第43話 因縁の戦士
クリゴは怪人の近くにいた彼にさらに近づいて姿を見た。そして確信を得た表情で
「お前………何でここにいる。本当にケガはないか?自分で……動けるか。」
一応状況確認の為に救助が必要か声を掛けるが、その声には力が籠っており、視線もやや睨んだものになっていた。
(前会った時より悪臭と小汚さが取れて髪もサラサラになってるように見えるが、あの目だ。間違いなくアイツの目だ……!)
「ボクは大丈夫だけどー?」
チェンジャーは本当にケガはしていなかった。なのでいつもの様に何も考えずそう返答した。だがそれがクリゴの怒りを買った。
「やはりその気の抜けた声……そして同じく抜けているようで獲物を虎視眈々と狙っている眼差し……。何も変わらんな。」
少し微笑しながら槍を構える
「ふざけたマネしやがってこの盗人野郎!オレの大切なナタを返しやがれぇー!」
槍を怪人ではなくチェンジャーに向けて襲いかかった。
「おっとっと!」
チェンジャーはやや慌ててながらもクランボで対応した。
「全くこんな近くにいたなんてな!オレに対する当てつけか?」
「当て付けー?まあ攻撃は当てるよう努力はしてるけどねー?」
「あぁイライラする。初めて会った時もそんなような事を言っていたな!」
(………コイツの攻撃、少し前に受けた記憶があるなー。でも前より明らかに重たい…でも何処かで受けたようなー?)
チェンジャーはクリゴの攻撃を捌きながらそんな事を考えていた。
そしてバックパックの中のナギは
(これ……オイラ出るタイミング完全見失ったよね?)
この間ウルオフカミずっとほったらかしだ。
「カミカァミ!」
さっきから放って置かれているのに嫌気が差したのか2人の間に割って入ってくる。
「邪魔だ!」
クリゴはそれを右足で蹴飛ばす。そして
「いまお前と遊んでる暇は無い!」
槍を空に垂直に放り投げる。そして右足で回し蹴りをして落ちてきた槍の柄の末端を蹴り込む。
槍は真っ直ぐ飛んでいきウルオフカミの胸の核に刺さり込む。
「ガアアァァー!」
体内の核が完全に破壊されたウルオフカミは断末魔をあげながら爆発四散した。
爆発の衝撃で飛んだ槍をクリゴがキャッチしたのとチェンジャーが
「あああー!」
と目を見開いて叫んだのはほぼ同時だった。
「?」
「そうか君か!そういえばクリゴなんて名前だったねぇー!あの綺麗な右回し蹴りで思い出したよ!」
「………」
チェンジャーの言葉をクリゴは黙って聞いていた。
「ボクが右足を砕いたキミか。治ってたんだね。キミは初めてボクと会った時も同じ攻撃をナタでしていたねー。あぁあの時ナタ、ちゃんと持ってるよ。」
僅かにクリゴの眉が上がった。
チェンジャーはバックパックからナギを取り出す。
「うぇっ今!」
心の準備が出来てないナギは声が若干上擦っていた。
「えっえーと久しぶりクリゴ!あのそんな怖い顔しないで!オイラは元気だよ!あっ、あの後からチェンジャーはオイラに何にもしてないから。……ってか付喪神が増えたんだね。賑やかでしょ!付喪神がいるとね、ハハハ……」
ナギは何とか言葉を絞り出しながら自分は大丈夫だという事を必死に証明した。
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