extra2 亡霊の背中を追って(前編)


ガイスフィア王国歴史研究施設


我々は一つの疑問の下にとある研究を行っている。200年前から交わされていた王と誰かの契約書である。

その内容は王国側には不利益どころか利益にしかならない物であり、その誰かには利益にならない様なものであった。

それが発見されたのは五代目の王が王位を継いだ時にその契約書を見て大層御立腹なされたのだ。


曰く王は

「不愉快だ。こんな誰かも分からん人物に何故私が屈せねばならない。」

とだけ残しその契約書を当時王の側近であった者が処分を命じられ渡されたのがきっかけである。


そも、契約書は処分すること自体は可能だが、同時に一方的な破棄になってしまう。

書状の内容にはこの国の存亡が掛かる内容がある。それだけを見れば馬鹿馬鹿しいと破る事もできる。

ただ、そんな事に200年もの間交わされるほど当時の王は馬鹿では無い。

寧ろ聡明な方だ。その様な方が態々この様に4代目まで途切れることなく守って来た。

私はそれが疑問である研究グループを自費で起こし、その疑問の答えを探すことにした。



契約書は全てには劣化を防ぐ為に保存の魔法が掛けられており、それだけに我々も疑問を抱かざるを得ない。

だが、経年劣化は魔法にもある為再度覆う様に保存の魔法を掛けて尚且つ結晶化して強度も増すことにした。


私は王の側近であるが故にその研究を行うのは難しい、他の者たちに任せても良いのかと思案し不安になることも多々あったが、数週間経って私宛てに紙の束が届いた。添えてあった手紙には定期報告に関するレポートを作成しましたと走り書きながら丁寧に書かれていた。

私にあった不安は内容を見て直ぐになくなった。

確かに誰と交わしたのかはまだ分かっていないが、取り敢えずここ200年で起きた変わった出来事のみをまとめた様だ。


彼らには王国の資料館の許可証は出せない、私情で扱えるのは王族や一部の貴族のみである。

ので、其れ程情報が取れるわけがないのだ。

だが、このレポートには50件ほどの出来事とそれに対する意見、推察等が書かれていた。

どれも、一考するに相応しいものであり読み終える頃には朝になっていた。


その中でも多くあったのが冒険者ギルドにて依頼が気付いた時には受諾され報酬が正式に支払われていたことである。

研究チームはその依頼が重要だと言うが結果的には不発。どの依頼も関連性がないのだ。


だが、私はここでギルドは何故こうまで協力的なのかわからないと感じ、休暇ついでに研究施設に顔を出した。


「お疲れ様です。施設長殿。」

「ああ、良いんだ。ところでレポートで疑問点がいくつかあったんだが、、、」


彼等と会い早々に聞くと、冒険者の間でも不思議な事が多発していた記録があり、ギルドとしても事例があったので調査を内々にしていた様、そんな時に研究チームが聞き込みをしに来ていて追い出そうとした所その内容はギルド内の事例に似ていたから協力してくれる事になったそうだ。

話だけ聞くと頭を抱えたくなる事だ、聞き込みに際しアポ取るのは当たり前だろうと後に叱りつつ、進歩には間違いなくしたのもだからその点についても褒めて、士気を高める。





施設を建てて早5年。研究は進んでいるもののその人物像はボヤけてて未だ掴めない。

流石にギルドだけでは足りなくなってきた。

そこで私は王国の資料館に訪れた。

彼等では立ち入る事は不可能な為直に私が調べる事にした。


過去の史実を記した記録を200年前の物から読み漁ると、契約書には日付が記載されていた事を今になって思い出し、その年月の記述を確認する。


そこにはエルクレン家に英雄を引き取らせた旨が書かれていた。立会人は当時の当主の妻であるエリーゼ=エルクレン殿。何故その家だったのかは伏せられていて探しても見つからなかったが、エリーゼ殿とその英雄が帰って直ぐにその英雄の死が知らされたと書かれていた。


何でも英雄を呼び出した後にある術式を施した首輪を付けたとされている。

これに賛否はあるが我々人類よりも遥かに高い能力がありそれがこちらに向いた時に対処し得ない懸念点がある。それを払拭するべく英雄には内密にそう言った事が行われていたとなるがおかしい。

その知らせが届いておきながら契約は続いている事だ。


まだ、未だ何かあるはず


あった、そこにはエルクレン家で雇われた使用人が着任当日死亡する事件があった。

その際にエルクレンの者ではなく引き取って死んだ筈の少女が出てきたのだ。


(少女、、、俄かに信じがたいが、、)


その際に少女は一言だけ告げると気付けば捜査に来ていた騎士団は王城の前で倒れていたと言う。


『帰りなさい。許したのは一度だけです。』


少女はそう言った。

この様な事例はなく直接王へ報告した際には酷く狼狽していたと言う。

それもその筈、彼女は死んだ筈なのだから。


そのまま捜査はされず、事件は無かったと記載される事になった。


だが、ある時エルクレンが雇われ件の使用人を調べていたと言う者がその事件の後に騎士団の方へ顔出したと言う。

聞くにかの使用人は貴族の者を殺しまわる悦楽の殺人鬼だという可能性があると延べていた。

その当時は貴族内で事故が多く死者もそれなりに出ていたが、事件である証拠はなくそのまま事故として処理されていた。

そのため彼の言い分には眉を顰める者もいたが彼は一貫して主張を続けたと書かれている。


「だが、これだと彼がエルクレン家に行った時にはその使用人は亡くなっている。」

調査した者が1人ではない可能性はあるが早すぎる。

まるで出会って直ぐに殺そうとして殺された様な場面になる。


貴族には一定の裁量で処刑を行う権利は当時にもない。だとするとやはり異世界からの英雄の少女がやったのだと推察してみると曖昧ながらも通る話ではあるかもしれない。


その捜査の際に騎士団が見た少女の表情は無表情で尚且つ不気味な不快感を覚えたと言う。

そこから導き出されるモノは


「スキルか?其れも恐らく最低二つ」


スキルはこの世界でも持つ者はいる。が、強力なものほど少なくなる。まず、スキルは人智を越えるものは英雄以外で確認はされていない。

その英雄にはスキルが3つ備わっていたと言う。


___3つか、、


仮説を立てると、一つは転生者と言うスキル

もう一つは精神に関わるモノ最後は、、、


いや、おかしいではないか。であればあの首輪の事が説明できない。駄目だこれだけではなくエルクレン家に行ってみるしかない。4つ目があったのか、でも他国の事例にも記録にもその様な記述や記録はない筈。隠していたとか?

いや、どうせ後になってバレる其れはない。だとすればイレギュラーである可能性がある。


召喚の儀の魔法において確率的には有ると一応記載されているだけの起こり得るはずがない眉唾のものであり、事実今までの召喚でイレギュラーは確認されていない。

だが、死んだのに生きていたのは過去全ての召喚においては一件も確認できていない。


私はこの事をチームには伝えず、エルクレン家と対話すべく手紙を送る。


エルクレン家の当主と何度か話をする事ができたが、件の事を話すと知らないの一点張りで聞く耳持たなかった。

知らないのは200年経っていたからかそれとも本当に分からないのか其れを知るべく私は休暇を潰しエルクレン家と交渉する。



やっと話を聞いてくれたのは其れから10年経ってからだった。











〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


本編進まずごめん。

ただ、内容はあらかた決まっているんだが何だかなぁって思って他人からの視点を書いてみた。(これも前後編なのだが汗)


まあ、明日かな楽しみにしてる方がいるか知らんが待っててくれ


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る