第6話 少女がもたらしたもの

 とある時代。とある国にて、ある、よく晴れた日に古代遺跡より発見されたという碑文。


 そこに記されているのは、物語のような詩。


 それが神話の類なのか、空想上のおとぎ話なのか、はたまた事実を元にした物語なのかどうかは、未だ解明はされていないのである……。



 かつて神々と人間達は共存していた。


 いつも共に笑い共に歌い、共に日々を過ごしていた。


 いつまでもこんな日々が続いていくのだと信じていた……。


 あれはいつの日だっただろう。


 畑仕事から戻ってくると、机の上に置かれていた、綺麗な小箱。


 私は手の中に収まるくらいの小さな小箱を手に取った。


 私はその箱から少しでも目を離すことができなかった。


 その小箱は私の目を捕らえて離さなかった。まるで何かの魔法がかかったかのように。


 サアソノ小箱ヲ早ク開ケナサイ。


 そんな声が聞こえたような気がした。


 けれども私の中でそれはだめだという声も響く。


 しかし、その声はすぐに打ち消された。


 まるで何かに取り憑かれたかのように、私はその小箱を開けていた。


 そして私は気を失った――。


 目を覚ましたとき、外から男達の怒声が、女達の泣き喚く声が聞こえた。


 外に出ると、大勢の男達が怒鳴り合い、争っていた。


 女達は、そんな男達を引き止める者もいれば、ただうずくまって泣いているだけの者もいた。


 何が、起こったというのだろう。どうしてこんなことになっているの?


 さっきまでは皆幸せそうだったのに。明日も明後日も毎日楽しい時間が流れていくと思っていたのに。


 どうして――。


 ソレハ貴女ガアノ箱ヲ開ケタカラヨ。


 また声が聞こえた。


 コレコソガ貴女ノ望ンダ世界。


 違う!私はこんなの望んではいない!


 私はいつの間にか走り出していた。


 神々の元へ。


 彼らならこの状況をどうにかしてくれるかもしれない――!


 しかし、どこを探し回っても神々の姿は見当たらない。


 声が聞こえた。神々の声だった。


 ――人間が争いを始めた以上、我々はもうここには留まれない。


 ――さらばだ。この地上に絶望をもたらした少女パンドラ。その罪はとても重い。


 ――願わくば、君のその罪がいつか許される日が来ることを。


 そして、神々は立ち去っていった。


 この地上せかいに残されたのは、悲しみと憎悪だけだった。


 私は、こんな日が来ることを心の何処かで望んでいたの?


 問いかけても、虚しく空に響くだけだった――。



 この碑文の内容について、未だに多くの学者達が論議を交わしているのである……。


「神々が去った後、悲しみと憎悪このに満ちた地上世界に残されたのは一体何だったのかしら?」





あとがき。


ほぼサンホラの影響受けてる?やん……。

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