第2話 第三天国へようこそ!
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突然の電凸、借金2500万円の35歳、昭和生まれの屈強な男の女子児童によるエンターテイメントへのお誘いに、ワクワクの赴くままアプリを探してみるものの……oh,私は三歩も歩けば忘れてしまったものだから、うつみ・イ・ジョンソンにメッセージを送って”アイアム”という配信アプリをインストールするまでに、それなりの時間がかかったのは言うまでもない要介護。
インストールも終わり、登録を済ませてから色々と設定に戸惑いつつも、なんとか完了し、アイアムでの登録名は、カクヨムのペンネームと同じとした。
ペンネームのあとに、『@カクヨム』を付ければ何かしらの宣伝効果にもなりそうであり、カクヨムユーザーが増えてくれることも願った。
もちろん、私の作品への導線になれば、それはそれで嬉しい限りだ。
そんな訳で早速、うつみ・イ・ジョンソンのライブ配信にお邪魔すれば、かわいらしい女の子のガワを纏った、中身は屈強なイケてるおっさんボイスの配信者の友人が、盛大に歓迎してくれたのだ。
同じくしてリスナーさんたちによる、温かい歓迎のコメントに私の心が踊った。
───こんうつ!
───こんうつー
───ないすた
───ないコメ
等々、次々と流れてくるコメントにどうやって乗っていこうか?
乗るしかないよね、このビッグウェーブに!
戸惑いつつも、コメントを打ち込んだり、カクヨムよりもハードルの低い地上の☆を連打したり、ポイントを消費してスタンプのギフトを送れば、その度に「ナス」、「ないギフ」等々、そのうち知ることになる様々なコメントが飛び交い、私も溶けていくようにして馴染んでいくまで、そう時間はかからず一体化して、リスナーの皆様と一体感を共有することになっていくのだった。
ラジオDJのように場を回していく、音楽業界の人間だったからこその飽きないライブ配信を聞いていれば、思わず時間の国の迷子になるのであった。
『カンジザイボサツ、ギョウジンハンニャハラミッタジ……』
ところでさ、突然謎の儀式が始まったけれど、彼はなんで唐突に般若心経を唱え出したのだろうか?
『☆1バッジを獲得したあなたは、第三天国に行けます。なにか、いいことが、あるかもしれません』
カクヨムだったら景気よく☆3つでええやんと思う☆も、アイアムにおいての重みはまた違ったものであり、このようにしてリスナーを称える最高の瞬間であるらしい。
ナイバッジ、ないバッチ!……等々、リスナーさん同士でもお祭り状態だ。
一見するとちょっとポ〇されかねない、危なそうな香りの漂う儀式であるものの、アイアムというのはこういう場所とのこと(フィクションであり、ジョークです)。
そして私も、溶けていくようにしてリスナーの仲間入りをして、バッジを獲得するまでにそう時間がかからなかったのは、推し活というものやらに目覚めてしまったからであろう───。
◇
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