第42話 バカ医者、n回目の大暴れ
ユーザは拳を握り締め、キンノミヤとタキガワの背中を睨むこともなく見つめていた。そして水族館側に向き直る。ハーズは恐る恐る尋ねてみた。
「これからどうする……てかキンノミヤに色々言われて怒ってる?」
するとユーザはハーズが思っていたよりも随分と優しい口調で
「いや、怒ってはないな。そんな暇があったら怪人を倒す。」
ユーザの目には隊員達に襲い掛かる怪人とそれに恐れをなしてパニックを起こしている怪人達しか間に無かった。
「ハーズ、初めて会った時言ったよな……怪人が出てるのとか見るとこういうのほっとけないとか、怪人に懐かれるって。」
「うっうん。」
間髪入れずユーザは規制エリアの中に入り込んでいく。
「ちょっ、」
「あの時少ない記憶の中で見えてたんだ。怪人から人々を守るオレの姿が。」
ユーザが怪人の塊に向かっていくとはレドレイと隊員から突然目を背けユーザに飛び掛かる。
ユーザはそれを片腕と脇腹で抑えそして続ける。
「今みたいに怪人がオレを見ると目の色を変えて飛び掛かるのもなぁ!」
その瞬間ユーザの腕からマイルが抜け出すそこからユーザはマイルに視線を向け、それを見てレドレイは退避する。
「かかったな!」
するとユーザは咄嗟にレドレイに左回し蹴りを喰らわし大勢を崩したレドレイの腹に膝を当てる。
そして背後からくるマイルの頭部をノールックでハーズが掴み、
「ハア!」
「ゼリャア!」
思い切り投げ飛ばす。
「ルルィ!」
投げ飛ばされたマイルは背中から落ち地面にヒビを作る。
「うひゃ〜あのウナギの体ヌルヌルで気持ち悪〜」
「わかる。オレも素手で掴めなくて内心良かったもん。」
「ちょっとユーザァ?」
そんな会話をしているうちに残りの2体のブブクラクとサンシェも襲いかかるが、
「一本釣りキャスト!」
「轢き向かいアタック!」
横からやって来たリンがブブクラクを轢き、ザッドがサンシェはザッドの釣り針が引っかかった。
「お主の覚悟とくと聞いたぞユーザ!」
「オレッち達も忘れてもらっちゃ困るっちゅーの!」
「お前ら…」
「あの、」
アスカも恐る恐るやって来た。
「ボクも……付いてきても良いでしょうか!絶対に彼女を取り戻したいんで!」
ユーザは顎に手を当てて少し考え込む。
「うーん……まああの守銭奴の言うことなんて気にしなくていいですけど、もし本気で着いてきたいならここから先はかなり危険なので絶対にオレの言うことを聞いててください。それなら良いですよ。」
「分かりました。」
「よしじゃあ行こう!って2人は?」
ユーザはバカ医者とチェンジャーがいなくなった事に気づいた。何処を見渡してもいない。
「どっか行ったね。あの人と一緒に。」
「少なくともキンノミヤが帰った頃にはいなかったな。」
ザッドとリンの指摘にユーザは頭を抱えその場に崩れ落ちる。
「あのバカァーーーーー!!」
その頃当の二人は
「夜の水族館ってのもいいんだな!」
「まぁ歩くのは嫌いじゃないけどねー。」
「そんなこと言ってる場合じょ無いですわ!!」
完全に迷子になっていた。
「ゴホン!チェンジャー様。ひとまずこの規制線から抜け出しては宜しいかと。」
「もっと早く言えばいいのにー。」
「もう既に10回は言っていますが………」
クランボも自由奔放な主に少しお疲れ気味の様子だ。
「だいたいこんな物々しい雰囲気の場所を歩いて笑ってるいるアナタ達の神経が理解できませんわ!」
「モノモノシーってなんだ!物だけにダジャレか?アッハッハつぁまらんなー!アッハハハハハハ!」
「いい加減にしなさい!」
「あっ、頸動脈!あぅ…ッあっ…♡ん…っ!ひっ…!!むり、らからあ゛…ッ♡♡」
「喘ぐな!」
「すいませんすいませんマジ死ぬから死にそう!マジ死ぬから死にそうなんだって!」
「カァミイ!」
そんな状態でウルオフカミが現れてしまった。
「今かよ!?」
「今ですの!?」
バカ医者達はてんやわんやの大暴れだったがチェンジャーは
「初めて怪人さん。そしてサヨウナラー!」
一気に切り掛かるが
「カミ!」
ウルオフカミは剣を大口で飲み込んでしまった。
「くっ!」
チェンジャーは咄嗟に手を離し退避したが
ウルオフカミは構わず剣をバリバリと噛み砕いてしまう。
「カミッカミィ!」
お気に召さなかったのか吐き出した。さっきまで剣だったものが辺り一面に転がる。
「なるほどねー…」
チェンジャーは少し考え込む。
「おーい大丈夫か!怪我はないか!」
「やいてやんでい!クリゴ様のお通りでい!」
クリゴが怪人を追いかけてやってきた。
「クリゴ?聞いたことあるよーな……」
「えっホントに!のホントにクリゴなの!?」
バックパックの中でナギが騒ぎ始める。
「今助け……嘘だろ。」
「クリゴ?」
「忘れもしない……チェンジャーだ。」
ついに出会ってしまった。
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