7話 間章01+堕ちる悦び


あれ?ここ何処?


やけに眩しい。目は閉じてるのに光が当たっているのがわかる。


病院?でも、寝てる感覚はない。

ただ、意識はある。



目は、、、



眼を開けると白い。


ただ、白い空間に立っていた。



昨日、家に帰る時、、、


ズキッと頭が割れる様な痛みに襲われる。


「くっ!!何だこれは!?」


思い出すことを拒否してる様な感覚。



「ようこそ。死後の世界へ。」


急に声がした。聞き馴染みのない声。

その声の方へ向く。


誰も居なーーー


いた。見た目は綺麗な女の子。

何処にでもいる、そんな感じがする子だ。



いやいや、そんなことより


「死後ってことは僕、、、」


「はい、死にました。」


う、嘘だろ、、、、

「で、でも死んだ時の記憶、無いんですけど」


「ええ、貴方は無いタイプなのでしょう。車にでも轢かれたのでしょう。」


「えぇ、、、。」

何ともテキトーな回答。ここって定番なら神様とかがチート授けて異世界に飛ばしてくれるんじゃないんですかねー!!!


「良いですよ。スキルと転生が希望ですね。」


何も言ってないのに心をよんだ様な回答。

でも、スキルくれるしなんか漫画みたいでワクワクする!

何が良いかな?


無双したいなあ。


お、女の子と、、、、ふふふ、、あんな事やこんな事、、、、。


前の世界何てクソだ。


僕は異世界こそが僕に相応しいんだから。



「スキルは決まりましたか?此方からランダムに選出も可能ですが。」


あくまでも事務的に機械的に聞いてくる。

もっと僕に媚びてくれても良いのに、、、


「すいませんがこの"個体情報"では貴方に媚びる様な事は完全にあり得ない事象となっております。」


盛大に振られたんだけど!!


まあいい、肝心なのは異世界。


スキル、、、あ。


「略奪って言うのは出来ますか?」


ふふふ、これで最強。無双間違いなし!!


「略奪。、、、、可能ですね。」


「では!それでお願いします!!」


「畏まりました。後2つまでスキルは獲得可能です。」


「二つかあ、じゃあ言語理解と隷属化で」


目の前の女の子は少し考える素振りを見せるが直ぐに直り、此方を見る。


「これで3つですね。略奪、隷属化は代償が伴います。説明しますか?」


「いや、使う分には問題無いんですよね?」


「そうですね、自分より強い方には効き目がないとだけ言っておきます。」


え、そうなの?


、、、、


、、まあ、そんなに僕より強い奴なんてそうそう居ないわけだし、大丈夫か、、



「じゃ、お願いします!!」


「畏まりました。では、次の人生を有意義にお過ごし下さい。」


ロリ神様が言い終えると全身が光り出す。



そして、



意識がプツンと途切れた。



【ステータス】

軽崎 洋太(ヨウタ=カルザキ)[Lv.1]

生命力200/魔力500

【スキル】


略奪EX[Lv.-](自分より格下であると世界が判断した時に全てのスキルを奪うことが出来る。生物、非生物も対象となる。)


言語理解[Lv.5](言語に対して理解度が赤ちゃん並みに深い。言語と認識出来れば理解が早まる。)


隷属化EX[Lv.-](相手の同意無しで奴隷化させるもの。奴隷化した者の全てを掌握し意のままに従えることが可能。ただし、隷属化には対価が支払われる。その対象の価値に見合わなければ隷属化は出来ない。)















はあ、あんな者まであの方の世界に行くなんて。


まあ、能力的には下の下ですから心配はしてませんが。


ああ、"また"会いーーー


個体情報の削除の際に好奇心で一部取り入れたのが拙かったです。



制御権がーー





命さん、、、、。















ここから本編です。ーーーー



「ぅ、、、ふぁー、、あ」


「ひゃっ!!」


誰かいる。



けど、


不意に何かを掴む。

柔らかい、、、



其れを此方へ引っ張り両手でがっちりホールドする。


「み、ミコトさん?、、ひゃっ、、」


丁度引っ張り上げた際に顔にもっと柔らかい何かが覆い被さる。


すぅと鼻で息をすると


「ひゃっ、、、っん、、」


良い匂いがした。

もっと


もっとと欲張りになり顔を押し付けてその柔らかいモノを堪能する。


「あっ、、やっ、、んんんっ!!」



えっちな声がする、でも今は


この柔らかさと温かさには勝てない。

次第にまた、微睡へと誘われる。

抵抗なんてできにゃい


だってぇ、、、



、、、、



、、


、、。




「んっ、、み、ミコトっ、、っん、、、あんっ、、、あ、あつ、、、」










4日目。


エリシアに叩かれた。(ぐすん、、、。)


何故でしょう?


