第44話 物量作戦

その頃ユーザ達はバカ医者のいる方向と反対側に向かってしまっていた。彼らがいるのは第5班エリアだ。

因みに怪人達は

「フン。いくらもがこうがこの網は怪獣であっても破れぬ。大人しくしてろ。」

ザッドが作り出した網に閉じ込められていた。


「ったく……アイツらドコ行ったんだよ!」


ユーザ達は怪人に警戒しながらも2人を探していた。


「たーぶんラブクープちゃんとかツミちゃんいるし割と大丈夫なんじゃね?」

リンがひょうひょうとした調子で言い張る。

「そうか?うーんでもな……アイツは常軌を逸してるからな。いやでも……」

ユーザは不安になりながらもチェンジャーの事を思い浮かべる。

(クリゴさんがナタを奪われた時に言った名前と同じだがまさかな?とても強いようには見えなかったが……でもリンのスピードに普通に脚力で追いついてるんだよなぁ。バカ医者がアイツと一緒にいるならある程度は怪人に襲われないかも……)


そんな事を考えているうちに声をかけられる。

「キミ、こんな所にいたらダメじゃないか!早く戻らないか。」

「いやぁ今人探しをしてるんです。」

「人探し?ってキミは……」

隊員はアスカの顔を見るなり少し怪訝そうな顔を浮かべる。

「あっいやこの間は本当にすいません。いや実は……」

アスカは申し訳なさそうに事のあらましを説明した。

「じゃあアスカさんはもう生魚を外に放り出したり、肉屋に不買運動を呼びかけたりはしないんだね。」


「えっそんな事してたの!?確かにおかしかったとは聞いてたけどここまでとは…」

ユーザは

(って事は彼女さんもそういう感じなのか?はぁ〜またそういう頭おかしい系を相手にせねばならんのか!)

と重いため息を吐く。


「でもまだここにいるかいないのかさえも分からなくて……」

「分かりました。では探しますから皆さんは抜けて」


「総員集合!怪人の数が増した!」

「なっ……了解!ホントに戻れよ!」

必死の形相でユーザ達に発破をかけて隊員は走り去っていった。


「ユーザどうする!」

「さっきの隊員達を見てるとどうにも不安だ。行くしかないだろ。リン飛ばせ!」

「はい飛ばし一丁入りました〜!ギア70で参りまーす。」


リンは一気に加速していく。

「ちょい、いきなり70はヤバいって!40くらいにしろ危ねぇだろ!」

「いやオレッチ偶数嫌いだからさ。」


だがあっという間に戦場には着いた。

「お前らはここに残れ!絶対アスカさんを守るんだ!」


ユーザはサドルから飛び降り、怪人の元へ突っ込んでいく。


「レドレイとウルオフカミが2体にサンシェが3体か……面倒なのばかりだ。」


ひとまずユーザは目の前のレドレイの顔に飛び膝蹴りを放つ。そして怯んだ所に左腕の鉄拳を打ち込む。


「ゼリャアー!」

「アアァァカァァ!」

レドレイは大きく吹き飛ばされる。


そして背後のレドレイにも回し蹴りを放とうとした瞬間。


「ヤべっ!」

「カァ!」

相手は右腕から何やら針を飛ばす。間一髪の所で避けきれたが

その針は向こうに先程吹き飛ばしたレドレイに命中する。


「ッ!ガッガゥアアァア!………」

途端に苦しみ出したかと思いきや途端に息絶える。


「何あれ!」

「ヤツの毒針を喰らうと怪人でも呼吸困難と痙攣で死ぬ。人間に当たったら……分かるよな?」

そう言うユーザの目には焦りがあった。

「どうする?さっきみたいにはそう簡単にはいかねぇぞ。あぁ〜やっぱ槍があれば」


ユーザが槍を懇願した瞬間


「ザクッ!」

「えっ槍?」

空から槍が降ってきた。



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