第5話 開拓者たち・地球では…
遥か昔
ここは過去と未来が交わる場所…
新たな未来が生まれては消え、在りもしない過去が消えては生まれる。
そこには開拓者たちがいた。
彼らは何もないところから物質を生み出すことができる。彼らは創造を司ることもできるだろう。しかしそれは彼らのすることではない。彼らは崩壊した‘前の宇宙‘の残骸を集めていた。そんなことができるのは彼ら以外にはいないだろう。
時間を糸のように巻き集め、空間を平らに広げていく。彼らは不安定な無限を安定した有限にしようとしている。生地が整ったら彼らはその不安定な無限を安定させるために法則を与えた。実に単純だが複雑な法則だ。法則が次元を作っている。無限の次元は3次元に囲まれ時間を除いた5つの次元を残してそれ以外は消えていった。
カオスがコスモスに変わった瞬間だ。
時空の波は極めて小さい規模に抑えられた。
その瞬間空間は非常に速い速度で広がり、質量を平定した。
ビッグバンだ。
彼らは広がっていく球を眺めていた。空間の膨張が徐々にゆっくりとなるのを見て彼らはその宇宙に変数を加えた。
私は思う。人間の寿命が無限になり科学技術がこの宇宙の限界まで発達したら、人間はどうするだろうか?この宇宙はどうなるだろうか?人間のような知的生命体もこの宇宙の産物であるため、彼らの行動は宇宙の法則に従って説明がつくだろうか。開拓者が与えた単純で複雑な法則では説明がつかないだろう。そのため彼らは変数を加え、いずれこの宇宙の知的生命体が次元を超えることを期待した。
その変数はとても不可思議なものだろう。
彼らは去っていった。
彼らは何者だろうか?
彼らは概念を超えしものだ。しかし彼らは概念に支配されている。彼らを作ったのは彼らが支配されている概念を作った者だ。そしてそのまた上に概念を作った者を支配する者が存在する。そしてそのまた先に…っと無限に続く螺旋階段…いや玉ねぎの層のようだ。
開拓者たちは無限の次元の先にいるものだ。2次元の物を3次元の物は支配できる。そして3次元の物から見れば4次元の物は未来を一部見ることができ、紙に書いた絵のように空間を支配する、言わば神のようなものだ。超越しているといえよう。
リュートがであった異次元の神は4次元に存在するものだ。さらに上となると想像ができなくなる。おそらく全能に近いだろう。
そして開拓者たちは矮小な知的生命体がいつか彼らの同胞になることを望んでいる。
時がたち、その宇宙が誕生してから100億年が経っただろうか、その宇宙の最高次元である8次元に属する知的生命体が法則を破り、開拓者と接触した。彼らは非常に嬉しがっていた。そして、その存在に課題を出した。下次元の存在の発展の速度が遅いと。これでは先に宇宙が崩壊してしまうと。
最も彼以外にも法則を敗れる存在はいたが欲望に駆られたのか、開発者が与えた変数に飲み込まれ殆どが自滅していった。争いは技術を発展させるが原子文明が核を発明したように後始末もできないただの無神経な殺戮兵器には非常に落胆していた。今よりも平和であることを望んでいた。そして、8次元のその存在はさらに下の次元の存在に命令を下す。一言、それは、「もっとエネルギーを多く扱えるようになれ。」だった。
勿論最初の法則を破った者はその技術を伝授はしてはいけない。自ら覚醒しなければ、行き過ぎた力は己を破壊するだろう。
一般的に下の次元から上の次元へ移動するときは膨大なエネルギーがいる。エネルギーさえあれば我々も3次元から4次元へも行けるのだ。ただそれは理論の段階で止まってしまった。それを可能にするにはその宇宙の全てのエネルギーを扱えるほど法則に精通しなければならない。
各次元の強者が行ったったことはそれぞれ違っていた。手っ取りばやく自分と同じぐらい力を持った存在を増やすことに注力したものもいれば、国を作り、広げ、純粋に技術を発展させようとするものもいた。そして、その中に異なる法則が働く世界から他の世界に矮小な存在を連れ込むものもいた。この小説の主人公はその対象者だ。
並行世界を含めてすべてのその宇宙の次元を作り上げた神の法則はそれが分裂して、各々の小宇宙の法則に変化した。
時はさらに37億年ほど過ぎ、我々がいる小宇宙の地球から10億光年も離れた遠い銀河の中心にて、太陽系のような惑星を複数持つ恒星系は戦火に包まれていた。
この星系は銀河帝国の首都である。この銀河帝国は成立して1万年の歴史を持ち、構成民である知的生命体たちの文明は10万年の歴史を持っていた。だがそこで周辺の銀河を巻き込む対戦が誘発する。
*************日本語で表示します*************
「ピーピー!、ピーピー!警告!、警告!、現在戦艦の30パーセントが損傷しました!」
「核融合エンジン、燃料露出!、エンジンルームに重度の損傷!、第3エンジン及び第4エンジンの機能停止!、船の推進力が減っています!」