でも、恥ずかしそうな感じしてたあの顔は可愛かったです。


目覚めも最高です。


エリシアに話しかけても顔が真っ赤になって逃げられてしまいます。悲しいです。



寮の庭にでます。

そんな複雑な心境で朝の日課を行います。

日課に心境は関係ないのです。


今日は少し重めに十倍程の重さでやります。

創造でシンプルな片手剣を作り、重さを魔法で操る。


重力魔法。これは創造した魔法の一つでインスタントみたいなモノ。だから毎回少し魔法の構成も違います。


身体全体に魔力を行き渡らせ、魔力で補強します。


その後に少し身体の確認です。

準備運動してーー



「ーー何ですか?」


気配の方へ向けば、、。


ああ、イルミアニスを見てた人だ!

でも、殺気を込めて来るなんて少し不快です。


「出てこないのですか?ではーー」


準備運動がてらに、彼女の背後取る。

更に創造で手脚に枷を付け、重力を操作。


「ぐぅっ!?」


地面にめり込んだ枷から逃れようともがく彼女の前に屈み話しかける。


「使用人ですよね?イルミアニスの。」


「、、、。」

ただ、此方を睨むだけで何も言わない。


「はあ、まあいいです。少し失礼しますね」

睨み続ける彼女の顎を掴み此方の目線に合わせる。

千里眼を使い彼女の全てを覗く。



「ふーん。成程です。」


手を離す。そして、剣を取りに戻り彼女の目の前に突き出す。


「貴様、、今、何をした、、」


「貴女に関係あるでしょうか?」

先に此方の質問に答えませんか?と聞いてみるが


「ふざけるな!私はイルミアニス様の護衛としてーーー」


「そうですか、護衛ですね。」

でも、今見た景色、、、。


"まだ"彼女は大丈夫。なはず。


「護衛ならしっかりしてください。うっかり殺しちゃいます。」


枷を解き自由にする。

途端に彼女は逃げるではなく、此方に向かってきた。


えと、殺しちゃダメですよね??



うーん?



忠告しましたが、、、




向かってくるナイフを避けつつ思案する。

どうすれば良いか。


二度と歯向かうことのできない様にさっきしたつもりだったんですが、、、



あ、足りませんでしたか?


思い至れば直ぐに行動です!


動く彼女の右腕を掴み骨を潰してから一本背負いをし地面に叩きつける。


「っぐ、、ふっ、、、!!?」


魔導師は普通の人よりも少しだけ丈夫です。

だからこの程度では死ぬ事はないです。


腕を抑えながら悶えてる使用人を見て再度問いかける。

正直言ってこれは面倒です。でも。


昔、誰かに言われました。直ぐ殺すのはダメって、、、だから私はめんどくさくても聞くんです。偉いですから!


「使用人風情が如何して私に構うのですか?」


彼女の頭を突きながら聞いてみる。


「、め、、に、、、、、、だ、、、」


ん?何ですか?もっとしゃんとして下さい。


「ひ、姫様に、、、近づ、、、くぐふっ、、はぁ、はあ、、、不届き者、、、だから、、、だ。」


意味が分かりません。何なんですかね。


「ま、何でも良いです。今回は見逃してあげます。」

人差し指を立てて彼女に諭す


ーー良いですか?貴女の職務は主人を護る事です。こんな無駄死にをする事ではありません。

ですからこんな事してないでさっさと主人に奉仕しててください。


片手を彼女に添え潰した腕と叩きつけた時に損傷した傷を癒す。


ふう、これで良いです!


立ち上がり日課を再開する。


もう、私には彼女は見えていない。







痛みは完全に無くなった。

あの不届き者に少し分らせてあげるつもりでいたが、逆にやられてしまう始末。


私は能力的にこの国でも上位に位置する者として驕っていたのかもしれない。


もうあの者に私は写っていない。

そこら辺の石ころと同等。

しかし、此方が何かをしようものなら首が落ちるだろう。


実に不愉快だ。


だが、彼女を見る。

持っている剣は普通の剣。武器屋で銅貨10枚くらいだろう。


その太刀筋はどの流派、型とも見えないものだ。


鋭く、芯がある。


自己流の者も何人か知っているが、その者達にはブレとスキが多くあり基本的に全てが甘い。

彼女にはそれが無い。



彼女が止まったと思えば、其処に誰かを想定して剣を振る。


ほんの一瞬。それだけで終わり。




彼女の言動は終始子供の様。

しかし、確実にナニかが"欠けていた"



もう、彼女に関わるなと告げるために姫様の部屋へ向かう。

彼女はダメだ。


姫様を、、、私の姫様に害する、悪だ。


急がねばならない。


ーーコンコン


ノックし、姫様。失礼しますと言ってから入る。


開ければ姫様は此方を向いて微笑んでくれる。


ああ、、、私だけの、、




それから少しだけ世間話をしてから紅茶を注ぎ直し本題に入る。


「先ほど、エリシア様の同室のー」


「ミコトね!其れがどうかしたの?」


もう、名前まで、、、


「その方なんですが、少々裏がある方でして姫様に害を及ぼす可能性が御座います。」

内心の荒れた気持ちを押し留めて冷静に話す。

全ては姫様の為。


そう。これは姫様の為なのだから。


イルミアニスは考える様な仕草をし、あっと言ってから此方に視線をよこす。


「転生者の件かしら?別に隠してるつもりは無いって言ってたけど?」

全然違った。が、転生者?

