第7話 時空を超え サクラ
僕はまだ歩く練習をしたがるサクラをおいて離れた。モヤモヤする脳内とカラダを沈めるように僕はコンビニに入った。
入口の効果音が妙に耳の奥に響く。
いつもの現実の日常に引き戻された。
『よかった。』
サクラのことは脳内から消えた。
僕はポテチを手にセルフレジへ。機械音がまた僕を現実へ戻す。
歩きながら卒業後のことを考えていた。
2日前のゼミの友人達の
”坂田、がんばれよ。”の声がまだ残る。
春の光が僕には眩しく感じる。
すれ違う人達の、はしゃぐ姿がうるさい。
たぶん、僕は病んでいる。
部屋に着く。窓を開けベットにゴロリ。
心地よい風が入ってきた。自分の部屋空間。
誰にも邪魔されない空間。僕は疲れている。
疲れていた。
急に眠気が・・・誰かが呼ぶ。
「姉様。姉様。」ここはどこだ?
僕はベットから起きて窓の下を見た。桜の花が満開。淡いピンク色の花達が重なり合うように咲き乱れている。ひとひら踊りながら舞い上がって消えていく。
「大丈夫よ。」この声はサクラだ。僕は窓から顔をだし、「サクラ、」叫ぶが声が届かない。見えない境界線があるようだ。空間が違う。
僕は話し声だけ拾う。
「姉様。今日が最後の日です。満開。私達はまた来年この時にこの場所に戻ることができますが、姉様は今年が最後です。私達もお供します。」
「それはいけません。桜の瘴気は年長の私、姉の仕事です。しょうこ、となり桜をまっとうします。可愛い妹たちよ、平穏に過ごすことを願います。これが桜の木の運命です。私は受け入れます。」
桜の木達が泣き出した。
「泣かないで。妹たちよ。私は桜の木です。長い年月を過ごしました。
お庭の彼にも出会うことができ、幸せでした。」
桜の木が一斉に騒ぎ、花びらが雪のように狂ったように舞いだした。
思わず「きれいだ。」口にした。とたん僕はベットから落ち目が覚めた。
20:28
「サクラ。」僕はあわてて家を出た。
「時間がない。」僕の口から出る言葉。
さっきのは夢か?
桜並木のサクラの元へ。
「遅いぞ。坂田!」いつもの生意気なサクラがいた。
「悪い、寝過ごした。行くぞ。」
僕は姫様だっこでサクラを抱え橋を渡った。
夜桜の見聞客が僕らを冷やかす。
サクラが「恥ずかしいぞ。降ろせ坂田。」
「いやだ。気にするな。」
僕らは橋を渡りきり、サクラのあの彼のお庭についた。瞬間、大きな風が吹いた。景色が一変した。
着物を着た人達が満開の桜の下に集う。
目の前に1人の青年が「降ろせ坂田。」
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