第6話 桜満開・サクラ
僕は予想はしていたが、サクラの恋の手伝いをすることにした。
昨日あったばかりのあやかしかもしれないサクラのために。僕はお人よしなのか?それともバカなのか?
たぶん、今、僕がハッピーで幸せな人間だったら、サクラと出会うことはなかっただろう。大学の友人達に遅れをとった今の病んだ?僕だから。
今朝の短い花雨。今の太陽の暖かな光。今夜満開になる。時間がないな。
満開になれがサクラは消える。たぶん人間の僕が想像すらできないほどの時間をいきてきたサクラが永遠に消えてなくなる。
今、この僕にでいることがあれば助けになりたい。
この僕の気持ちが何なのかは?今は後回しだ。
目の前のことをするだけだ。
「サクラ。今夜8時に僕はまた来るよ。」
「夜桜はきれいだぞ。サクラ。」
歩く練習をしているサクラが振り向く。
「えっ、坂田、もう帰るのか?私はまだ歩きの練習したいぞ。」相変わらず生意気な口の利き方だ。
「サクラ、君は女の子なんだからもう少しきれいな言葉で話しなさい。」
一瞬、サクラが止まった。懐かしいくフレーズだ。あの彼がサクラに言っていた言葉だ。
そうだった。サクラの記憶がスピードを上げて遥かまえに戻る。
”ある日の夜。提灯の灯りをともしながら、その彼はサクラの前を通った。
立ち止まり、「満開はの桜はまだかな?5分咲きか?」
「あと3日で咲くぞ。」
その彼は桜の木が答えたことに驚くこともなく「そうか。あと3日か。教えてくれてありがとう桜の木よ。しかし。いかんな。君は女の子だろう。言葉遣いは丁寧な方がいい。じゃあ。また明日。」
そしてその彼は2日め、3日めの夜、満開の桜並木の中、私の木の前で止まった。
「桜の木よ。君が言った通り今日、桜は満開だ。とてもきれいだ。この景色を見れてうれしいよ。私は明日、ここを離れる。
ここの桜の満開の景色を見たかった。ありがとう。桜の木の女の子よ。」
「もう、ここには来ないのか?」
「こらこら、言葉遣い。」
「もう、ここには戻らないのですか?」
「嘘はつけないな。戻れない。」
「そうですか。」寂しがる私にその彼は「もし、とても寂しくなったら、川向こうに私のお庭がある。お庭には私が好きな景色をそのまま残していく。
桜の木よ。いつか私の庭に遊びにおいで。いいところですよ。」
淡い線が記憶の中を淡い色に染めている。”
「サクラ、何、ボーっとしてるんだ。じゃあ、今夜またな。」
僕は桜並木を後にした。
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