10キロはあろうかという巨大な、プラチナに輝く船のマストらしきところに男がいた。その傷がある肌からは、何か人間らしさを、その青黒い同行からは、ホモ・サピエンスの聡明さを感じる。彼は炭素系のヒューマノイド型知的生命体だ。つまり人間だ。
しかし、その男は全身に金属のような筋がある服のようなものを着込んでおり、その表情は向き出たパワードスーツの金属面よりも冷徹であり、瞳の奥は決して状況を楽観的にみているようには見えなかった。
「「ああ、もう我々は終わりなのか…、」」
そう男の周りに座っている人たちが呟く。祖国を守る軍人であろう人々がそう呟く。彼らは決して情けなく、臆病ではない。このマストにいるのは元の人数の10分の1で他の人々は敵の攻撃で虚空の塵となっていた。
現在、この船は本国を捨て、逃走中である。戦いに負けたのだ。首都は陥落…、いや跡形も無く消し飛んでいる。戦力は残り僅かで今は帝国の人々の血を絶やすよりも逃げることが一番の選択だったと皆が考えている。
だが、この船に敵が追い付いてしまった。
敵はこの帝国の外から来たものだ。帝国の領土は膨大で、数百個の銀河を保有している。しかし、負けたのだ。敵は、人間ではない。いや、ヒト型に近いがその体を構成しているのは金属だった。ヒトのような脆弱な、骨格を持たず、筋肉はヒトの20倍はあるほどの力を発揮する。そして神経は強固な金属の集まりでできており、その体は極小の核分裂反応によってエネルギーを供給している。単体でもヒトより圧倒的に強く、体格は3倍ほどあった。
彼らは、エネルギーを求め、恒星を転々としており、エネルギーさえあれば寿命は永遠に近くなる。そのため繁殖能力は低いが、簡単に数が増える。
帝国は2年の内に半分の領土を奪われ、民を虐殺された。無論この周辺には帝国以外の国もあるがその全てが比類なき虐殺によって滅んだ。最後に残ったのが帝国なのである。
「ピーピー!、高速の90パーセントで接近中の物体を多数発見!、コードは赤です。敵艦です!」
「くそもうここまで追い付いてきたのか。」
敵の技術は帝国を上回っており、そのスピードを帝国を上回っていた。次元をゆがて移動するワープ航法を行うと敵に感知させてしまうため、通常エンジンでハイパードライブ航法を行っていたが、それもここまでらしい。
「戦える者は戦え!、船を分離する!」
「それでも向こうに追い付かれてしまいます!」
「汚いの花火を見せてやろうじゃないか。」
現在の戦艦の武装はほぼ尽きる寸前であり、希望は少ない。
「今の我らの命にもう価値はないと思わないかね?」
何人かが察したのだろうか。
「我らが帝国がいつ敵にみすみす降伏する思うかね。」
「「違います」」
賛同したものは8割だ。軍人として死ぬことに躊躇いないと教育されたつもりだが2年前、誰もがここでこうやって死ぬことになるとは思わなかった。
「決戦は10分後だ。それまでに船を分離する。」
「ライオット将軍。エンジンのパワーを限界まで引き上げろ。なるべく重力波を出さずに全てのエンジンで均等に引き上げろ。」
「は!」
「カルノー!最も若い奴らを第2モジュールに集めろ。」
「は!」
「アルカティーナ。お前もいけ。」
「やだ。お父さんと残りたい。」
この15歳の青い髪をした少女は皇帝の娘だ。皇帝は即位して幼く側室が存在しないため、幼いころから愛した女性との間に子供が1人いるだけだ。
「だめだ! 早く行け!」
「やだよ!お父さんも来て!私にはお父さんしかいないよ。」
「だめだ、指揮は私が取る。私が逃げるとお前にまで危険が及ぶ。」
「やだ。そんなこと言わなくても…」
「アルフォード連れていってくれ。」
メインルームのハッチが開く音がした。
その音とともに彼女は皇帝の側近に部屋から運び出され、間もなく眠りについた。
[アイゼン。奴らが見つけれない遠くの場所に降下地点を探せ。]
[は!]
[陛下!、間もなく敵の船団が現れます。]
[そうか。アイゼン。どうだ?]
[マスターここから10億光年先の銀河GH16779の外縁に生物が誕生する可能性が非常に高い星があります。向こうに着くころには意思疎通可能な生命体が誕生していると思います。]
[そうか。]
皇帝と脳内で話しているのは帝国最高の頭脳を持つ、量子コンピューターで起動するAIだ。大戦の初期に国内の人工知能が侵食され多くが帝国の情報を流したが彼はそうではなかった。なぜなら彼の意識は皇帝の意識とリンクしているのである。だから侵食に皇帝が築けないわけがない。皇帝が頭につけている額をおう金属板は極小の量子コンピューターである。脳内に特定の物質を流し、量子テレポーテーション行うことで外部からはアイゼンが何を考えているかは膨張が不可能なのである。
[そうかそこにする。向こうと意思疎通ができるようになるまでその星系に潜ませろ。]
[はい。マスター。]
「陛下第2モジュール脱出準備ができました。」
「そうか彼らを今すぐ切り離せ。」
「は!」
「第2モジュール分離します。」
ドオオオン!
