第21話 リールの願いと新たな想い
早朝の静けさが森全体を包んでいる。木々の間を通り抜ける風が心地よく、澄んだ空気が肺にしみ渡るようだった。俺は手に馴染んだ剣を握りしめ、黙々と鍛錬を続けていた。
「はっ……!」
鋭い声を上げながら剣を振り抜く。朝露がついた葉がわずかに震え、その滴が地面に落ちる音が聞こえる。振るうたびに風を切る音が響き、次第に体が温まってくるのを感じた。
スズカはまだ来ていない。彼女は王国での業務を片付けた後、合流する予定だ。俺は一人でこの時間を利用し、集中力を高めていた。
レオンとアイリがマルベラ王国に来てから、俺の鍛錬はさらに厳しさを増した。剣の振り方一つ一つを見直し、基礎から体を作り直している。
「奴らには俺にない力がある」
天魔――レオンとアイリが持つその力。自分にはない未知の力だ。それがどれほどの脅威かは分からないが、確かに圧倒的な何かを感じた。さらに、それ以外の天魔の力を持つ存在がいる可能性も否定できない。
剣だけでは届かない力。それでも、俺にはこの剣がある。この剣を振るい、どんな力にも立ち向かう。それ以外の道はない。
剣を振り続けた後、俺は静かに深呼吸をした。冷たく澄んだ森の空気が、体の疲れを和らげていく。
「……よし」
拳を握りしめ、再び剣を振り上げようとしたが、ふと足を止めた。この森の静けさに包まれると、自然と心が落ち着いていくのを感じる。スズカと次に向かう地――極寒の地「スノーフォール」への旅立ちが迫っている。旅の準備は整えつつあるが、まだ心の整理がついていない部分もある。
あの日以来、スズカはさらに俺に寄り添う時間が増えた。彼女が俺に抱く想いは強い――それははっきりと分かる。だが、それは俺を慰めるような、支えるような行動にも見える。
「ジュラークさん、無理しないでくださいね」
そう言いながら、彼女は何かと俺を気遣ってくれる。彼女の笑顔には確かな温かさがある。その優しさを受け入れるたびに、俺の胸が少しずつ軽くなるのを感じていた。
だが、俺はもう吹っ切れていた。過去に縛られることはない。アイリがどんな選択をし、どんな未来を歩むのか――それは俺には関係ないことだ。
「あいつが幸せなら、それでいい」
レオンの隣に立ち、赤ん坊を抱いて笑っているアイリの姿が脳裏に浮かぶ。それを見た時、確かに胸が痛んだ。だが、それは過去の話だ。今の俺には、前を向いて進むことしかない。
俺の目の前にはスズカがいる。彼女を守り、彼女の兄を救う――それが俺の使命であり、今の俺の生きる理由だ。
スズカが森に現れるのを待ちながら、俺はもう一度剣を握りしめた。この剣を振るう意味が、今ははっきりと見えている。
スノーフォールへ向かう日が近づいている。極寒の地で待ち受けるものは分からない。だが、それでも進む――俺たちの目的を果たすために。
剣を振るい続けた後、俺は深呼吸をして腰を下ろした。森の静けさに包まれ、少しだけ体を休める。だが、その瞬間だった。どこからか微かな気配を感じた。
「……誰だ?」
背後を振り返る。周囲を見渡しても、視界には何も映らない。木々が揺れる音と鳥の鳴き声が響くだけだ。
だが――その空間のどこかに「何か」がいる。俺の直感がそう告げていた。
「リールか。そこにいるんだろ?」
俺がそう言い放つと、木の影から現れたのは予想通りの人物だった。黒いレースの服に身を包んだリールが、柔らかな笑みを浮かべながら姿を現す。
「あら、バレてしまったのね」
リールはくすくすと笑いながら、軽やかな足取りでこちらに近づいてくる。その動きは挑発的でありながら、どこか親しげな雰囲気もある。
「相変わらず鋭いわね、ジュラークさん。隠れているつもりだったのに、台無しだわ」
「何の用だ?」
