第30話 その名も……ハッピー・マテリアライズ!
「は?」
ユーザは頭が真っ白になった。自分が世界地図だと思っていた物が世界地図では無かったからだ。
「それは北半球の一角のみの地図だ。……そんな中途半端な地図どこで手に入れた?」
「どこってそりゃ……うん?…………。」
「覚えてないんだな。」
「……あぁ。」
次に食べ物の質問していった。
「これは何だ?」
キンノミヤはエビを卵黄と小麦粉で揚げた食べ物の絵を出す。
「ん?何だこの天ぷらは?」
「エビフライだ!はい次!」
次に見せたのは小麦粉を打って作った麺をトマトソースに絡ませた料理の絵だ。
「ボロネーゼ?」
「ナポリタンだわ。次!ヒントは冷たい食べ物だ。」
続いての絵は牛乳と砂糖と卵と生クリームを混ぜて冷やした物にバニラエッセンスの香りを冴えたお菓子だ。
「バニラアイス!」
「やっと正解かよ。これくらいは全部答えてくれよ……ライドエンプへ行ってもこれでなんとかなるかなぁ。一応オレ達サービス業だし。」
「でっでもオレ今までの依頼でボロが出たことなんてないんだぜ。だよなぁ?」
ユーザは振り返り付喪神達に同意を求める。
「まぁ…そうだけど。」
「いざ露呈した時どうなるか分からぬな…」
「こんなん出されたらオレッちなら頭マジマジのマジ?って思っちゃうよなー!」
手放しで褒めてくれるものは誰もいなかった。
「何でだよ!オレ達ちゃんとやってこれただろ!ん?いや待てよ……」
ユーザはこれまでの記憶を思い返す。
「確か絶不調の時に怪人と戦ったり、勝手にオーディションやの審査員やらされたり、時速70キロ位の自転車で森の中走らされたり、超がつくほどのゴミ屋敷の掃除したり、紙が何だのうるさい不審者にボコられたり、怪獣に飲み込まれそうになったりって、碌な思い出がねぇ…」
ユーザはその場に崩れ落ちるがすぐに起き上がり、
「だからこそ、キョクアにその真相があるかもしれないから1000万カレン貯めて通行用手形手に入れるんじゃないか!むしろこれからどんどん依頼こなさなくちゃいけないんじゃないのかキンノミヤぁ?何自信無さ気になってんだ。市長に金請求した時の勢いはどうしたんだーよ!」
ユーザはキンノミヤに詰め寄る。
「うるさい!オレが金を諦めるか!?オレはこの世の全ての金と縁を結ぶんだ!だから億万長者という言葉も意味をなさないレベルの大金を絶対手に入れてやる。1000万カレンだぁ?んな済まさねーよアホかぁ!!」
キンノミヤが激昂しながら隠し刃をユーザに突き立てる。ユーザは刃を持つ腕を回しながら掴み逆に教科を奪い取りたい首に突き立てる。
「……やっぱそうだよな。俺と関わったヤツだからな。そう言う頭のおかしい事を言うと思った。初めて会った時殺しそうになったの覚えてるか。」
「……勿論だ。」
「もしかしたらその時、殺した方が良かったのかもな。お前ら全員。いやでもリンは最初から協力してくれたか。」
笑いながらユーザは言う。
「どの口が言ってんだ。」
キンノミヤもその笑いにつられてしまった。
「まずこれからの予定だが、まずこの事をタキガワにも伝えなければならない。ウォータスにすぐ戻るぞ。早速市庁舎に向かうぞ。もう馬車は手配してあるらしいから行こう。」
キンノミヤの指示通りユーザ一行はバブルの市庁舎に向かった。爆発で木っ端微塵になった市庁舎は急ピッチで復興進んでいるようだがまだまだ瓦礫はそこら中にあり、事件の色を隠せない状態だ。
「お待ちしておりました。ユーザさん、キンノミヤさん早速こちらへ。」
馬車にはまたイルカが暇で括り付けられていた。
一向は乗り込みイルカ馬車は海を一度潜って行った後、その後すぐに海上を浮上し始める。馬車の中でこれからについての話が繰り広げられていた。
「それにしてもライドエンプかぁ。あんな暑っつくて遠いとこまで行くのか?」
「そんな暑い所なの?」
「昔何かで寄った事があるんだがとにかく暑かった!今の季節はまだマシだろうが夏になったら絶対外に出れない。」
「え!そんな危険な国に本当に行くの?!」
ハーズはキンノミヤに振り向く。
「当然だ。もうオレ達の場所は知られてる。多分ライドエンプに行ってもバレるだろうな。でもここに居座るよりはだいぶマシだ。どうやら極秘に運んでくれるらしいからな。すぐバレるって事は無いはずだ。」
「またライドエンプでも付喪神の依頼をやるのか?」
「あぁ。競合他社が居ないし簡単に真似できるような仕事じゃないから新規参入も難しいからな。当分は手放さない。」
「それは分かった。じゃ『なんでも本舗』とかいうダサい看板は外してくれよ。」
「うむ。同意見だ。」
「あ〜れはないな。」
「ボクだけじゃ無かったんだ。ダサいと思ってたの。」
皆が口々にダサいと言い始めだした。キンノミヤも満更でもない顔で
「あれは突貫工事で2、3秒で考えた名前だからな〜。ダサいのも止む無しだ。だからちゃんと新しい名前考えたぞ?」
「超マジで?見せて見せて」
「その名も……ハッピー・マテリアライズ!」
「ハッピー?」
「マテリア?」
「ライズ?」
それを聞いた瞬間全員ポカーンとしてしまった。
「何だよそのポカーンとした顔は!」
「いや、前よりはマシかもしんないけどなんかさ……怪しい団体みたいな名前だなーって。」
ユーザが皆の気持ちを言語化してくれた所で馬車は沿岸に、辿り着いた。
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