第7話 宣告
~第6話までのあらすじ~
深く一礼して、鳥居をくぐる。途端に周辺が静かになった。
美心が足を止めたのは、
「参りました、
美心の口から出たのは、王那という名前である。これが、神様の名前?
すると突然、ものすごい勢いで神楽殿の扉が開いた。
「待ってたぞ!響!」
そう大声で叫んだのは、オトナとしては少し小さめの、見た目も10歳程度の人物だ。グラデーションが鮮やかな、和服に近いがどこか違う、異世界のような美しい着物を身にまとっている。第一印象としてはかわいく美しいといった雰囲気だが、正直言葉で言い表しきれないくらいの奥深さがある。その見た目に反してあの大声だ。ギャップまで兼ね備えているか、この少女。
「君には色々伝えたいことがあるんだ!入った入った!」
そう言って王那は2人を神楽殿へ招き入れた。響は思った。
(あれ?この世界の神様、思ってたのと違うような...)
「たっぷりくつろいでいいからな~!」
と盛大に笑う王那のお言葉に甘え、響はソファに腰を掛けた。王那は装飾のある豪華な椅子、美心は木でできたシンプルな椅子に座っている。3人の中央には机があり、スナックやクッキーが山のように置かれていた。王那の片手にはドーナツ、もう片手には意外にも緑茶らしきものが握られていたが、王那と目が合い微笑みを向けられたので、響は恥ずかしくなり目をそらした。そして、移動したその目線の先には「
神楽殿でのこの時間、王那と美心が中心となり、「記憶保持者」がどうたらこうたらと何やら話をしていたが、響はやはりその部屋が気になっていた。それに王那は気付いたようで、
「さっきからあの部屋が気になっているらしいな。伝えたいことはそっちで話すから安心しろ。」
と言い、響は2人との会話に戻った。
響が2人と打ち解けられてきたころ、ティータイムは終了した。いよいよ「俯瞰の間」へ...
と思ったら、美心は「私はここで失礼します」と残し、神楽殿から出て行ってしまった。そして、さっきまで座っていた豪華な椅子を「俯瞰の間」と書かれた扉の前まで運び、王那は響を見て言った。
「ここからは、私たちだけの領域だよ」
響はその言葉に、また少し恥ずかしくなった。
王那が扉を開けると、そこにあったのはモニターやらゲーミングチェアやら、プロゲーマーの部屋のような光景だった。しかし、色合いか天井か、あるいはただの雰囲気か、やはり何か異質なものを感じ取れた。王那は扉を閉め、持参した椅子を床において腰を下ろし、同じく腰かけた響に、驚くべきことを口にした。
「この神社は4次元にあるんだ」
(...4次元?だってさっきまで、学校から帰る途中で...)
(!?)
響は絶句した。そして思い出した。鳥居をくぐった瞬間の何かを断つような静けさ。
「ここに到達できるのは君だけなんだ、『オーナー』」
*人物*
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*発生したバグ*
・空白の半日
2028年2月28日の昼12:00~夜24:00までの12時間の記憶を持つ者はいない。
・国見糸葉のオトナ化
国見糸葉は身長およそ230cmのオトナになった。
・中野旗音の消失
2028年2月28日を最後に、中野旗音は姿を消した。
・神社の違和感
3次元と4次元をつなげる神社。
・
4次元の住人は3次元世界において武力での戦闘を起こすことはできず、これに従い決着をつける。
響はこの世界の神様「王那」と出会った。
そして彼女は、響を『オーナー』と呼んだ。
小ネタ)
この神社は3次元と4次元をつなげる神社であるが、実際に次元を越えて移動できる者は、響を含めたごく一部の人間である。それ以外の人間には、普段通りの神社に見えている。
神楽殿まで響を連れて行った美心は、オトナではない響の歩幅に合わせてゆっくり歩いてくれる、とても優しい巫女である。
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