第3話 カーーッ!バカには付き合ってられません!

何だお前誰だ誰なんだ?オレに何の用だ? オレ?オレは…お前は?誰…だ?オレはあ、あ、あ、ああああああぁ


「おーーだーーやーーかーー」

「ハッ…夢か。うああ頭痛い!」

ユーザは目を覚ます。

「おーーだーーやーーかーーおーーだーーやーーかーー」

「うるせ!さっきから何言ってんだ!」


ユーザは目の前の男に怒鳴る。男は白衣を着ていた。

「いや全然起きないし。でも穏やかな朝を迎えてほしいし。」

「穏やかって言えば穏やかになるわけじゃない。てか頭いてぇ」


「わかったすぐ治療してやるから。今別の患者診るからちょい待ってて。」

そう言って白衣の男はどこかへ行ってしまった。

ユーザは彼を見て

「…あれで医者か、?そういやクリゴさん達は、」


「ボク達もここにいるよ。」

クリゴ達も同じ診療所にいた。既に治療を施されたクリゴは鎮静剤で寝ている。足は包帯でぐるぐる巻きだ。


「大丈夫だったか?」

「あの後街の警備隊に助けてもらったんだ。」

ユーザは胸を撫で下ろす。


「それとユーザのとこ水筒飛んでこなかった?」

「あぁトースとかいってたな。突然酒飲ましてきたからビビったぜ。まぁそのおかげで倒せたんだが。」


「ならもっと感謝しやがれべらぼうめぇ。」

トースがベッドの下から出てきて言う。


「ど、どっから出てきたんだよ。」

「オレの酒の勢いでワシ野郎も倒せたんでぃ。羽に刺されても平気だったろうが。」

「羽に刺された?それらしき傷はないぞ。ってかお前の酒のせいで完全に二日酔いだ。ずっと頭痛いし治んねぇ。」


そんな会話をしてる内に

「おいこのヤロー!俺の私はおこってるんだぞ!」

医者が怒ってやって来る。

「え、何かしたかオレ…なんで怒ってるんだよ」

「だから、怒ってるから怒ってるんだよ」

「だから理由を言えっつの」

「理由?忘れた。だからもう怒らない。診察するぞー。」

「ハアァ?」


呆れるユーザを他所に

「まずは脈を測るぞ。」

ユーザの手首を持ち脈を測り始める。


「うーん…異常だ。」

と呟くなり唸り始める。


「え?何か問題が…」

「正常脈しか聞こえない。」

「ってそれは正常だろ!」

ユーザは思わずツッコむ。


「次口開けて。」

ユーザの口に棒を当てて喉を見る。

「うん?この棒何かベタベタする…」

「それ昨日食べたガリガリ君のハズレ。」

「何ちゅうモン口当ててんだ!」

「あー新発売のズワイガニ味のほうがよかったか。」

「そういう問題じゃねぇよバカ!」


「でもまぁ典型的な二日酔いだ。これ飲めば治るぞ。」

そう言ってバカ医者は胸ポケットから薬を出す。

「お前の薬飲むの相当怖いんだが。しかも胸ポケットだし…」

「遠慮しないでほらイッキ!イッキ!イッキ!イッキ!」

「宴会じゃねーんだからんぐっ!……ヴァッしょっぺぇ!」


意を決して飲んだ薬余りの塩味にユーザは倒れる。

「ごめーん塩と砂糖入れ間違えちゃった。」

「どんな薬だ!マジしょっぺえ!」

「あとの関係ない話だけど〜カレー味のうんことチョコ味のうんこどっち食べたい〜?」

「知るかクソが!!」

「両方食べたい食いしん坊さんか。アハハハハ!」


ユーザとバカ医者の問答を見ていたハーズとトースは

「人間の野郎共はあんな感じなのか?覚醒したばっか分かんねぇ。」

「多分違うと思う…特に医者の方はね。」


すると突然


「「カーーッ!バカには付き合ってられません!」」


二つの付喪神が飛び出した。

付喪神は窓を突き破りどこかへ行ってしまった。バカ医者は呆然だった。ユーザはそれに気づかずまだ苦しんでいる。


「お医者さん。」

ハーズはバカ医者に話しかける。


「わぁ喋った!なに?」

「今飛んでった物に覚え無い?」

「確か診療所の枕カバーと昨日中古屋で買ったカニ用スプーンだ。」

「あの2つに何かした覚えは?」

「ない。」


「直接聞くしかないか…」そう呟いたハーズは

「ありがとう。トースあの2人を探そう。」

「おぅ任せやがれ!」

2つはまた窓を破って出ていった。


それを見てバカ医者は

「しゃべる物?面白そー!ついてっこー!」

何故か彼も窓を破って出ていった。


その頃ユーザとトースは物陰に隠れながら付喪神を探していた。

「もっと大胆に行こうぜ。」

「ダメ。只でさえ付喪神が2つも暴れてんのにボク達まで出てきたら大パニックになっちゃう。」

「そうか…」



事件現場は中古屋だった。そこの店主はショックで気絶している。あの付喪神達とバカ医者もいた。どうやら一足先に見つけていたようだ。

「貴方には付き合ってられませんわ!」

「全くです!前の持ち主の所に今すぐ戻りたいですわ!」

「私の何がいけない?午後の紅茶を午前に飲んだことか?小便器にうんこした事か?1+1を間違えた事か?」


「全部です!私は貴方の妄言を24時間365日聞かされてるんですよ!もう気が滅入って仕方がない!」枕カバーが叫ぶ。


「君はわかった。でもカニ用スプーンは違うだろ!まさか、生き別れの兄弟?」


「そんな訳ないです!ガリガリ君がズワイガニ味だからって私を買う必要ないでしょう。」カニ用スプーンも食ってかかる。


「カニの隙間の所って結構食いにくいんだぞ」バカ医者もすかさず反論するが。


「ガリガリ君に隙間はありません!」

「そうです。会って1日の他人をここまでうんざりさせるなんて異常です!」

「だから私達はここに身を投げにきたのです。」

どうやら彼女達は今の持ち主の元を離れ中古屋に身を置き新しい持ち主を探すようだ。


それを見ていたハーズとトースは

「助ける必要あるか?」

「でも行かなきゃ。」

恐る恐る仲介に入る。


「いやーでもお医者さんだって悪気があった訳じゃないんだしさ、まあここは折り合いをつけてさ、ね?てか名前は?」

ハーズが飛び出し、言い出す。


「私はツミ。枕カバーの付喪神ですわ。」

「私はラブクープ。カニ用スプーンの付喪神ですわ。」


「こんなことしても意味ないよ。戻ろう」ハーズが説得しようとした時


中古屋の物の山から突然


「お主磯の匂いがするな。海の男にならぬか。」


という声が聞こえた瞬間、糸がラブクープのを捉え持ち去っていく


「キャアアー!」

「ふふ、我の待ちわびた良い匂いだ。海の男になるのにふさわしい。」


ラブクープを捕まえたのは、釣り竿の付喪神だった。


「また付喪神ぃ!?」











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