第18話 モノ々しい雰囲気

「どーだ!さっぱりするだろ。」

浴場でバカ医者はチェンジャーに尋ねる。バカ医者はずっとバカ医者の身体全てを洗っていた。


「……確かに、何か違う感じだ。」

チェンジャーは今まで陥った事のない感覚に陥っていた。その感覚に陥っている事に疑問も覚えていた。

「そーだろそーだろ!風呂ってモノはいーだろ。それになんせ1時間も洗ってるしな。シャンプーなんて4+3回、もしくは9-2回くらいやったんじゃないか?まーとりあえずお前の体は温泉卵どころかゆで卵くらいピカピカツルツルにしてやるぞ。」


彼の言う通りチェンジャーの体から汚れは消え去り、肌は光を反射する程輝いていた。



「あのさぁー、」

「何だ?」

「キミ、付喪神の事何処で知ったの?」

バカ医者は手を止める。


「あーそっか知らないよな。アレはユーザとの出会いからだな…もしかしてお前もユーザに会ったのか!」

「ユーザ?いや知らないなー。」

「そう?知ってそうな顔なんだけどなぁ…………やっぱ知らなそうな顔だわ。」

「……?」

バカ医者の奇言に首をかしげる。

「まぁつまり、ユーザって人に会って付喪神を知ったんだねー……面白そうじゃん。ボクも会ってみようかな!」


「ホント!じゃあユーザ探してくれるってことだな!爆速でキレイにするぜよー!」


「凄い!こんな短時間で怪獣3匹釣り上げるなんて凄すぎます!」

ザッドは既に3体の怪獣全てを釣り上げていた。

「海の男として、当然の仕事をしたまでだ。」

「えぇとても感謝……してるゼェ!」

職員は突然豹変しナイフを取り出す。


「フン!」

ザッドは相手がナイフを振り上げる前に、ツイート相手の腕に絡ませてきつく縛り上げる。

「ぐぅぅ!」

職員に扮していた男は悶絶し再起不能になってしまった。

「突然どういう事なんだ?」

職員の豹変に疑問を浮かべるザッドの耳に声が聞こえる。


「ザッドー!大丈夫か?!」

「いつもより多めに転がしておりまするー!!」

声の主はユーザとリンだった。ユーザは慌てた様子でザッドに状況を説明する。

「オレ達騙されたんだ。怪獣のせいで資源の発掘が進まないなんて全部ウソ!今すぐ怪獣を逃してやれ!釣り上げたんならできるだろ?」

「え?全部ウソ?」

突然の告白に唖然とするしかなかった。


「そうはさせんぞ。」

バブルの職員の服を着た男女が、どこからともなく現れた。彼らはユーザの顔を見るなり、顔のシワに悪気を寄せるのだった。


「なんで死なないワケ!ホンットムカつく!女心分かれよバカ!」

「おっかない女心だなぁ……」


「キョヒョヒョヒョヒョ。ここまでタフだと笑けてきますな。キョヒョヒョヒョヒョ!」

「笑い方のクセ!」


「全く貴様は……何処までも何時までも我々の計画を狂わせてくれる!」

「お前の取り巻きも充分狂ってるぞ?」

ユーザは彼らの言動に一々ツッコんでいた。


「お前さ、おかしいだろツッコミキャラじゃなかっただろ!」

リーダー格の男がユーザに食ってかかる。

「悪いね。奇人変人どころか奇物変物と絡んでたらこうなっちまった。それにその時の記憶無ぇんだわ。」

ユーザの言動は明らかに嫌がっているが、満更でも無い表情を浮かべながら応える。


「大体おかしいのはお前らだろ?何だよオレ殺すついでに怪獣暴れさせるって!地味に怪獣よりオレの優先順位のが高いし…」

ユーザは声色を低くしてわざと大声で呟く。


「文句なら、そんな命令を下した上に言うんだな。そもそもお前が今生きてる時点で計画は失敗した。俺達に、生きる道はもう無い」

リーダー格の言葉に、他の部下たちがどよめき出す。


「だから……最後に一泡吹かせてやる…!起きろペキオラ!」

男は、おもむろに鏡を取り出しそう叫んだ。


鏡を見てリンが反応する。

「ペキオラちゃん!ペキオラちゃんじゃないの!なんであそこに!?」


「は〜い。な〜んで〜すかぁ〜」

気の抜けるような声でペキオラが喋り出す。


「鏡よ鏡。世界で最も怪獣を怒らせられるのはだーれ?」

「そ〜れは〜この人〜!」

鏡にはある人物の顔が写し出される。男はその顔を凝視する。すると男の顔が鏡の中の男そっくりになって言ったのだ。それだけでは無かった。

変貌した顔面は彼らをに、特にユーザ個人に衝撃を与えた。

「……オッオレ?」


目の前の顔は間違いなくユーザであってユーザでは無かった。彼の風貌は灰色の目に髪は紫と黒と金が混ざったロングヘアなのに対し、ユーザの髪色は黒で目の色は金だからだ。でもそれ以外の作りは本人が見ても違いが見当たらなかった。


「また謎が増えたな……ハハ…」

ユーザはこの状況に苦笑いするしかなかった。
















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