第4話 人間は大変だサクラ
翌日、午前買い物を済ませ、昼前、僕はハンバー店の2F窓の外。晴れていた通りに雨が。真下の交差点。急に走りだす人間。
コーラ―を「ズルー」っと飲み干し、さて行くか。
しかし正直不安だった。やっぱり、昨夜のことは夢だったのかもしれない。
ゼミの飲み会で友人を羨んだ僕。病んでいた僕が見た幻だったのかもしれない。
紙袋をガサッと握り、店を出て。
春の雨は冷たくない。サクラ並木まで歩いた。走るか?
雨が上がった。
都電を横目に神田川、サクラ並木に着いた。
3分咲きか、雨上がりのサクラはきれいだ。
『どこだサクラ』カラダの真ん中が痛い。
騙されたのか?幻だったのか?
「坂田、遅いぞ。」サクラの声。
振り返る。「サクラ。」いる。
「坂田、遅いぞ。私は朝からずーっと待っていた。お仕置きだ。虫がブーンと僕のまわりを飛び回る。
「サクラやめてくれ。謝るからさ。ごめん。
それにほら、サクラ、足を出して。」
僕は紙袋から白い運動靴を出した。
サクラが「坂田これは?足がいたい。」
僕はサクラの足を確かめた。「大丈夫だ。すぐに慣れる。」
昨日こっそりサクラの足を僕の手で計っていた。
「よし、サクラ始めるぞ。歩きたいんだろう。」「うん。」サクラが素直に返事する。
「素直な、サクラは気持ちが悪いな。」
サクラが両手をバタバタさせて反撃する「坂田のバカ。」
「そうそう、このくらい元気で、乱暴じゃないとサクラじゃないな。ははは。」
僕も久々に腹から笑った。
「よし、歩くぞ。サクラ、両手を出して。」小さな手がまた僕の手のひらの乗る。
サクラの軽い体重もいっしょにのる。
「はい、最初は右足を前に出して。右手も前に。よし、上手だ。今度は左足を前、左手も一緒前に出す。うまくなったなサクラ。」サクラが微笑む。昨日は夜でよく見えなかったが。よく見るをサクラは可愛い。透き通るような白い肌。薄らピンクの頬。真っ黒な長い髪。そして新緑のようにきれいな緑色の瞳だ。淡雪
のように柔らかな手。意識してしまったのか、僕はサクラの手をぎゅっと握ってしまった。
「坂田、ちっと」サクラが僕を呼ぶ。頭を下げる。「ごっん」
「いたっ、何するんだサクラ。痛いぞ。」
「坂田、今お前は変なことを考えたな。私が可愛いのはわかっている。今更おどろくな。」
「えっ。」僕は少し照れたが、「サクラさん、何か勘違いをしてませんか?確かに君は可愛いですが一番可愛いとは言ってませんよ。」
「坂田、何を生意気な。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます