守護隊隊長

「まぁ異能が使えないから行かないかな」


ゼラは予定がないのでそのまま家に帰る



「ダンジョン」


夜中、夜がダンジョンの前に立つ

音が聞こえ振り向くと魔物が近付いていた

二足の魔物、斧を持っている

ゼラの戦った中ボス程の大きさは無い


「オーク」


珍しく名前が付けられている3級の魔物

一部の魔物は名前がつけられている、配信時代に面白半分で付けられた名前

余りにも数が多く名前を付けるのは大変の為大抵は纏めて魔物と呼ばれている

速度は遅く一撃が重い

魔物も夜に気付くが既に接近していた

刀の間合いに捉えている

居合のように鞘から抜く動作と切り掛る動作を繋げて素早く振るう

胴体を切る


「浅い」


胴体を切ったが距離があり傷は深くは無い

魔物が斧を振り下ろす

即座に飛び退いて回避して少し距離を取り刀を構える


「踏み込み甘い深く入る」


踏み込みが甘い状態で攻撃を仕掛けてしまった

(異能使う)

金色の目が光を帯びる

魔物が走って接近して斧を振り上げる

夜は動かずタイミングを伺う

振り上げられた斧は夜目掛けて振り下ろされる

斧の軌道は間違いなく夜を捉えている

しかし、夜には当たらなかった

夜は一瞬で魔物の背後に移動していた

そして無防備な背中目掛けて刀を両手で持ち横に振るって両断する


「おかわり早い」


戦い終えて周りを見ると他の魔物が3体近くに来ていた

戦闘準備は万端のようですぐに襲いかかってくる

四足歩行の獣型の魔物が先に突っ込んできた

開いた魔物の口に刀を突き刺し手首を捻る

刀を横向きへ変えて力を入れて振り抜く

力なく倒れて消滅する

異能で一瞬で間合いを詰めて踏み込んで両手で持ち左下から右上へ勢いよく振り切る

二足の魔物は胴体を切り裂かれる

最後の1体が攻撃を仕掛ける

小型の魔物、剣を持っていて飛びかかりその剣を振り下ろす

刀で防ぎ押し合う

右半身を軸にして左足を後ろに下げると同時に左半身を逸らす

その動作に合わせて剣を受けている刀の角度を変える

刃の先を僅かに後ろ斜め下の地面に向け滑らせる

体重をかけていた魔物はそのまま滑り夜の横側へ頭から落ちる

左手を離して刃の先を真下へすぐに左手で掴み右手を離し回す

途中で刃の向きも反転させて刃先が天を向いた瞬間右手も柄を掴み左半身を動かして真横を向く

一度軽く振り上げて無防備な魔物に上から切り裂く


「話真実想定以上多い」


次から次へと魔物が現れる

ダンジョンに集まっているという情報を夜は知っているがそれでも想定よりも多い

刀を構える

小型の二足の魔物の攻撃を躱して撫で切る

続けて2体目を刀を振り下ろして切り裂く


「わんこそば? 蓋無い」


異能を使い接近する

反応する前に切り上げて仕留める

一瞬視線を横に向け横から接近してきている魔物の動きを確認する

(距離ある)

切り上げた刀の勢いをそのままに体を捻り左足を軸に半周した瞬間右足を軸にして体を回す

左側から接近していた魔物を切り裂いて仕留める

まだ距離のある魔物に異能で懐に入り切り裂く

四足の獣型の魔物は移動した瞬間に突きで頭を貫く

魔物を何体も何体も倒していく

中ボスクラスのような魔物は居ない

持ち手を変えて持ち方を変えて剣を巧みに扱い魔物を倒し続ける

刀が間に合わなければ腹に蹴りを入れ顔面に拳を叩き込む

四足の獣型の魔物の顎にアッパーを喰らわせて怯んだところに突きを繰り出して倒す

夜はガントレット型と靴型の特殊な武装を付けている

倒し終えて周りを確認する

少し遠くに魔物は見えるが近くにはもう居ない

周りには魔物の残骸、魔石が転がっている


「戦える」


少し遠くにいるが倒そうと接近するとその前に誰かが魔物に接近して拳を食らわせる

魔物の胴体に風穴が空いて消滅する


「強いね君!」


その人物は夜に気付いて手を振っている

関わる気がないので逃げようとするがすぐに追いつかれる


「早い」

「身体能力には自信があってね。それで君は……あぁ騎士団が勧誘してる子だね。魔物狩り1人じゃ危ないよ」


女性は夜の白髪と目を見て理解する

特徴的な外見で間違える事は無い


「私強い」

「そんな自信あるんだ。これ全部やったの? とんでもないなぁ。騎士団入らない? 騎士団の仕事は魔物討伐、偶に仕事あるけど基本は自由だよ!」


両手で手を掴み夜を勧誘する

騎士団は実力者を欲している

夜クラスの実力者なら待遇はかなり良くなるだろう


「断る」


(見覚えある……確か)

この人物に夜は見覚えがあった

記憶を探る

そして誰だったか思い出す


「うん?」

「英雄」

「……確かに私もそんな呼ばれ方もするね。ただ私はレイさんの仲間だったからそう呼ばれてるだけ、私は恋歌、呼ぶならそっちで呼んで欲しい」


英雄と呼ばれている人物の一人、涼深恋歌

高倍率の身体能力強化の異能を持つ強力な異能者の1人

夜に追いついた速度も魔物を一撃で倒した力も異能による物

精鋭揃いの守護隊の隊長でもある


「恋歌何故英雄呼び嫌う?」

「聞いてた通りの喋り方、そりゃ私如きは英雄と呼ばれるにふさわしくない。それと君は活動区域違うよね?」


騎士団の一部のメンバーには夜の活動区域がバレている

そして今居る場所はその区域では無い

騎士団が動きを監視をしている訳では無いがその活動区域を知っている為、恋歌はこの場にいる事を疑問に思う


「一箇所違う。魔物居る場所私活動場所」

「魔物を恨んでる?」

「当然殲滅対象」

「だよね。なら尚更騎士団入った方がいいよ。あそこは魔物を狩りたい人達の集まりだから情報だって渡せる」


騎士団に所属する者の理由は様々だが魔物への恨みから騎士団に入る者は多い

それ程までに大災厄は多くの人々に消えない傷を負わせた


「不要情報源あり」

「騎士団に内通者が居るのかな。まぁ悪用してないからスルーでいいか。明日の朝に騎士団がダンジョン攻略しに来るから」


情報を悪用する人間ならともかく夜は悪用していない

魔物狩りは騎士団が管理し担当しているという訳でもなく夜のような探索者もいる

例え情報が流れていて先に魔物を倒していても証拠が無ければ咎める事は出来ない

夜は騎士団内に内通者が居るとは言っていない


「知ってる」

「朝までには撤退しなよ。レイさんに見つかると流石にだから」

「分かった」

「……ちょっと待ってね。すぐ向かう。周囲を確認して待機」


恋歌は部隊員と連絡を取っている

何か起きたのだろう


「それじゃあね。何かあったら城壁付近にいる守護隊に報告してねー。役立つ情報なら報酬出るから」

「手伝う」


魔物と戦う為に居る

恋歌が受けた報告は魔物との遭遇だと考え手伝いを申し出る

騎士団に入る気は無いが協力したくない訳では無い


「戦力は多い方がいい。分かった着いてきて」


恋歌は少しも考えずに許可を出す

戦力は多い方がいい、情報では小規模の魔物の群れで守護隊だけで十分対応出来るが恋歌にとっては夜の実力を自身の目で見て判断出来る良い機会

夜は恋歌に着いていく

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る