日常すぎる日常
とりあえず一時停止すると、画面から神田川が出てきた。
出てくるなり涙目でどんよりした表情を見せ、部屋の隅っこで体育座りをした。
うわぁ……声かけづらいわ。
でも、このままでいられてもアレなので、とりあえず肩を叩いた。
「……大変だったな」
「…………よ」
「え?」
「なんでこうなるんだよぉ〜〜〜!!!」
「おい、でかい声出すな!バレるだろうが!?」
「アンタ、今度は何!?うるさいんだけど!」
「あ、ああ、ごめん。またミスっちゃって……」
「アンタは二次元でもモテないのよ!さっさと受け入れなさい!」
「やかましいわ!」
「アンタがね!」
「はいっ」
確かにそのとおりだった。いや、厳密に言わなくとも犯人は俺じゃないんだけど、ここは謝るしかない。
「よし、行ったか。ったく……気をつけろよ。とても人には言えないんだから」
「だってよー……こんな展開になるなんて誰が想像つくんだよ?」
「…………」
お前かそれを言うか、と思ったがスルーしておく。
まあ、せっかく甘い展開が待っていると思ったら、謎の戦闘シーンに突入し、先生に血なまぐさい謎設定がついてそうとか……。
「と、とりあえず生きて帰れてよかったじゃん?」
「そりゃそうだけどさ」
「それに新しい一面というか、新しい長所を知れたと思えばいいじゃないか」
「あれは知りたくなかった一面じゃないか?」
「バカ言うな。ずっと一緒にいたいならいずれわかることだろ?お前の愛はそんなもんなのか?」
「……モテない奴から言われても説得力が……」
「やかましい電源落とすぞ。それよりどうする?やめるのか?」 「……いや、やる。ここまで来たからには先生のすべてを知らなきゃな」
「よし、その意気だ。じゃあまた明日」
「はあ?何でだよ。こっちは準備万端だぞ」
「いや、俺が明日の準備をしなくちゃいかんので」
「あ……」
神田川も気づいたらしい。
時計の針はもう日を跨いでいた。
********
「ふわぁぁぁ……」
睡眠時間が足りていないのだろう、欠伸が出てしまう。こりゃあ昼前眠りそうだな。
すると、隣の席の東山が呆れた表情でこちらを見ていた。
「田中、また夜遅くまでゲームしてたの?」
「……まあ色々あってな」
「深い理由がありそうな空気出してもわかってるわよ」
「……すー……すー……」
「寝たふりすんな」
「なあ、東山。もし、俺がゲームから出てきた主人公の為に頑張ってるとか言ったらどうする?」
「シカトするわね」
「だろうな」
こうしていると家での出来事がウソみたいに思えるくらい学校生活は普通だった。
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