第3話 エルフの奴隷と二度目の進化
「ガァー!」
突き飛ばされた仲間を他のゴブリンエリートが雄たけびを上げながら手の得物を振り上げたが俺は金属でできているので鋭い石器をいとも簡単に拳で粉々にした。
王の守りとはいえ金属の武器を持っているのを見ないのはゴブリンたちに金属を加工する技術がないからのか、それともこの世界の文明は生まれてから間もない古代の世界だとでもいおうか。
一人二人三人とリズムよく突き飛ばしていると今度はシャーマンの一人が緑の悪臭を放つ液体を飛ばしてきた。 俺は咄嗟に左手でガードするが今までに感じたことのない痛みがはしった。 俺が痛がっているのを見ると他のシャーマンも同じ攻撃をしてきたので全力でよける。
どうやら強力な酸のようなものだ。何もないところから出現しているのを見ると、魔法で出現させているのだろうか。 俺はエリートの事よりもシャーマンの事を頭にとめ、ストンネイルを放った。
ズズン
シャーマンの小柄な体を巨大な岩が突き抜けた。さらに連続で放ち足が遅いシャーマンはよけることもできず、下の穴から脊髄を突き抜けて、口から巨大な針が飛び出した。
シャーマンは一掃できたようだ。 俺は第三階位で最も複雑な自分の体に今日かな岩をまとまり付ける魔法を使い、拳にメリケンサックを付け、右手はエリートの胸元を貫通した。 近接では俺のほうがパワーが圧倒的に高いため、エリートの処理は難なく済んだ。
ゴブリンの王は今まで手下が殺されているのを黙認していたが、自分に対する挑戦を認めたのか、その傷だらけの巨体が玉座から起き上がった。
エリートの1.5倍ほどの巨体と太って垂れ下がっているお腹。 正直こいつがゴブリンの王だという理由がわからない。エリートよりも体が大きいがそれほど鍛え上げられていない。 それを可能にするのはあいつの奇妙な首飾りだろうか。 わずかに光を放っているそれから魔力を感じた。おそらく使用者の肉体を強化するものだろう。
斧の様な得物を構え戦闘態勢を取ったと思ったらいきなり俺の目の前に現れた。 アの巨体からは信じられないほどの斬撃が繰り出される。
強い。
コイツは今まで戦った度のゴブリンよりも圧倒的に強い。
俺の胸に亀裂が走る。幸いゴーレムの核までは到達していないようだ。
「やってくれたな!」
腕力が腕で得物を奪い取りうとしたが得物に触った瞬間指に痛みが走る。
「うっ。」
首飾りだけでなく得物からも魔力が感じられる。 その魔力は得物の周りを覆いバチバチするうすい層ができていて、それにこいつは金属だ。硬い。傷を負ったのも理解できる。それになぜこいつがこんな大層な装備を持っているんだ? 殺した奴から奪ったのか? だとしたらどこから…
怪しすぎる。 こいつのまとっている装備だけ他のものよりも明らかに立派だ。
そう考えながら素手で奪うのはあきらめ腹にメリケンサックをくらわせた。さっきまで笑っていたコイツの顔が青くなり何かを吐き出した。それは人間の頭ほどの頭蓋骨だった。いや人間の頭蓋骨だ。
俺は同族の亡をを見たせいなのか自然と腹の内から怒りが煮えたぎり、デブのゴブリンの頭を腕で覆うと反撃してくるのを無視し、コイツの眼球をえぐってやった。
「ガァー! ギャー!」
視界を奪われて混乱しているところで俺は数歩ほど離れ、土魔法で鋭利な槍を作り、先を硬化(スキル)を手の先から自分の創造物に意識させると俺の体のように硬化し、全速力ではらわたを突き刺した。
「ゴアー! ゴギャー!」
ゴブリンの声が痛みに対する怒りから、恐怖への悲鳴に変わり、敵の前であるにも関わらず、あまりの痛みに得物を手から離した。
俺は得物を拾う。 魔力が感じられる。 こいつは丁度良い。
優れた武器は優れた者が扱うから強いのであって、あのようなゴミ玉にコイツの真価が引き出せるわけがない。
痛みにうずくまっているゴブリンの王に対して、俺は右手に渾身の力を振り絞って体重を使って汚い四肢を切断した。 緑の血が溢れかえっているがももの付け根と肩を土魔法で覆い止血した。 こいつにすぐ死なれては困る。 俺の怒りをぶつける肉の玩具になってくれ。
「ふふん」
愉快そうに笑うと、まず口に丁度はまりそうな丸い球を土魔法で作り口の中に詰め込む。
「ンウウウー!、ウウァー!」
無視無視!
