第32話 鏡よ鏡 世界で一番のバカはだ〜れ?

雅之は超常大陸側に。カミカミ男はバブル側に。それぞれ真反対の方向に飛んで行った。


カミカミ男の辞世の句は

「やっぱかみ?」

それを言い残した瞬間カミカミ男はその時点で世界で最も長く空中にいた屍となった。そして屍はみるみる高度を下げていく。そんな彼の墓場は


「なっなんで怒るんだよ!サバサバ系の性格じゃないのか!?」

何故かサバを怒らせたバカ医者の真横だった。彼はこの間ずっと海でバカカを発動し大陸棚を泳ぎ回っていた。

それをバブルが手配し砂浜に呼び集められた騎手達が

奇異の目で見ていた。


「ホルモンバランスが乱れてるならこれを飲めばいいぞ。って薬がない!何で?何で?」

戸惑うバカ医者の真横に屍が飛び込んでくる。バカ医者は屍をまだ生きていると勘違いして

「おい!アンタ!私の薬見なかったか!な!………?これってぇ……えっ死んでる。」

話しかけてしまったが一応医者なのですぐ気づいた。


「ぎゃああああええ!ナンデェー!?」

バカ医者は突然の見ず知らずの人間の告別式をさせられたので怖くなり水馬で火事場の馬鹿力を発動し泳いで逃げ始めた。

バカカと馬鹿力。同音異義語の相乗効果でとんでもないスピードで水を掻き分け進んで行った。


その頃真反対方向の沖ではではイルカ馬車がついに地上へ顔を出す。

「やっと地上だ〜。なーんか眩しくない?」

「うむ。夕陽に照らされる波はとても美しい物だが異様に照りが強く感じるな。」

車内ではユーザ達が上陸を待っていた。

「まぁオレ達ずっと海底にいて直射日光と無縁の場所にいたからな。ていうかもう夕方か。キンノミヤ、タキガワの所行くの明日でも良くないか?」

「ダメだダメだ!1週間しか猶予が無いんだ!」

「1週間もあるだろ?」

「やはり旅人の時間感覚はルーズ過ぎる……」

いつも通りの空気が流れている。はずだった。突然イルカが進路を変えたのだ。


「うおっ!なんだ一体!」

「うへっ!水上でも車ってクラッシュすん……!ギャアアアア!!」

リンが突然叫び声を上げる。


「このような狭い場所で叫ぶなリン。海のような広い心を、グフッ!」

ザッドがリンをたしなめようとして吹き出す。


「どうしたの?2人とも驚き………」

ハーズに至っては固まってしまった。


「何だ何だ一体何を見たんだよ…ってウソだろ!?」

ユーザは窓を見た瞬間、度肝を抜いた。

「何でバカ医者がココにいるんだよ!」

馬車にバカ医者が変な顔で張りついていたのだ。


「なんだコイツは?随分と阿呆面だな。」

キンノミヤは首を傾げ、そう告げた瞬間


「おい今アホっつったか?オォン!」

窓を突き破ってバカ医者が車内に入ってくる。

「バカとはいくらでも言ってもいいいさ。だが許さない。アホ。その2文字を言った者は絶対許さない。」

キンノミヤにバカ医者が殴り掛かるがユーザがその腕を捻り封じ込める。

「何だよ!もう訳分かんねぇよ。あっでもこの有耶無耶にまみれるとウォータスってか地上に戻ってきた感覚がすんなぁ〜。」


「ユーザァ!お前感覚麻痺してるぞ!?」

キンノミヤがすかさずツッコんだ。

「お前が言うな!」

ユーザがツッコミ返した。


その頃雅之はウォータスの郊外に落ちていた。


「イテテテ……なんだよもぉ〜あのチェンジャーとか言うヤツヤベェよ。何なの?異世界にもああ言うキチがいるの?もうヤダ……」

弱音を吐いていると突然後ろからこえが聞こえてくる。

「おっ何か見たこと無いものはっけ〜ん!」

「なんそれ。売れそう?」

「いや見たことない物だから分からん。でも持ってくか。」

(イヤイヤ見た事の無い落とし物を自分の物にしようとするお前らの思考が判らん!)

その声が聞こえた頃には雅之は手に収められていた。


「わっ!」

持ち上げられて雅之は思わず声が出てしまった。

「ワッ、チリチリ言ってる。コレ鈴じゃね?」

(えっ、うーわ……)

持ち上げた人物とその周りにいた取り巻きを見た途端雅之は心の中でため息を漏らす。

(1番嫌いなタイプ何だけど……)

何故なら彼らの醸し出す雰囲気が雅之が現世にいた時絶対近づきたくなかった人種である半グレに酷似していただ。


「アレ?なーんか声が聞こえてきたんだけど〜。」

「ジュウ!コレもしかして前拾った喋る鏡の仲間じゃね?」

「あっ聞いたことある!付喪神ってヤツでしょ〜!」

半グレの1人が懐から鏡を取り出す。


(なんか盛り上がり始めたよなんか……ん?今付喪神って……)

鏡は懐から出てきてから眠そうな声で喋り出す。

「ん〜?ペキオラにな〜んかよ〜うですかぁ〜?」

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