第3話 バナイベってなんですか?







  リスナーさんのコメントを拾って読み上げる、うつみ・イ・ジョンソンは、さながら本業のラジオDJのようで、音楽業界で様々なことに挑戦してきた経歴が、芸となり身を助けるエンターテイナー。


 初見さんが入室する度に繰り返される自己紹介が、これまた最高にクールでイカれている。


『借金2500万円、35歳、昭和生まれの屈強な男の女子児童で歌えるニート! うつみ・イ・ジョンソンでーす!!』


 ああ、もうこれだけでクセになる程のミームと化し、強烈なインパクトでぶっちぎったまま突き抜ける放送のアクと癖の強さに寝落ちなんて出来やしない。


 ラジオを聞いて寝落ちはあるある、そんな寝落ち放送が寝不足放送に早変わりし、リスナーさんのコメントの流れもまた見逃せないものであった。


 配信を見ている人の一覧を見れば、よく知る人物やら友人の名前やハンドルネームが連なり、リアル友人を集めまくったのは本当らしい。


 電凸を繰り返すお昼休みはウキウキウォッチングのような、テレフォンショッキングでリスナーたちは大盛り上がり。


 そのうち、所属する事務所の社長から偶然電話があるというハプニング?……ああ、ハプニングということにしておこう。HAHAHA!


 エンターテイメントに特化し過ぎ、使えるものはなんでも使う、超絶に尖り過ぎな配信のおかげで気付けばいま何時?


 そうね、だいたいね……忘れよう。


 全く、ここまで楽しい配信に立ち会えたことで、彼の新しい門出を祝いつつ、バナイベとやらで見せた盛り上がりに興奮覚めやらず、思わず出来る限りでギフトを送りまくったのも言うまでもない。


 名前が読み上げられることで、私にとっても皆様に知ってもらえる機会が増え、そのうちカクヨムへの導線となれば幸いであり、結果的にカクヨムユーザーを増やせるかもしれないというわけだ。


 うつみーの曰く、バナイベは始まったばかりであり、ワンチャン上位に入ってしまえば、最近条例で規制されそうなアドトラックに広告が載ったり、インタビューを受けたりするという、とってもおいしい景品があるとのこと。


 バナイベって、フィリピンやエクアドルから景品が届くって訳ではないのね?


 わからなすぎる故の早とちり、勘違いをしながらミリしらをしていたもので、彼の前前世を彷彿とさせるものであった。


 しかし、本当にワンチャン上位で広告に載ったら……。



 ───借金2500万円、35歳、昭和生まれの屈強な男の女子児童。歌えるニート! うつみ・イ・ジョンソン!!───。


 ……うむ、すげえ字面と言うか、パワーワードの塊とかわいらしい女の子のガワが、デカデカと表示されたらそれは大変面白いものである。


 これは応援せざるを得ないよね? HAHAHA!───。








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