下半身に身にまとっている魔獣の皮を得物で切り裂く。
見えたのは濁った色をした下腹部だった。 得物で切り裂きでてきた臓器などをめった刺しにしていく。 傷を治さなければ24時間以内にこいつは死に至るだろう。
そしてゴブリンと言えば何といっても忘れられないのはその性欲の強さだ。
「ンギャアアアアアアーー!」
もうこの後のことはわかっただろう…
数分ほど俺は最高の蹂躙する感覚を味わい最後に俺の二倍ほどもある巨石をコイツの頭の上に作ると鈍い音がする暇もなく脳髄と頭蓋骨の破片が飛び散った。
玉座の広間のさらに奥に進んでいくと、また扉があった。
その扉を開けた瞬間、鼻をつんざくような腐卵臭と腐った生肉の匂いがした。
なんだここは!? 臭すぎるぞ!
奥に調理台の様なまな板といたるところに獣の肉が散乱していた。
こいつらはこんなところで作った食べ物を食べていたのか?
ゴーレムになりある程度ぐろいものには耐性がついたっと思ったが何も食べていない胃から嘔吐がしたくなった。
急いで次の扉を開け進んでいくと、今度は牢屋らしきものがあった。
牢屋と言っても巨大な木の丸太で柵を作ったものだが。
そしてついに第一村人? 第一森人、西洋ファンタジーにはなくてはならない存在、エルフに出会った。
見れば牢内は酷い惨状で生き残っているのは女性のエルフだけだった。
俺が近づいてくるのを見ると子供は震えているが大人のエルフは俺を見て助けを求めているように見えた。
よかった初対面で敵対はされなかった。
「…たっ…、た、すけて…」
木の丸太を自慢の腕力で捻じ折り救いの手を差し伸べる。
俺の温かい手が彼女たちを包み込むと安心したかのように俺の腕の中で眠ってしまった。他の立てる者たちは俺に付いていきありとあらゆるところに死体が広がっている洞窟を後にした。
「あの、 助けてくれてありがとうございます。」
怯えていたエルフの一人がよわよわしい乙女の様な声を発した。
ああ、なんとかわいらしいんだ。 俺は前世理系の学生だったが年相応に受感性も性欲も高かった。
「体調は大丈夫ですか?」
俺は痣だらけのことが心配になった。
「えぇ、良くはないですがあなたがあそこで私たちを助けてくれなければ私たちは死んでました。 ってええ! あなたしゃべれるんですか? 岩なのに喋れるんですか?」
「ああ、岩っていうかゴーレムだ。一応喋れるぞ。」
「そうなんですね、不思議です。」
「あの、名前はなんですか?」
「名前はまだないぞ。」
「そうなんですね、す、すみません。」
「別に俺は大丈夫だがな。」
「そういえば女性しかいないが、男はどうした?」
「ゴブリンに捕まった時皆食べられてしまったんです。」
声が少し弱弱しくなった。
そうかあの時の頭蓋骨はエルフのものだったのか。
「…そうか、残念だったな…」
「ぇえ、はい。 あの中には私を必死で守ろうとしてくれた者たちが…」
少々の沈黙が野営地に広がった。
「ところでお前たちはこの後どうするんだ? 家にでも帰るのか?」
「はい、私たちはもといたエルフの村に戻ろうと思います。」
「村か…」
実際にあるものなのだな。
「あの、その、実は…」
「なんだ?」
「その、村に着くまで私たちを守ってほしくて…」
「あの、ただでとはいいません。村に付いたらしっかりお礼をするので…」
「なぜだ?」
「その…村への道中に危険な魔物がいて…」
「ふむふむ、そういうことか。 よし村までいくぞ。」
「はい、ありがとうございます。」
「じゃあ、明日の朝に行こうか。」
「はい!」
俺は異世界での初めての対談を終えステータスを見ていた。
******************
名前 なし
種族 アイアンゴーレム
level 30
状態 良好 軽度の損傷
年齢 2日
称号 ゴブリンスレイヤー
HP:6000
MP:2200
力 :580
体力 :4000
俊敏 :185
防御力:1800
知能 :450
精神力:400
スキル
上級鑑定 上級翻訳 土魔法第三階位 吸収(種族固有)
パッシブスキル
硬化 タフネス(New!)
