第15話 VS不審者

「んむ〜…ガリガリ君じゃない……」

バカ医者は布団代わりに被せられているのチェンジャーの上着を噛みながら寝ていた。

「うーん…マズイよぉ〜…ってええ!何!えっどういう…えっ?何!ココドコ!?」


「起きたかい。意外と長かったねえー。」

彼の目の前にはチェンジャーが座っていた。

「誰?ってか生臭っ!なんだこの服は!ダイヤモンドより臭い!」

バカ医者は余りの臭さに目が覚める。

「ダイヤモンドの匂いって何?」

「それに汚い!焼き魚食べた時より汚い!」

「……どういう事?」


「そんな事どうでもいいから、こっち来い!風呂屋で体と服洗ってやる!」

「いいよ水浴びで済むから。」

バカ医者はチェンジャーの肩を掴み、風呂屋に連れて行こうとする。すると突然、神社のバックパックから何かが飛び出す。出てきたのはクランボだった。

「チェンジャー様。ここはこの方の言うことに従ったほうが良いと思われます。の現在のチェンジャー様の衛生状態ははっきりって最悪ですから。」

クランボは従うように促す。

「ほうら付喪神も言ってる。行くぞ。」

(この人、付喪神を知ってる?)


その頃事務所ではユーザ達が不審者と戦っていた。

ユーザはカミ男の圧倒的な腕力でねじ伏されていた。

「ヤバい…ホントに死ぬ、リン!轢き逃げアタックだ!」

「ガッテン承知!」

リンは少し離れて助走をつける。そして猛スピードでカミ男の背中にぶつかっていく。

「グハァ!」

カミ男は派手に吹っ飛び、道の真ん中に放り出される。

「やったぜ。」


その頃事務所の中では鍔迫り合いが繰り広げられていた。

「フゥン!」

隠れん坊将軍が太刀を払うと、キンノミヤはシノギで刃を受け止め、体を半身にして避ける。

そして、身をかがませ腹に刃を突き立てる

「ハッ!」

将軍は咄嗟に腕を時計回りに回転させ、キンノミヤノを腕を振り払う。小刀は弾かれて、手を離れる。その隙を逃さず、居合を繰り出す。


「…!」

室内から他人の気配は完全に消えていた。ただかくれん坊将軍の鼓動だけが響いている。

かくれん坊将軍は微笑しだす。一息つくと

「もーいーかい。」

突然唱え出す。応答はない。

「もーいーかい。」

また応答はなかった。


「ならばこれなら…」

将軍は懐からお札を取り出す。どこから出てきたのかわからない。

「これ燃やしてもーいーかい。」

「まーだだよ!!」

さらに小銭にも取り出して、

「これ折ってもーいーかい。」

「まーだだよ!!」

戸棚の奥がガタガタと揺れる

それを見て将軍はニンマリとしながら

「10秒以内にじゃあ殺してもーいーかい。」

室内を物色し始める。


(……マズイ。不審者の洞察力を甘く見てたぜ。まさかオレが金が好きなことを知っていたとは。)向こうの部屋の戸棚に隠れていたキンノミヤは必死に息をひそめる。額からは大量の脂汗が滴っていた。

9、8、7、

足音が近づいてきた。

6、5、4、

戸を開けて部屋に入ってきた。

3、

足音が益々音量を増す。

2、

何も音がしなくなった。

1、

戸棚から光が漏れ出す。

「見いつけ」


「秘技、キャッチ&リリース!」

将軍の服に針が刺さり、そのまま糸が針を引っ張っていく。取ろうともがくが体勢を崩し、刀も落としてそのまま引きずられる。


「フハハハハハ!干潮の静けさを持つ我には、流石のお前も気づかなかったようだな!」

ザッドは上機嫌で糸を巻いて引き上げる。そして体をのけぞらせその反動で、将軍を投げ飛ばす。将軍は向こうの部屋まで吹っ飛んで行く。


「ナイス!」

戸棚から出てきたキンノミヤの手にはさっき落とした刀が握られていた。

そして刀を飛んできた将軍目掛けて振り抜く。


「みっ峰打ち?」

「掃除大変だからな。」

うつ伏せに倒れ込み気絶する。

キンノミヤの勝利だ。


「はぁ。掃除が大変だ。」

随分と慣れた口調でボヤく。


「キンノミヤー!大丈夫だったか。って何だこれ!」中に入ってユーザたちは驚く。


「お前こそ、」

「あぁ、あの後ウチのチラシを配ったら急に喜びだと行きやがった。変なやつだったぜ。」


「……何だったんだろうなアイツ。」

「…考えるだけ無駄だ。」


彼らに理由などない。だからこそ不審者は不審者なのだ。


















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