俺は警戒しながら立ち上がり、リールを睨みつける。しかし彼女は全く動じる様子もなく、まるで友人との再会を楽しむかのように微笑み続けていた。
「何の用……? その前に、お礼は? あの巻物、ちゃんと使えたでしょう?」
その言葉に、俺の眉がわずかに動く。
確かにリールが渡してきた巻物は本物だった。スズカと念入りに確認したが、罠は一切なく、呪いを解除するためのものだった。結果として、俺は呪いから解放された。
「……ああ、確かに助かった。お前の巻物は本物だった」
俺が短く答えると、リールは満足げに頷いた。
「でしょう? それなら素直に感謝してくれてもいいのよ」
「感謝はしている……だが、どうにも腑に落ちないんだ」
リールの行動にはどうしても引っかかる部分が多い。彼女が何を考えているのか、何を目的に動いているのかが全く分からない。巻物を渡した理由も、未だに謎のままだ。
「腑に落ちない? あなた、随分疑り深いのね」
リールは肩をすくめながら、どこか面倒くさそうに言った。
「でも、別にいいのよ。私があの巻物を渡した理由なんて、ただの思いつきみたいなものだもの」
「……思いつきだと?」
俺が問い詰めるような口調になると、リールは再びくすくすと笑い声を上げた。
「ええ、そうよ。あなたたちがどうするのか見たかっただけ。それと――あなたにはまだ役に立ってもらわなきゃ困るの」
その言葉に、俺の中でさらに疑念が膨らむ。
「青の龍がいるという街にも、俺たちは複数の目的ができた。その情報もお前が渡してきた。お前の狙いはなんだ?」
「狙いなんて大げさね。ただ、あなたがどこまでやれるのか見届けたいの。それに――」
リールは目を細め、ふいに表情を柔らかくした。
「……ジュラークさん、あなたって本当に面白い人ね」
リールの態度には相変わらず翻弄されるばかりだ。巻物を渡した理由も、「面白いから」という曖昧なもの。だが、彼女がどこか本気で言っているのが分かるからこそ、俺は困惑する。
「感謝はしている……だが、次はどう動くつもりだ?」
俺がそう尋ねると、リールは満足げな笑みを浮かべる。
森の中で、リールが目の前に現れた理由が少しずつ明らかになりつつあった。彼女はあくまで巻物の件で感謝を求めているようだったが、俺の中には腑に落ちない気持ちが残り続けている。
「お前の巻物には確かに助けられた。感謝している。だが……お前があの戦闘を仕掛けたことについては、余計だったとしか思えない」
俺はじっとリールを睨むように見つめながら、正直な気持ちをぶつけた。だが彼女は、まるで子供の愚痴を聞くかのように微笑みながら肩をすくめる。
「あら、あれは少し手加減してあげたつもりだったんだけど? あなたの反応を見るためには必要だったのよ」
「……くだらないことを」
俺はため息をつきながらも、気を取り直して言葉を続けた。
「……俺も男だ。聞ける範囲では何でも聞く。お前の望みを言え」
そう告げると、リールの表情がふいに変わった。いつもの冷笑を浮かべる彼女が、一瞬だけ何かを考えるような顔をしたかと思うと、少し頬を赤らめながらも、強気な笑みを浮かべた。
「そうね……なら、私と一日デートをしなさい。二人っきりで」
「……なんだと?」
思わぬ言葉に、俺は完全に唖然とした。剣を握りしめていた手が力を失い、ただリールを見つめることしかできなかった。
リールはそんな俺の反応を楽しむかのように、さらに一歩近づいてきた。彼女の顔はどこか赤く染まっているが、その瞳にはいつもの挑発的な光が宿っている。
「驚くことじゃないわ。私は助けてあげたのよ。それに対するお礼として、一日くらい付き合ってくれてもいいでしょ?」
「いや、待て……どうしてそうなるんだ?」
俺が困惑しながら問い返すと、リールは満足げに笑みを浮かべた。
「あなたに選択肢はないわよ。ほら、行くわよ」