アレが?


あの英雄と讃えられるカヨ様とコウタ様に並んでいると?


強さには納得しました。私では足下にも及びません。

ですが、アレが転生者?


おかしい。


「おかしいです。それは。」


「ん?何がですか?」


いつの間にか声に出ていた様です。

元に戻す術はないので自分の考えをお伝えする。


「あの者に英雄の様な影はありませんでした。かと言って暗殺者の様な感じでも無いです。

あれは何かが欠けた者。人の形を模した別物です。

見た目に騙されてはダメです。アレは危険です。」


曖昧ながらも姫様に伝える。

どうか、伝わってくれと思いながら。


「ふーん、あの子を貴女はそう見るのね。でも、転生者である事は彼女の口から聞いたものよ。」


呆れ、姫様からはそれしか感じられなかった。

腕を組み姫様は言う。


「大方貴女が何かしたんでしょ?

そうでなくても彼女は見た目以上に子供なの。


300年生きてたとして、全く成長してないそうよ。それが見た目だけとは考えられない。

それに、私が保健室へ言った際に彼女。


絶望した顔をしてたの。


それは私が関係してる。でも、原因は聞いてみないと分らない。教えてくれないかもしれない。

そりゃあ強いかもしれないわ。


ここの誰よりも


だからって彼女と関わるな?それは貴女に言われるものでは無いわ。

まだ会って間もないのにそれは差別してる貴族と変わらないわ。」


言い過ぎだと思ったのか口を抑える。


覗く、それはきっとスキルの類だろう。

それも能力を見るものではない。


それで絶望?


私の時はゴミを見る顔だった。


何が違ったと言うのか。

ただ、姫様を思って進言しただけなのに。


「出過ぎた発言でした。、、失礼します。」


姫様の顔を見れる筈もなく急ぎで出ていく。




少し離れた場所まで来た。

此処なら誰も居ない。


「クソがっ!!あの女風情が私の姫様に!!」

壁を叩く。


ガンっ!!


痛みで冷静さを起こそうにも起きてくれない。

あのゴミでも見た様な眼。


呆れたと言わんばかりの言動。


全てが気に食わない。


ーーねえ、あの子殺したくない?


バッと振り返るも誰も居ない。



と言うか此処は何処だろう?

学校に、、いや、寮内にこんなところ、、、。



ーー願うなら貴女に力をあげる。



ねっとりと耳に絡みつく様な声。何時もなら不快な声。


でもーーー


「よこせ!!アイツをぶっ殺せる力ぁ!!」


くれると言うのだ!なら悪魔にでもなる。

この世からあのガキを消せる。

隣に居るべきなのは私だ、隣で何をするのも私なのだ。食事だってーー


私は姫様とまたーー


ーーふふ、元気ねぇ。じゃあはい、これ。


途端に意識を持っていかれそうになる。


ーーちゃんと意識を保ってねぇ


うるさい。

私はひ、姫様の


ヒメ様、、の


ひ、、の?


ーーーの為に



ーーうふふ、おバカな使用人。私の為にあの子を殺して?


「ふふふ、ふはははは!!」


感じる。身体から溢れる魔力。力。

これでヤツを


ヤツをブッ殺す。



とある"学校"の片隅で彼女は高笑う。

全てはーーーのために


全身に魔力を循環させる。

元の魔力と混ぜ合わせ置換するように。











予定通り、あはは。

私の為にせいぜい頑張ってね!


「バカな使用人さん!」


少しだけ期待しとくからね!

ご褒美はお姫様!なーんてね。


私はあの子が欲しいの。

生きてても死んでても良いの


私の目的の為にーーー















あとがきーーーー


読んで頂きありがとう!


急遽間章を増やしました。

時差的には、、、まだ考えてませんが良い感じに際立ってるキャラかと。


こんな感じで偶に間章でキャラを増やしたり動かしたりしようかと思います。


extraとは派生しないまた別の物となります。

だって勇者とかの話も欲しくない?


うんうん、、、、え?いらん?


またまたぁ、では次回へ!


【プチ解説】


略奪EX[Lv.-]自分より格下であると世界が判断した時に全てのスキルを奪うことが出来る。生物、非生物も対象となる。

死んだ場合返還される。

(本人のレベルに依存する。)

【代償】死の確定。(寿命によるものではない。ただ、運命レベルで死が付き纏う。)


隷属化EX[Lv.-]相手の同意無しで奴隷化させるもの。奴隷化した者の全てを掌握し意のままに従えることが可能。その対象の価値が術者よりない者でなければ隷属化は出来ない。

(レベルではなくその者の人生の価値に依存する)

【代償】可能性の削除。(確信が無ければ全て失敗する。)

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