第2話  人間なりたてサクラ

「君、酔ってる?」僕はジェスチャーで頭、大丈夫?

彼女は猛烈に怒った顔で「大丈夫。酔ってなんかいない。君こそ、ゲッソリの、この世の不幸全部を僕がしょい込んでしまいましたって顔してる。こわ。こわ。暗ーいオーラ出してるぞ。」

「大きなお世話だ。生意気な女子だな。僕は急いでいるんだ。」僕はその場を駆け出した。

背中にすごーい視線を感じる。ピタッと僕は止まった。

「くそ―、気になる。」僕は不本意だが戻り、生意気な女子の前に立った。

「何か、困ってるんだろう。どうした?携帯でも落としたか?」僕は今まで使ったことのない乱暴な言い方でその女子に言った。

「歩き方がわからない。」

「はあ?」僕はまたジェスチャーで手を耳において「はい?今、なんとおっしゃいましたか?」

「だから、歩き方がわからないの。」

「赤ちゃんじゃあるまいし、もしもーし、

大丈夫ですかー?」

その女子は真っ赤な顔で怒っているのか?

恥ずかしがっているのか?僕にはわからず。

「もういい。あっち行って!聞く人、間違えた見たい。」

夜風が少しひんやり吹いた。

「じゃ。」僕は片手を上げ、その女子から離れた。背中に視線は感じない。

なんだ、からかわれたか?今日の僕は、情けないし、心が不安定だ。酔っているせいか?

いや酔いは、とっくに覚めている。

夜風がまた、小さく吹いた。

川沿いの桜も揺れている。きれいだ。

「きゃーいやだ。」

後ろからさっきの女子の声。

振り返ると2人の男子に絡まれている。

見なかったことに・・・できない。

気づくと足が女子の方に向かって走っていた。

僕は1人の男子を見下ろした。

さっきはゲッソリの暗ーい奴だとあの女子に、

けなされたが189cm、元バスケ部、主将だ。

社会人2年目。筋肉はまだ衰えてない。

力は僕の方が断然上だ。

「サクラ、大丈夫か。」

男子2人は「なんだ連れがいたのか。」言葉を吐き捨て立ち去った。

僕は桜の木の間のブロックに座っている女子の目の前に立ち。

「大丈夫か?早く帰った方がいいぞ。一応、君は女子だし、」話している途中で、その女子はわーんっと泣きだした。さっきの生意気な女子と同じとは思えない。

暗くてよく見てなかったが、この女子は靴を履いていない?

「靴はどうした?」「ない。」

「人間になったばかり。さっき話した通り。

だから歩き方がわからない。」

「さっきの話、本当だったのか?」

「私はサクラ。桜の木。歩き方を教えて。」

「はい。」僕は即答した。


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