第14話 不審者同時出現
「ハッココは…どこだ!日本じゃない…?」
男は未知の場所で目を覚ました。
「オレは、確か…神を敬っていたら訳わかんねぇのに絡まれて………ん?」
男は状況が掴めずにいてあたふたしていた。
「あれは…」
男の眼前には本を持ったお子様がいた。彼をその子供を蹴飛ばしこう叫ぶ。
「おい貴様!紙を粗末に扱うんじゃない!紙は神何だゾォー!」
「タキガワちゃんとやってるかなぁ〜。そろそろ出来ないのかなぁー?」
「最低一ヶ月かかるって言ってたろ。」
キンセツの件から3日が経った。事務所は暇を持て余しており、2人は机に向かい合って昼ご飯を食べていた。付喪神は食事が出来ないのだ。
「どーだ!オレの地元の料理の味噌汁ってやつだ。ホントは具もいっぱいあるし、スプーンで救って食べるもんじゃないんだけど…美味いだろ!」
キンノミヤはいつものように明るく振舞う。そんな中ユーザは黙々と味噌汁を飲んでいた。
「そんな事よりキンノミヤ、お前に聞きたいことがある。」
「何だ?」
「お前さぁ、サムライじゃないよな。」
「!」
キンノミヤのスプーンが止まる。そして静かにスプーンを持ち替え、ユーザの顔に突き立てる。
「グッ!」
ユーザはハーズはそれを受け止める。そして、ハーズの腕力で椅子から引きずり出し、机に叩きつける。
「ハァ!」
ハーズが追撃を加えようとしたら、いつの間にか間合いから消えていた。机には味噌汁の残骸だけが残っていた。
「食事の時ぐらい黙ってろよ。」
呆れながらキンノミヤが言う。服には味噌汁のシミ1つ付いていない
「初めて会った時も、キンセツを切った時も、お前は妙な技を使っていた。お前は何なんだ?答え次第じゃ………分かるよな?」
少し考えたあと呟く。「…答えられない…………殺らないのか?」
「今はな。」
しばらくの沈黙の後、2人は微笑みだす。
「食事の続きだな。」
そう言ってキンノミヤは皿を鍋に注ぎに持っていく。
「これでいいの?」
「いいのだ。ツワモノ同士。何か感じ取ったものがあるのだろう。」ザッドはハーズに静かに言う。
そんなこんなで食事は再会した。
その頃バカ医者の診療所では──
「よーしズズズッ、診察もぐもぐ、始めるぞぉ。」
豚骨ラーメンを食べながら診察していた。
「えぇ?」
足の骨折患者は戸惑う。
「この濃厚なスープがさぁ、紅生姜とマッチしててさぁ、糸みたいなバリカタがよく絡んでさぁ、
キクラゲがいいアクセントでさぁ、ペチャクチャペチャクチャ」ラーメンの話をしながら、バカ医者は診察を続ける。
「いや、豚骨よりも僕の骨の話してくださいよ。」
「え?カニバリズム?趣味悪いねぇ〜アハハハ!」
「は???」
「なぁ牛の骨で作った豚骨ラーメンって上手いのかな?ちゃっとベッドで寝てる人にも聞いてみない?」
彼が指を刺したのは肺炎の隔離病棟だ。
「イヤ…ダメでしょ。」
「患者が医者に口答えするな!」
「いやするでしょこれに関しては!さっきからラーメンの話しかしてねぇし。」
「えぇ〜困ったなぁ…今日晴れだね。」
「何故に天気の話?!」
彼は今日も平常運転だった。
昼食を終えたなんでも本舗──
「よしじゃあ買い出し行ってくるから。」
ユーザはハーズとリンで食料の買い出しに向かった。
「キンノミヤの事、ホントにアレでいいの?」
ハーズはあの件の事が腑に落ちないようだ。
「あぁ、何というか……アレに関しちゃあんま掘り下げない方がいい気がするんだ。」
「掘り下げない?」
「多分他言無用の暗殺術だ。だから触れない。それだけだよ。そんな事より買い物だ。セールの内に買っちまうぞー!」そう言いながらユーザはペダルを漕いで行く。
キンノミヤは事務所でザッドと留守番していた。
すると、入り口に設置したポストに手紙が届く。
「どれどれ……おっうちで働きたいのか。ウチも結構売れてきた?」
市場に向かうにつれてどこか騒々しい雰囲気が漂っていく。警備隊の数が馬鹿に多いのだ。