ユニークスキル
成長加速
レベルが満たされました。
進化することができます。
進化先を選んでください。
******************
ふむふむ、新しいスキルが1個増えて称号ゴブリンスレイヤーか、悪くない。それに新たな得物も手に入れた。
では進化先は…
******************
→ギガントアイアンゴーレム
ミスリルゴーレム
ゴーレムナイト
グラディエイターゴーレム
フォレストゴーレム
******************
どうやら進化先は5つあるらしい。
ギガントアイアンゴーレムはなしだ。デカいだけでつまらない。
フォレストゴーレムもなしだ。回復魔法は欲しいが戦闘能力に欠ける。
ミスリルゴーレムは正直ミスリルを取り込めば変質できると思う。てかミスリルってレアなのか? 見つかるのか?
「エリス。 ミスリルって珍しいのか?」
そうだ。 このエルフの名前はエリスだ。 さっき話している時に知った。
「ミスリルは魔鉄鋼より珍しいですが、手に入らない程でもないですよ。」
「わかった。 ありがとう。」
少ししてエルフたちは俺の傍らで眠ってしまった。
ふむ。 そう考えるとミスリルゴーレムはなしだな。そうすると、固有能力がありそうな騎士と闘士のどちらかだが闘士よりも騎士の方が珍しそうだ。少し思ったのが進化先はその者の行動によって変わるんじゃないかと。
俺はエルフを助けるために敵を倒したし、ゴブリンどもと数えきれないほど拳をまじ合わせた。騎士は盾と剣を持ってそうで攻守のバランスがよさそうだ。じゃあ騎士にする。
騎士!
そう念じると強烈な眠気がくるとともに俺の得物が体に取り込まれるような感じがした。
ピコン! 進化が完了しました。
俺はなじみのある声を聞き深い眠りから覚めた。
エルフたちはまだ早朝で寝ている。
起きて一番初めに感じたのは手の形が変だということだ。確認してみると手から斧が生えていた。 それも俺が昨日手に入れた奴に。 どういうことだ! 俺がパニックになっていると斧の使い方が自然と頭の中に流れてきた。 もしかしてこれがゴーレムナイトの能力なのか?
ステータス!
ピコン
******************
名前 なし
種族 ゴーレムナイト
level 1
状態 良好
年齢 3日
称号 ゴブリンスレイヤー
HP:6500
MP:2500
力 :650
体力 :4500
俊敏 :250
防御力:2500
知能 :450
精神力:400
スキル
上級鑑定 上級翻訳 土魔法第四階位(New!) 守る者(New!) 吸収(種族固有) 変形(種族固有) 具現(種族固有)
パッシブスキル
硬化 タフネス 五感強化(New!)
ユニークスキル
成長加速
******************
スキルが5つも増えている。 それにパッシブスキル入りだ!
変形と具現はわかるとして守る者ってなんだ?
鑑定!
