第4話 Reサイクルの大騒ぎ

「だが2人では海行くには足りぬ。もう少し探さなねば。」

そう言って釣竿の付喪神はどこかへ行ってしまった。


「あぁ、」ツミが追いかけようとするが床に崩れ落ちる。


「うっ」

トースも倒れる。


(人と触れてないから動けなくなったんだ。覚醒したばかりの2人は尚更辛いはず。)

「…ボクも大分辛いんだけど。」


付喪神大ピンチだ。


バカ医者は状況を飲み込めずあわあわしておりとても頼めそうにない。


「ダメ。限界…」

床に落ちるハーズを彼がが受け止める。


「どうしたハーズ。どういう状況だ?」

ユーザだ。


「待ちくたびれたよ〜」

ユーザ登場に思わず涙を流す。


「付喪神も泣くの。てかあの薬すごいぞ。体の不調全部治った。」


そう言い20メートル級の大ジャンプをかます。

空にいたのはイーグレブだ。


「え、何で」

「こいつもオレを追って来たらしい。でも楽勝。」

籠手をつけてない拳で殴ったのに一瞬で倒した。


「まぁ半分の力も出してないんだがな。」

ユーザ完全復活だ。


その後ユーザはここまでの事情を説明してもらった。

「そうか。オレが苦しんでる間にそんな事が」

「すぐあの釣竿を追おう!」


「ならオレっちを使ってちょ。」

中古屋の瓦礫から声が聞こえる。出てきたのは。


「…何だコレ?」

大きい輪っかが二つついた金属が出てきた。


「まさか最強クロスバイクことリン様知らないちゃん?本気まじのマジwー?つまらんな〜アッハッハ」


「「ナンダコイツ… 」」

「ってまた付喪神!何この中古屋!」

「物語に都合が良すぎるだろーが!作者はラクをしてないか?」


「だーかーらー、アイツを追いかけたいんしょ?乗るの乗らないのどっちどっち?」


「いや協力してくれるんなら有難いが…」

「釣竿の事、知ってるの?」

「御託はいーっちゅの。はい出発進行ー!」

「コレ慣れるの時間かかるな…」

ツミとトースを連れてペダルを漕いでいく。


その頃ラブクープは

2キロほど離れたところで釣竿と話していた。

「お主女だったのか。」

「声を聞けば殿方かどうか判別できるでしょう!」

「すまん。其方から磯の匂い…カニの匂いがしたのでつい我を忘れてしまい…」

「それは私がカニ用スプーンだからです。それに私は生まれも育ちも山育ちですわ。」

「我もだ!」

「とにかく早く糸を解いてくださいませ!」

「わ、わかった。」

ラブクープは解放された。その後彼女が口を開く


「そういえば貴方名前は?」

「ザッドだ。」

「貴方あの中古屋にいたけどまさか…」

「お主もそのまさかなのか……ん?この匂いは…今度こそ正真正銘海の男獲ったりぃ〜!」

ザッドがまた釣り糸を伸ばす。そのままどこかに行ってしまった。

「何なのですの…」


その頃バカ医者は

「ガリガリ君のズワイガニ味美味ぇ〜」


その頃ユーザ達は

ようやく二輪の運転にも慣れてきた。

「このクラスバイクってのすごい楽だな!ありがとリン?」

「そうだろそうだろもっと褒めろぉ。」

すると空から何か見えてきた。


「ヤツからお出ましか。行くぜぇ!」

そう言うとユーザはサドルの上に立ち、そのまま車体の勢いで前にジャンプし右足を思いっきり振り上げる。

「知らないちゃんクレイジーだねぇ。」


「来い!海の男ぉ!」

「ゼェリャァア!」


2人の直接対決が始まる。


ザッドは釣り糸をユーザの足に引っ掛け、そのまま体をぐるりと回して糸を巻きつける。

「フゥン!」


ユーザも糸を手で引っ張って応戦するが糸は手にも絡まってしまう。


「フハハ。手足そのまま切ってくれるわ!」


「ならこのまま、」

ユーザは糸に構わず、ロッドにつま先を叩きつける。そのままロッドの先端を持ち、リールに手を伸ばす。


「甘い!」

ザッドはリールを巻いて糸の緊張を強くする。糸が手足に食い込み、腕から血が滲み力が一瞬弱まる。その隙を逃さない。リールを弱めてあと緩めたら、針を袖に引っ掛ける。そのままロッドのしなりを利用し、地面に思い切り叩きつけた。


「…少しやりすぎたか。だがこの程度で死ぬ奴に海の男は勤まらグテァ!」

とんでもない衝撃がやってきた。それはさっきロッドを蹴られた箇所だ。立っていたのはユーザだ。ダメージ部位を的確に突く蹴りはザッドを完全に真っ二つにする。


ユーザは言い放つ。

「じゃあお前にも務まらないな。だから諦めろ。そのかわり話は聞かせてもらうこれ以上はやらない。」


「……甘いな。とても…あの蹴りを繰り出す物の

言葉だと…は…思えん…」ザッドは気を失う。


「…かもな。」

そう言い放つユーザの目は

不自然に笑っていた。


「ん…む?ここは…」

ザッドは目を覚ましたのはあの中古屋だ。


「やっと起きたか。話聞かせてもらうって言ったろ?」ユーザはザッドを起こす。店内にはバカ医者、クリゴ、中古屋の店主。付喪神ハーズ、トース、ツミ、ラブクープ、リンもいた。


ユーザが切り出す。

「まず付喪神達に聞きたい。お前らは何なんだ?覚醒の条件とかいろいろ聞きたい。」


ハーズが応える。

「覚醒の条件は長い年月に渡り持ち主に大切に使われる事よりも必要なのは感情だと思うんだ。ボクは記憶喪失で覚えてないけど皆は?」

バーズが促すと付喪神は口々に言い出す。


「オレが覚醒したのはクリゴを助けてぇからだな。その前から周りの音は何となく聞こえてたからだぜ。嬢ちゃんもそうなんだろ?」


「私も確かに声は聞こえていました。聞こえていたからこそ!あの医者の言動にストレスが溜まり過ぎて、それが爆発したと同時に覚醒しましたわ。」ツミの声は怒りが伺える。よっぽどストレスだったのだろう。


「あの医者ってダレ?バカ医者とは言われたこと何回もあるけどなぁ。」バカ医者は1mmも気づいていない。


「ま、まあなるほど、何かしら強い感情が引き金になると。」


「でも俺っちは違うよーん。」

次に喋り出したのはリンだ。

「ちゅーかラブクーもザッちゃんも元々喋れたんだじょ。何故なのかはワッカリッマセーン↑」


「本当かよ!」

「あぁ我は前からずっと海の男を探し求めていた。」

「私も買われるために黙っていましたの。まあ…あの男の前では猫を被る必要ありませんでしたが。」


「そうなのか…じゃあやっぱこの中古屋おかしいんじゃないのか!」

ユーザは店主を指差す。


「おかしいんじゃないのか!」

バカ医者は反対を指差す。

「いや反対な」


「待て待て待て!驚きたいのはこっちだ!ワタシだってこんなだったなんて今知ったんだよ。」そして店主は中古屋の付喪神を見て


「思い出した。確かあのぉ一週間くらい前だ。」

店主は話し始める。









  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る