リールはそう言うなり、突然俺の手を掴んで引っ張り始めた。驚きながら抵抗しようとするが、彼女の力――いや、これは力だけではない。どこか不可解な影のような気配を感じる。
「おい、待てリール! お前、何をするつもりだ?」
「何って、決まってるでしょ? 私たちの楽しい一日を始めるのよ」
リールは振り返ることなく、さらに強く俺の手を引っ張った。その動きには確かな力があり、俺はどうにも逆らえなかった。
影のようなエネルギーが体に絡みついているような感覚――おそらく彼女の持つ「影の力」なのだろう。無理やりではあるが、俺はそのまま森の外へと連れ出されてしまった。
森を抜けた先に、リールはようやく足を止めた。そして振り返り、またしても満足そうな笑みを浮かべる。
「ジュラークさん、楽しみにしてるわよ。この一日が、あなたにとって忘れられないものになるようにしてあげるから」
「……お前、本気で言ってるのか?」
俺の問いに、リールは少しだけ首を傾けながら言った。
「もちろんよ。私のお願いは絶対なんだから。さあ、始めましょうか、ジュラークさん?」
彼女の言葉の裏にどんな意図が隠されているのか分からない。ただ一つ分かるのは、彼女が本気でこの「デート」とやらを望んでいるということだった。
「おい、スズカとの待ち合わせがあるんだが……」
俺がそう言うと、リールは振り返ることなく笑みを浮かべたまま答えた。
「大丈夫よ、あの子はあなたを信じて待ってるでしょ? それに、たまにはスズカじゃない人と一緒にいるのも新鮮でしょ?」
「いや、そういう問題じゃない……」
俺が呆れたように呟くと、リールは軽く鼻で笑った。そしてそのまま俺を引っ張りながら、マルベラ王国の中心地へと歩みを進めた。
リールが提案したのは、まるで普通の男女が楽しむようなデートだった。
まず、服屋に立ち寄り、「ジュラークさんに似合いそう」とリールが指差す服を次々と見て回った。俺は完全に興味を失いながらも、彼女の勢いに押されて付き合わされる。
「これなんてどう? ちょっと落ち着いた色合いで、あなたの雰囲気に合いそうじゃない?」
「……いや、俺に服を選ぶセンスはないが、そんなのどれでもいいだろう?」
「そんなの、ありえないわよ。見た目って大事なんだから」
リールはからかうように微笑みながら、俺に服を押し付ける。その軽口に、俺はため息をつきながらも付き合わざるを得なかった。
次に向かったのは食堂。市場に並ぶ新鮮な食材を使った料理を味わいながら、リールは満足そうに食べていた。
「美味しいでしょ? こういうの、スズカとはあまり来ないんじゃない?」
「……まあ、そうだな。スズカとはこういう『遊び』をすることは少ない」
「ふふ、そうでしょ? 私ならもっと楽しいところに連れて行ってあげられるのに」
リールはまたしても挑発的な笑みを浮かべ、俺を見つめた。俺はその視線を避けるようにしながら、ただ料理を口に運ぶ。
デートが終わる頃には、空は夕焼けに染まっていた。リールに引っ張られるまま向かったのは、マルベラ王国全体を見渡せる高台だった。
高台からの景色は壮大で、遠くに広がる王国の街並みが黄金色に輝いている。リールは両手を広げ、満足そうに声を上げた。
「やっぱり最高ね! こんなに綺麗な景色を見ながら楽しい時間を過ごせたなんて、満足よ!」
「……それは何よりだ。で、満足したか?」
俺が疲れた口調でそう言うと、リールはふと振り返り、何かを考えるような仕草を見せた。
「……ふぅ、まあまあ満足したけど、少しだけ不満もあるかしら」
「なんだ、不満って?」
俺が問うと、リールは一瞬だけ視線を逸らし、そして真剣な表情で俺を見つめた。その瞳には、いつものからかいの色が少しだけ薄れている。
「ジュラークさん、あなたって本当に変わった人ね」