その瞬間だった。敵の攻撃が戦艦の電磁バリアに命中した。
「ピーピー!、警告、警告。正面バリア及び側面バリアに損傷多。」
「陛下敵が後ろからも来ています。速度が速すぎて感知できませんでした。」
「そうか攻撃しろ! 何としてでも時間を稼げ!」
戦いはあっという間だった。2分もしないうちに帝国軍は敵の2分の1を殲滅したがそこで終わりだった。少しの衝撃を食らったら終わりの状態だった。
「今だ!第2モジュールを分離させろ!」
ガガン!
敵との距離を詰めたところでモジュールを分離させる。どんどん距離が離れていく。
「さあ終わりだ糞野郎ども!」
敵が分離した船を追おうと予兆を見せたところで彼は最後のボタンを押し、臨海に達していた核融合炉は爆縮するとともに果てしない虚空にまばゆい光を放ち。ただ1つの希望を残してついていった。
1億年後
西暦2039年 アメリカ ワシントンD.C. NASA本部
「それは本当か? 火星の南極に‘例の物‘の発信源を見つけたというのは。」
「はい。本当です。」
「で、この画像は確かなのか? これは人工物に見えるが…」
「はい。2機の探査機に探らせた結果確かに写真を送ってきました。」
「なにせこの船らしきものの材質は不明で放射線を含む全ての光を非常に高い割合で反射します。そのため発見が遅れたというか…」
「電話を貸せ。今日中に大統領にあうぞ。それとこれは我々の中でも極秘だ。」
ホワイトハウスに訪問の予定を伝えている部下を見て、現アメリカ航空宇宙局の長官は自ら資料を機密バックに整理していた。
実は2ヶ月ほど前からNASAは奇妙な電波を受信していた。最初は些細なことだと思ったが、その電波を翻訳すると救難信号のようなものが出ていたため、局内でも表向きにうまく理由を付けて隠した。そしてこの事は長官とその探査チームしか知らないことである。
間もなくホワイトハウスに防弾ガラスを付けたどう見ても普通車にしか見えない装甲車が数台ついた。
「大統領。秘書やガードマンを部屋の外に出してもらっていいですか?」
「少し、出ていろ。」
そして話の重要性を察したのか大統領は直々にドアを中からしめる。
「それで話しとはなんだ?」
「信じられないかもしれませんが、火星の南極で地球外生命体のこれまでにない大きな痕跡を発見したんです。」
「それは本当か?」
「それが時々その場所から電波を受信しているんです。」
「それなら他国にも知られていると思うが…」
「はい。それが我々の一部の機器だけに合わせて電波を受信しているんです。なので他国の宇宙機関には知られていないかと。」
「これがそれの写真です。」
その瞬間、何かの間違いだと思っていた大統領の顔は驚きに変わる。
「…なんだ、…これは。これはまるで人工物ではないか。」
「まるで人が作ったかのような…」
「はい、これは人工物です。ここから例の電波を受信しているんです。」
「では、これは宇宙人の物だと…」
「そうとしか考えられません。」
「この楕円のような物は放射線を含む全ての光を反射し、また地球上に自然に形成されるとは考えにくいです。」
「ウィンストン、数年ほど前の人類史上初の火星への着陸と比べてこれはどれほど重要度が高いかね?」
「比にならないくらいでしょう。今すぐ人を送って探索するべきです。」
「そうか。確か今は火星に物資を送って、宇宙ステーションを作っている途中だったな。」
「はい後10年ほどで完成します。」
「2年以内だ。」
2年後
アメリカ大手テレビ局
「さあ~やってまいりました。火星への3度目の有人飛行です。司会はわたくしイアン・ハーバーと」
「ナス・メルディが行います。」
「今回は氷が存在するとされている火星の南極にロケットは向かいます。」
「今回の搭乗者は5人! 前回より少ないように見えますが今回のロケットは遥かに大きいです。」
「搭乗者の名前は船長から、マイク・ケビンソン、副船長のトロリアン・デルモンド、技術者ジョナサン・ケイター、エンジニアロイター・ケルン、科学者トム・ホーランド。」
「男性3人と女性2人の組み合わせとなっております。」
「今回の発射は午後5時30分。地球が火星に最も近づいた時に行われます。」
「では、NASAの長官と大統領の話しをどうぞ。」
「こんにちは皆さん。私は現アメリカ航空宇宙局の長官、ウィンストン・ハースです。今回の発射は数年後の火星に基地を立てるための建前であり、重要な基盤でしょう。」
「ええはい。では今回の具体的なミッションは…
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次の話はルー視点に戻ります。
前話に過激の表現が多すぎたため一部削除しました。
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