第29話 話の続き

キンノミヤは市長からジャスティスについての話を聞いていた。

「今回の組織は表向きにも裏向きにも完全に存在を消されているので下手に掘り起こすと面倒な事になりかねません。今回の件は『バブルの地下にいた怪獣が自らの特性により突如爆発した事故』と扱われています。幸いバブルの一般市民の目撃者も犠牲者もいなかったのでこのような荒業も可能だったのです。お2人も便宜上は事件に関わらず普通に生活している事になります。」


「言い分は理解は出来ました。でも1ヶ月半も消息不明でそれは無理があると思いますが?」

わざとらしくキンノミヤが問いかける。

「重々承知しております。ですので今回の事件で被った不利益に関しては全て我々で工面するという事で宜しいでしょうか?」

それを聞いた途端、キンノミヤは己の下心をより曝け出し始める。


「宜しいでしょうか?当然じゃないですか。」

そう言い捨てた彼は頭の中で算盤を弾き始める。1分ほど考え、口を開く。

「2800万」


「え?」 

「ですから2800万カレン。請求します。」

「まず爆発による怪我の治療代と慰謝料、市長と一緒にいた馬車の付喪神の依頼解決の依頼料。一ヶ月半業務ができなかった分の負担。一ヶ月半の間に払わなければならない生活費と施設の維持費も払ってもらいたいですね。あとジャスティスに所在地割れてるので国外逃亡の費用全額負担。新しい土地と施設の用意もやって欲しいですね。あぁ後それから……」

彼は要望を際限なく伝えていった。


「というなんやかんやがありまして、オレ達は一週間後にはライドエンプに移ることになった。これで話は終わりだ。」

キンノミヤは初めて重い表情をしていたが終わり頃にはイキイキとしていたがユーザ達はどっと疲れた表情になっていた。

「いや〜何というか…市長って大変な仕事なんだね。」

「いやキンノミヤに目をつけられたのが運の尽きだな。……やっぱお前野に放ったらヤバいんじゃないのか?」

ユーザの指摘に対しキンノミヤが唇を尖らす。


「何を人聞きの悪い事を。ビジネスの基本中の基本を最大限生かしただけだ。それよりヤバいのはお前だユーザ。間接的にさえジャスティスに狙われるなんて何したんだ。そもそもジャスティスのことも知らない記憶喪失だし、お前は一体何なんだ?」

「……え?」

疑惑の目を向けキンノミヤは問いかける。

「お前は記憶喪失というがまず何を覚えてて何を忘れてるんだ。せっかくの機会だしハッキリさせようぜ。ハーズもだ。」


そして2人は洗いざらい質問を受けた。その結果


「ハーズは本当に純粋な記憶喪失って感じだが……ユーザ。お前は記憶喪失以前の問題な気がする。」

「どういう事だよ。記憶喪失以前って…」

「まずお前が取り出してハーズに説明させたって言う世界地図。それ世界地図じゃねーぞ?」


「は?」

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