「……どういう意味だ?」
「普通の人なら、私のことをもっと疑うはずよ。でも、あなたは私を完全に拒絶することもなく、こうして付き合ってくれる。だから……」
リールは少しだけ頬を赤らめながら続けた。
「あなたに興味が湧いたのよ。もっと知りたいと思った。それだけよ」
「……興味、だと?」
俺はその言葉に困惑し、彼女の表情をじっと見つめた。リールは視線を外すことなく、微笑みを浮かべている。
「そう。興味よ。私は面白いことが好きだし、面白い人に惹かれるの。だから、あなたのことが気になるのよ」
その言葉には嘘はないように思えたが、同時にどこか計算されたものも感じた。
リールはそのまま高台の縁に立ち、風に髪をなびかせながら遠くの景色を見つめた。
「さて、今日はここまでね。楽しかったわ、ジュラークさん。お礼は十分受け取ったわよ」
「おい、結局お前の目的はなんだったんだ?」
高台での夕焼けの中、リールがふいに真剣な表情を浮かべた。いつもの挑発的な笑みやからかいの態度とは違う、どこか揺らぎのない瞳で俺を見つめる。
「ねえ、ジュラークさん。前にも言ったけど、私があなたに固執する理由、分かる?」
「……いや、お前の考えはいつも理解できない」
俺が率直に答えると、リールは小さく笑いながら続けた。
「単純よ。私、あなたが好きなの。ただそれだけ」
その言葉に、一瞬、俺は言葉を失った。
「……なんだと?」
「好きなのよ、ジュラークさん。あなたみたいな真っ直ぐで、強い意志を持ってる人。私の仕事柄、こんなに普通の女の子みたいなことをできる相手なんていなかったから」
リールの言葉には、不思議といつものからかいが感じられなかった。本気かどうか測りかねるまま、俺はただ黙って彼女の言葉を聞くしかなかった。
「……そうだ、せっかくだから少し話をしましょうか」
リールはふいに遠くを見つめる。夕焼けに照らされたその横顔は、どこか儚げだった。
「私の両親、目の前で殺されたの。ゼファラ王国の人たちにね」
その言葉に、俺の胸が一瞬締め付けられた。普段の彼女からは想像もつかない過去に、俺はただ黙って耳を傾けた。
「小さい頃の話よ。父も母も普通の農民だったけど、王国の政策に逆らったら、それだけで処刑された。私が泣きながら叫んでも、彼らは全く気にしなかったわ」
リールの瞳には、一瞬だけ鋭い怒りの光が宿った。
「だからね、私はゼファラ王国に復讐したかった。敢えて潜入して、内部から壊そうとしたの。でも……無理だったわ。私一人じゃどうにもならない」
「……それで、今は従っているのか?」
俺が問いかけると、リールは少し肩をすくめた。
「そう。歯向かうよりも従った方が生きるのが楽だから。自分の力がどれほど足りないか、痛感したもの」
彼女は自嘲気味に笑いながら、俺の方に振り返る。
「でも、ジュラークさんの話を聞いた時、思ったの。強い目的意識、王国に対する恨み、そして確かな腕。あなたなら、私の代わりにゼファラ王国を壊してくれるんじゃないかって」
その言葉に、俺は返す言葉が見つからなかった。彼女がどれほどの思いで今まで生きてきたのか、そしてなぜ俺に期待を寄せるのかが、少しずつ理解できる気がした。
「……お前は俺に何を求めてるんだ?」
俺が静かに問いかけると、リールはふいに微笑んだ。
「さあね。別に、あなたがどう動こうと、最終的にはあなたの自由よ。ただ――」
彼女は軽く首を傾け、意味深な笑みを浮かべた。
「もしあなたが私の復讐を手伝ってくれるなら、それはきっと楽しいものになるわね」
リールの言葉の真意がどこにあるのか分からないまま、俺はただ沈黙するしかなかった。その沈黙を楽しむように、リールは急に表情を明るくして手を叩いた。
「なんて、ね! こんな話、あなたには似合わないでしょ? それより――今日は楽しかったわ!」