******************
守る者
危険な状況で守るべきものがいたり、相手が危機に陥ったり、感謝や愛を相手から感じると精神と肉体の限界を一時的に引き上げる。
******************
なんとも言えない説明だが強そうだ。 守るべきものっていうのはエルフたちの事か? 発動することがないといいのだが。
で問題は俺の体だ。 右手の先の方から生えた斧をしまおうとイメージすると体内に収納され、手が生えてきた。それに試し切りしたところ硬そうな岩も切れた。得物の時の能力が残っているのかもしれない。 そして右腕の先以外は硬そうな鎧で包まれた。本当に硬い。鎧だ。盾を持っていないのが気になり左手に盾を持っているイメージをしたところ鎧の様な頑丈そうな盾が出現した。問題なさそうだ。
「え! どうしたですかその体は?」
エルフたちが起きたようだ。
「昨日進化したんだ。」
「進化ってあの、魔物が強くなるために体が変化するあれのことですか?」
「ああ、間違いない。」
以前よりも魔物らしさが減った。人間に出会っても敵対されることなく斧を持った巨大な騎士に見間違われそうだ。
「じゃあ、村を目指していくか。」
「「はい!」」
歩き始めて一時間程するころ、俺はエルフたちとこの世界のことについて話していた。
どうやらエルフたちが言うにはここの森はアグド大森林というらしく、強い魔物や珍しい植物が生息しているそうだ。エルフたちは薬草を取りにここに来たらしいがデカいゴブリンたちに奇襲され捕まってしまった。たしかにゴブリンジュネラルが複数で来るとエルフでも対処できないだろう。
そして、この周辺のことだが、南西にエルフの村、西に人間たちの大きな町があり何年も争っているようだ。 元の世界でいうとギリシャの都市国家の様だろう。そう考えるとここの世界はあまり文明が発達してないようだ。
そして東には砂漠と山脈、北から雪が降る雲よりも高い山脈が南の海まで連なっているようだ。アグド大森林とマラカン砂漠はその山脈で隔てられているらしい。そして山脈の付近に獣人や他の亜人種が住んでいるらしい。他の大陸があるという噂を聞いたことがあると言っていたが確かかはわからないらしい。
いや~この世界も広いね。神様は惑星だと言っていたから平面ではないのだけれど、いつしか衛星の視点でこの星を見てみたいな。 この星は青だったとか言ってみたいな。
そして空に浮かぶ二つの大きな夜のお星さまと明るい大きな星が朝から夕方まででるそうだ。恒星はひとつで衛星が二つか…。 降り立つのが楽しみだな。
一応俺はこの世界のことやこの次元の宇宙の事も気になるのでロケットや前世では現実のものとなり得なかった恒星間宇宙船なども魔法を駆使して作る予定だ。
俺のゴーレムの能力は神がかり的なものでな欠損しても魔力がある限り凄い速度で体が回復するんだ。つまり、珍しい物質を取り込んで何度でも創れるわけだ。どうなっているんだこの体は? 体内で核融合でもしているのかと疑うほどだ。
「あと二日ほどでつきます。」
エルフたちと歩いてから一週間がすぎた。一日に50キロほどは歩いただろうか。俺は大丈夫だがエルフたちの体も強いものだ。
強力な魔物に何回かあったが全て俺が撃破した。そして今いるのはアグド大森林と魔獣山脈の境界だ。何もこの山脈に生息する魔物はアグド大森林の奥地に生息する魔物と同じぐらいの強さを誇るらしい。エルフたちは何とか隠れながら通り抜けたがっ今回はどうだろう。久々に腕がなってくる。
山脈に入って少し歩いていると大量の中くらいの魔物の死骸に遭遇した。これは明らかに何かボスがいると思ったが、もう遅かった。針をもった長い尻尾をつけた黄色い塊が遠くから近づいてくる。遠すぎて見えないと思うがその視線は明らかにこちら側を向いていた。すでに向こうには見つかっていたのだ。
************************************
一日遅れてすいません。
段々ストーリーがスピードアップしていきます。
200話ほどから宇宙に行けるようになる予定です。
処女作です。未熟なものです。なんでもいいのでコメントどんどんください。
過激な表現が多すぎたため一部削除しました。
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