第31話 チリンとなった男
「ハァーッ……。なーんでこーなっちまったんだ?」
上野雅之はため息混じりに呟く。
「うるせぇぞ!鈴の癖にしゃべりやがって!」
「ひいいっ!すいません!」
(ふざけんなよ!何でキチガイの手を離れたと思ったら半グレに捕まってんだよ俺〜〜〜〜〜!)
何故こうなったかというと、たった3分前に遡る。
「キミ達の力を使ってボクが本気を出したらどうなるのかなー!?」
全てはこの一言から始まった。
「チェンジャー……!」
「遂にやるのですね!」
「…あぁ。」
「うるさあああああい!髪神髪紙神紙髪紙神髪紙神いぃ〜〜!」
「答えになってねーんだよキチガイ!!アンタ!コイツぶっ殺しちゃっていいから!生きる価値のない奴だからさぁ!」
雅之が思いの丈をチェンジャーにぶちまけた途端付喪神達が信じられないような顔でこちらを見る。
「えぇ!?一緒にいた主人ではありませんの?」
「今の言葉はなんなのさ!付喪神は何だかんだ皆んな人間好きなのに。ねぇタキガワ!」
「ゲホッゲホッ、確かに、。人間がいてこその付喪神ですガハッ!……ですもんね。」
「いややっぱ喋んなくても良いわ!顔が真っ赤になって潰れてるのに!」
あまりにも人間に対する愛をぶちまけられ、自分の同意が得られなかった事に雅之は少し不機嫌になり
「ハ?お前オレの味方じゃねーのかよ?いや、そもそもオレ付喪神じゃねーし上野雅之だ人間だ!お前らみたいなモノと一緒にすんじゃねーし!?物と言えばあいつ人間扱いすんなよ?俺のいた世界じゃアイツはとっくに病院行きの輩だからなーっ!」
支離滅裂かつ理不尽かつ地味に長いお気持ちを叩きつけ起こり始めた。
それを聞いた瞬間ツミとラブクープはすぐさま雅之に駆け寄る。とても憐れみの籠った表情だ。
「まぁまぁ。貴方はあの狂人と一緒にいたせいで頭がおかしくなってしまったのですわね。」
「大丈夫ですわ。私達が話を聞いて上げますので心配する事は無いですわ。」
「人間は怖いモノでは無いのです。私達は人間に使われていないと死んでしまうのだからせめて付き合いだけは良くしないといけませんわよ。」
「えっえっ。あっあぁ…そ…そうですね?」
突然憐れみを含んだ艶っぽい声で枕カバーとカニ用スプーンがしかもお嬢様口調で捲し立てて来たので、反応に困り思考回路がフリーズしてしまった。
だが頭が冷え怒りも消え去ったので結果オーライと言えよう。
その頃チェンジャーは
「ナギくん。クランボくん。アレで行こう。」
「ついに実戦投入なのね!」
「わかりました…。……チェンジャー様の申しならば仕方ありませんね」
ナギは心なしかワクワクした口調だが、クランボはあまり乗り気では無かった。
「待たせるなああああー殺すうううう!」
「そうー。ならこっちは死なない苦しみをあげようー!」
カミカミ男は走ってこっちに向かってくる。チェンジャーは背中に背負っているバックパックを腕に持ちカミカミ男の前に仁王立ちになる。そして突然
「ほとばしれぇー!」
突然チェンジャーは目をかっ開き大声を出しながらバックパックの中身を空中にぶち撒ける。
剣、槍、弓、棒、矢、短剣、薙刀、金棒、ヌンチャク、サック、刀、クナイ、モーニングスター等々………
バックパックの容量を明らかに超えた量の凶器が空中に散らばる。
「吹き飛べえー!」
そう言いながらクランボと別の棍棒を持ったチェンジャーは空から自分に落ちてくる凶器を2つの棍棒を持ち回転しながらカミカミ男の前に飛ばしていく。
「ぐがぁ!」
棍棒で弾かれた様々な刃物や得物が彼の骨肉を抉り取っていくが、急所には中々当たらない。むしろ、急所以外はどんどん傷口が増えていく。そして吹き飛んだ凶器の中にはにはカミカミ男に当たらなかったものがある。それは上野雅之に当たったのだった。
「なんでえーー!」
雅之は空高く飛んで行った。
「サプライズだーッ!」
今度は棍棒を自らの足に当て自分を相手の懐に引き寄せていく。
そして隠し持っていたナギでカミカミ男の心臓を突き刺す。その上突き刺したままカミカミ男をナギで引きずり走る。
「これでも死なないかなー!」
さっきの位置に戻って来たチェンジャーはナギを引き抜きクランボで男の身体を思いっきり叩く。
「」
断末魔も無くタンパク質の塊となったカミカミ男は空高く雅之と真反対の方向に舞い上がっていった。
「ふぅ〜。疲れ」
たよねー。と言う前にチェンジャーは倒れた。
「直ぐに2人を運びますわよ!」
「診療所から人を呼んできますわ!」
そして雅之の運命やいかに!
「話を跨ぐなぁーッ!」
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