(なんか嫌な予感がするな…)
「だーかーらー!紙に不敬な事をするな!神様なんだぞ!木造建築反対!オイ邪魔すんじゃねぇ!」
市場の前では男が叫んでいて警備隊に取り押さえられている。
「助けてーキチガイに襲われてまーす!紙にバカな真似する奴でーす!助けてくださーい!キチガイヤローいまーす!」
野次馬は皆化け物を見るような目で男を見ていた。
「アイツ紙の神とか言ってたな……」
「もしかして付喪神の事?」
人混みの中から呼びかけてみた。
「おーい付喪神って知ってるか!」
「神?紙を知ってるのか!やっと話の通じるやつが出てきた!今行くぞー!」
彼らは男を事務所に連れて帰ることにした。彼らは道中、男から話を聞いていた。
「ヘェ〜お前別の世界の人間なんだぁ。」
「オレの話信じるのか?」
「まぁね。喋る籠手とかいるし。」
「異世界じゃ何してんだ?」
「神を不敬に扱う馬鹿共を成敗したり、世界に警鐘を鳴らしていた。」
男が雄弁に語る様を見てユーザは
「凄いなぁ。異世界には神様がいるのか?」
と尋ねてみる。
「男はいるぞ。そこら中にな。例えるなら右にキリスト左にアマテラス状態だったな。」
「ちょっとよく分かんないけどまあそういう感じなんだな。」
そんな会話をしている内に事務所に辿り着く。
「ようこそ!なんでも本舗へ!」
事務所の外装を見て男は愕然とする。
「これは……和室…?という事は障子が……」
男はワナワナし始めた。
「貴様裏切ったなぁ……裏切ったなぁー!」
男はユーザに飛びかかる。
「何だいきなり!」
「貴様も同類ダァー!」
圧倒的な力でユーザを羽交締めの大勢で押し倒す。
「コイツ…腕力だけなら俺より強い…異世界人って力強いのか?」
力は収まるどころか益々力を増す。ハーズでも太刀打ち出来ない程に。
「流石にマズイ……キンノミヤー!こっち来い!」
目一杯叫ぶが返答が無い。
「おい聞いてんのか!キンノミヤー!」
「ユーザ!今不審者の対応に追われてそっち行けない!」
「お前もか!」
事務所の中では小刀を持ってキンノミヤが構えていた。
対して相手は真剣を持っている。相手はキンノミヤニに対してこういう。
「お主、かくれんぼは好きか?」
少し考えて彼は応える。
「好きじゃないなぁ。鬼ごっこの方が好きだ。てかよりによって俺にそれを聞くかぁ……まあいい。名を名乗れ。」
「拙者、隠れん坊将軍でござる。鬼ごっこをする不届きものは…」
「…」
「成敗!」
不審者チャンバラが始まった。
その頃、診療所では、
「いーやーだ!絶対いく行くもん!」
バカ医者はユーザを追いかけて旅に出ようとしていた。
「やめなさい!あなたには、医者としての使命があるでしょう!」ラブクープが
「ユーザに追いつくんだ!」
「あぁまた始まりましたのね。発作が」
ツミはため息まじりに呟く。
「邪魔すんなぁ!」ラブクープの静止を振り切ってバカ医者は飛び出す。
「えぇ!?」本当に飛び出すとは思わなかったのだろう。ラブクープはひどく驚いていた。
「追いかけますわよ。」
「えぇ。早急に捕まえますわ。」
2人はバカ医者を追いかけるが馬鹿力で逃げたため、見失ってしまった。
バカ医者はウォータスを流れる川よりも早く駆け抜けた。
「ユーザにぃ追いつくんだあ!」
でも彼はユーザのいる場所の真反対を走っていた。
彼はウォータスの中心地にを抜けてしまい、来たこともない郊外の街で果てた。
「あれれー?すごいのが向こうから来たと思ったら、ここで力尽きちゃったー。」
「兄貴!クリゴといた時の記憶でコイツみたことある!ウォータスで有名なバカ医者だ。」
「へぇー面白そうだねー。」
チェンジャーはバカ医者の果てた顔を覗き込み、ほくそ笑む。ある意味最恐の不審者に声をかけられてしまった。
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