第37話 闇に垂れる雫
「…。という事がありまして、」
「それは本当か!?」
「はい!現に何台か襲われましたし、これが証拠です。」
馬車のうち何台かは警備隊の事務所に連絡を入れていた。馬車の騎手は証拠として、荷台の後ろに指を刺す。そこには青色の液体が掛かっていた。
「これは?」
「間違いなく怪人の血液です。これが怪人の体から飛び散ったのを見ました。調べればすぐ出ると思います。」
「そうです。私も見ました。」
そう言いながら青い液体をポケットから取り出したガラス瓶に採取し警備隊員に押し付ける。
「そうか。他に情報は?例えば、怪人ば何処に現れたとか今の位置情報とか。」隊員は地図を広げながら尋ねる。
「突然飛びかかってきたので何処にいたかは分かりません。でもカラーボールを投げたので大体の位置は分かると思います。」
地図のある場所に指を指しながら騎手は言う。
隊員は地図の指差された場所に印を付けて少し考えながら
「分かった、すぐに本部に報告だ!」
と言い足早に去っていった。
その頃当の怪人達は建物の屋根を飛び乗って移動していた。彼らが追いかけていたのは水族館へ連絡のため向かっている馬車だ。怪人達は馬車を捉え虎視眈々と狙っていた。
自分達も狙われてるとも知らずに。
「ふーん。」
診療所での話し合いは続いていた。
「あとそういえばあの男と付喪神を連れていましたわね。なんだか独特な形の鈴?で確か自分は付喪神じゃないと言ったらしたわ……いつの間にか居なくなってましたの。」
「そうなんだ…」
(自分を付喪神じゃないっ言い張るなんておかしいヤツ。一応ユーザ達にも報告しとくか…って報告!)
「いっけね!オレッちタキガワ連れてすぐもどらなきゃきゃいけなかったんだ!だからタキガワ載れ。」
「あっでもキンセツが」
「キンセツのことなんかいいよ。早く戻れってユーザに言われてんの!」
「でも事務所からここまで結構離れてないですか?」
「大丈夫。まずカーブを直進して」
「はい?」
「あっちとそっちに行って、」
「えぇ??」
「右に左折すれば」
「あぁ???」
「着いた!」
「いっイマイチ容量を得ないルートですね…誰の案内か大体察しが察しがつきますが。」
「それな。」
リンはユーザにタキガワの事を報告した。
「戻ったぞユーザ、タキガワもいるぞ!」
「おーそうか!さっそくだけどタキガワさん。キンノミヤの機嫌を治してくれねぇか。」
ユーザがタキガワをキンノミヤの金庫の前へ案内する。そこには涙で床を尋常じゃない程に濡らしているキンノミヤがそこにいた。
「ユーザさん、キンノミヤ様!無事だったんですね。」
「まぁ、なんとか。そういえばライドエンプの件とかも」
「聞きました。協力させて頂きます。なのでキンノミヤ様をお借りします。」
「ユーザ!こっちへ来い!」
「わかった!じゃそういう事で。」
ザッドはユーザを呼び出した。
「これを見ろ」
「これは……人?」
ザッドがいたのは2階の部屋だ。そこには男性が倒れていた。
ユーザはその男を起こそうとする。
「おい起きろ!おいって!」
「う〜ん……んあぁ〜え?ああああ!」
起きるなら男暴れ出すがすかさずハーズが腹パンを食らわせて静止される。
「お前がやったのか?今までココで何しようとしてた。答えろ!答え次第じゃわかってるんだろなぁ!」
ユーザが男の胸ぐらを掴んで怒鳴ると男は泣きながらこう答える。
「えっえっと、これは…あの、ボクはやってません!やったのはボクの彼女です!彼女を止めて下さいお願いします!このままじゃあ、このままじゃ水族館が!」
「落ち着け!何があったんだ。」
その後男か語ったのはにわかには信じられない話だった。
その頃雅之はある場所にいた。
「アンタ達…付喪神だよな?」
「よ〜くわかったねぇ。なんか訳アリなカンジ〜?」
「オレはクリゴ。色々あって付喪神と一緒にいる。」
「てやんでぇい!オレぁトースだ!なぁんだオメェは?ウォータスにゃまだ付喪神がいたのか?」
「私はペキオラ。まぁ正確にはキョクア出身だけどねぇ。」
「上野雅之です。まぁ…ホントは付喪神じゃないんだけど。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます