続けている

終わりは見えない

ダンジョンを攻略すればそのダンジョンから出てきた魔物は消えるがこの世界には多くのダンジョンがあり今も尚増え続けている

全てを攻略するのは現実的ではない


「足りない……」

「だから守護隊が今を生きる人々を守り新たな可能性に掛ける。世界に蔓延る魔物を打ち倒すそんな力を持つ者を……夢物語だけど」

「他生き残り居る?」

「居るよ。この国でも小規模の集団を確認出来てる。一部の騎士が接触を試みてる」


人類最後の拠点という訳では無い

世界中で小規模の集団は生き残っている

大災厄後、1年近く掛けて周囲にいた生存者をかき集めて作ったのがいま夜達が住む都市

この5年、各地に居る生存者に接触を試みている


「そろそろ着くよ」


10人が遠目で魔物の集団を確認していた

騎士団に居る騎士とは見た目が違う

騎士は統一された戦闘服を身に付けている

異能騎士は身に付けている人と別で用意している人が居る

守護隊はその戦闘服とは違う服装をしている

軍服のような服装


「隊長、彼女は?」


1人が気付いて近づいてくる

背の高い男性、大盾を持っている


「協力者、状況は?」

「報告時から変化はありません。数は15体、等級は3級10体、4級5体」

「15か。それじゃ戦おう」

「戦闘準備は整っております。我々だけで事足ります。戦闘中の周囲の警戒を提案します」

「うーん……実力確認したいんだけど、まぁいいか分かった」

「それでは集めてきます」


大盾の男性は待機しているメンバーに呼びかける

駆け足で守護隊全員が目の前に集まる

合計11名で結成されている守護隊

夜の方を一瞥する


「さて戦闘だ。侵略者共を1匹も逃さないように」

「はっ!」

「いつも通りに行くぞ」

「了解」

「魔物が来るかもしれない。速攻で片付ける」

「油断はするなよ。相手は3級だ」


9人が魔物の大群に突っ込んでいく

(異能身体強化?)

中距離系の異能を持つ者は基本的には接近をしない

ましてや突っ込む事など無い

近接では存分に力を発揮出来ない事もある


「都市の守護者の力を見る良い機会とでも思ってて」

「…………」


夜は戦いを見る

参加する気だったが精鋭揃いと言われる守護隊の実力は気になっていた

残っている1人が弓を取り出して矢を持たずに構える

すると青白い矢が現れ放つ

魔物の頭上まで矢は飛び青白い光が散る

散った光は大量の矢に変わり魔物に降り注ぐ


「掘り出し物?」

「そうだよ。3級ダンジョンで見つかった弓、青白い矢は無限で強力な一撃を放つか力を分割した複数の矢を放つか降り注ぐ矢にするか」


ダンジョンから見つかった装備は掘り出し物と呼ばれている

大災厄以前から使われていた呼び方


「強い」

「複数の矢でも弱い魔物なら貫く位の力はあるから本当に強い」

「異能使わない?」

「彼女は使わないね。本人曰く余り強くない異能らしいよ。守護隊唯一の後衛」


矢が降り注ぎ魔物に矢が刺さる

しかし、倒せない

相手は3級の魔物、その程度は予想通りすぐに次弾を構える

守護隊員はそれぞれの武器を取り出す

全て掘り出し物、能力を宿す特殊な武器

1人1体ではなく連携して戦う

大盾を持つ男性が攻撃を防ぎ左右から剣を持つ2人が素早く切り裂く

1人が斧による攻撃を回避して後ろで待機していた1人が無防備な魔物に真正面から槍を振るい突き刺して能力を解放して炎で内部を焼く

攻撃を大盾で防いで振るって弾き近くの仲間が水を纏った剣で切り裂く

攻撃を避けて双剣で素早く連続で切り倒す

1人が攻撃を防ぎ近くにいる仲間が攻撃を繰り出す

上手く連携をして次々と魔物を倒していく

静かに矢が魔物の頭を貫く

相当訓練を積み重ねているのが分かる程連携の練度が高い

連携だけでなく個々の戦闘能力も高い

見た限りでは誰も異能を使用していない


「異能身体強化?」

「双剣の子はそうだけど他メンバーは違う」

「強い」


(大盾、彼凄い)

大盾の男性は攻撃を盾で防いで味方が攻撃するチャンスを作る

盾で防いでいるとは言え衝撃は体に響く

それなのに何度も攻撃を受けてもビクともしない


「そりゃ英雄達に次ぐ実力者達なんて言われているからね」


それ程時間は掛からずに15体を倒し切る

まだ彼らには余裕がある

すぐに周囲の警戒に入る


「隊長、あちらから魔物の追加のようです」


弓を持つ隊員が指を差す


「……へぇ」

「?」


夜は2人が見ている方を見る

すると複数の魔物が走ってこちらへ向かってきていた

(追加?)


「総数は10体、我々が対応しますか?」


弓を構えていつでも撃てる準備をする


「いや、私が出る。夜ちゃんもやる?」

「やる」

「分かりました。総員下がれ。隊長が出る」


戦っていたメンバーが戻ってくる

それと入れ替わるように2人が前に出る


「どうかお気をつけて」

「無理はなさらずに」


走って近付いてきている10体の魔物を待ち構える


「5体ずつで大丈夫?」

「問題無し」

「やる気だね。無理はしちゃダメだからね。これは守護隊の仕事だから」


異能の発動準備をする、金色の目に光が帯びる

刀を抜いて構える

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