リールはそう言うと、両手を広げて笑みを浮かべた。
「ジュラークさん、また会うと思うから、よろしくね?」
彼女の笑みには、再びいつもの軽さが戻っていた。その軽さに翻弄されるように、俺はただ頷くしかなかった。
「さて、そろそろ私は行くわ。また面白い展開を期待してるわよ、ジュラークさん」
リールはそう言い残し、高台から軽やかに降りていく。その背中を見送りながら、俺は深く息を吐いた。
「……本当に何なんだ、あいつは」
リールの言葉の一つひとつが胸に残り、消えない。彼女の過去、目的、そして俺に対する想い――全てが絡み合い、俺の心に複雑な感情を刻み込んでいった。
リールとの時間を終えた後、俺は静かに森へと戻った。スズカが待つ場所へ急ぎながら、彼女のことを思い出す。
リールの言葉がどれだけ真実か分からない。だが、スズカのように、俺に対して真っ直ぐな想いをぶつける人間がいることもまた事実だ。
「……俺にできることは、ただ前に進むことだけだ」
胸に湧き上がる決意を抱えながら、俺はスズカとの再会に備えるため、再び歩みを進めた。
森へと戻ると、木漏れ日の下でスズカが静かに寝ている姿が目に入った。彼女は俺を待っている間にそのまま眠り込んでしまったのだろう。彼女の顔には、どこか安心したような穏やかな表情が浮かんでいる。
俺はそっと近づき、肩に手を置いた。
「スズカ、起きろ」
彼女は軽く身じろぎすると、眠そうな瞳をゆっくりと開けた。そして、俺の姿を確認すると、ほんのりと頬を赤らめながら目を擦った。
「ジュラークさん……どこに行っていたんですか? 私、ずっと待ってたんですよ」
少し拗ねたような声に、俺は思わず苦笑した。
「悪かったな。ちょっと……色々あってな」
そう答えると、スズカは問い詰めることなく、小さく微笑んだ。
「……大丈夫です、ジュラークさん」
スズカは、眠たそうな目をしながらも、優しい声で言葉を続けた。
「ジュラークさんが、私の元に戻ってきてくれれば、それでいいんです」
その言葉に、俺の胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。彼女の笑顔には、無条件の信頼と優しさが込められていた。
「……スズカ」
俺は彼女の目をじっと見つめた。そこにあるのは、揺るぎない信念だった。この笑顔を守らなければならない――そう強く心に誓った。
スズカと共に森を後にし、俺たちは静かな道を歩いた。いよいよ、スノーフォールに向かう日が迫っていた。目的地は極寒の地、青の龍が暴れていると言われる危険な場所だ。そして、スズカの兄がいるかもしれない場所でもある。
「いよいよですね……スノーフォールに向かう日が来るなんて、少し緊張します」
スズカがそう呟く。彼女の声には緊張と期待が入り混じっていた。
「……そうだな。だが、お前の兄を助けるため、そして俺たちの目的を果たすためには、避けては通れない道だ」
俺の言葉に、スズカはしっかりと頷いた。その表情には迷いはなかった。
「ジュラークさん、これからどんな困難が待ち受けていても、私は絶対に負けません。兄を助けるのも、ジュラークさんと一緒に戦うのも、私の決意です」
スズカの言葉には力があった。その決意を受け止めながら、俺は改めて思った。
「……俺たちは共に歩む。どんな危険が待ち受けていようと、必ず乗り越える」
スノーフォールへの旅が、俺たちにどんな試練を与えるのかは分からない。それでも、俺とスズカが共に進む限り、乗り越えられると信じていた。
「さあ、行くぞ」
「はい、ジュラークさん!」
こうして、俺たちはスノーフォールに向けて歩き出した。
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