青い空間の男の子
妖精界の妖精国で会議が行われていた頃、人間界では、ある女の子が、母親と妹の三人でショッピングモールに買い物に来ていた。春休みの午後の事だ。
女の子はフードコートでジュースを飲みながら、自分の席の向こう側で楽しそうに笑っている、自分と同い年くらいの女の子をボーっと眺めていた。自分の隣には妹が座っていて、いちごのクレープを嬉しそうに食べている。
女の子は母親に促され、新学期に必要な物を買いに来ていた。普段なら楽しいショッピングも、新学期のための買い出しとなると全然楽しくないのだった。女の子は、あと一週間で学校が始まるかと思うと生きた心地がしなかった。
「……あと、新しい服も必要ね。それに靴も!もうきついでしょ?……ねえ、あんた大丈夫?なんか浮かない顔ね……学校の事?」
相向かいに座って、コーヒーを飲んでいる母親が、心配そうに女の子の顔を覗き込んだ。そんな母親を上目遣いで見る、この女の子は……妖精国のキャロラインが見つけた有望な子ども候補の一人、
優樹は、ズズズっとキャラメル味のタピオカジュースを飲むと、「……うん」と頷いた。
「そんなに心配しなくても大丈夫よ!四年の時の担任の先生が、また受け持ってくれるらしいし、先生が仲良しのお友達とも一緒のクラスにしてくれるって、言ってたでしょう?」
「うん、そうだけど……」
そう母親に言われても、優樹の不安は完全には消えなかった。そんな娘の様子に、母親は仕方がないわねという風に、一つため息をついてから言った。
「とにかく、今はお買い物に来ているんだし、楽しもう?お話は帰ったらゆっくりしようね?ほら!好きな服、買っていいわよ〜」
言葉の最後の方は、まるで女の子だったら、みんなこう言われたら喜ぶはずと言わんばかりの口調だ。三人は席を立つと、洋服売り場に向かった。母親は妹の手を引きながら、「
洋服売り場に向かう途中、本屋の前を通りかかった時に、ある一冊の本が優樹の目に飛び込んできた。その本の表紙には、”妖精大図鑑”と大きく書かれており、可愛らしい妖精の絵が描かれてあった。なぜか興味が湧いて、立ち止まって見ていると、その様子に気づいた母親が、「どうしたの?」と優樹のそばにきた。そして、優樹が見ている本に目をやると、「妖精が好きなの?」と聞いてきた。
「ううん、別に……」
「あ〜かわいい!この女の子!背中に羽がついてるね〜、ママ!」
妹の美空が勢いよく横から割り込んで来ると、表紙の絵を指差した。
「そうだね〜かわいいね〜妖精さんかな?」
母親が微笑みながら答える。しかし、美空がペラペラッとページをめくり始めると、母親の表情が途端にはらはらとした顔つきになった。
美空が妖精の絵を見ながら、「かわいい!」を連発する横で、「ほら、ほら、破かないようにね!商品なんだから、丁寧に扱って!」と、美空がページをめくる度に言う。図鑑と言うだけあって、厚さは三センチ程ある。値段もそんなに安くはないので、出来れば買わずに帰りたいと思った母親だったが、なかなか、美空が見るのをやめないので、とうとうしびれを切らして、「買ってあげるから、お家でゆっくり見なさい」と、言う羽目になってしまった。
帰りの車の中でも、美空は図鑑を離さず、ずっと眺めていた。こんなに厚くて大きい本を買ってもらえたのが、余程嬉しかったのだろう。美空はご機嫌だ。母親もそんな美空の様子を見て、まんざらでもない様子だった。
「今日は楽しかったわね?優樹はかわいい服が買えたし。美空は妖精さんの本が買えたしね?」
バックミラー越しに母親が子どもたちを見る。本に夢中の美空は気づいていないようだ。優樹はそんな妹をチラッと見たが、すぐに視線を母親の方に戻すと、「うん…」と返事をした。
「そう、そう、昔ママね、その本を見て思い出したんだけどね、一度だけ妖精を見た事あるのよ〜」
「え?ほんと?!」
優樹は驚いて聞き返した。
「あれは確かね〜、ママが中学生の頃だったと思うんだけど……なぜかその日は早起きして、朝焼けの空をお家のベランダから眺めていたの。とってもキレイな空だったな...雲がピンク色に染まってて...でね、あんまり早く起きすぎちゃったものだから、その後、居間で寝ちゃったの!しばらくして目が覚めて、まどろんでたら、天井近くに青色の妖精が現れてね、なぜかママに金粉をかけたのよ〜。パラパラと金粉が顔にかかる感触……今でもはっきり覚えてるなぁ〜。美しい音楽も流れていたけど...聞いた事のないメロディだったな。不思議ねぇ……何でママのところに現れたのかしら?」
言葉の最後の方は、まるで独り言の様に話していた。
◇◇◇
家に着くと、母親は忙しそうに洗濯物を取りこんだり、浴槽を洗ったり、夕飯の支度に取り掛かったりしていた。
美空は居間のソファーの上で、しばらくは買ってもらったばかりの本を眺めていたが、早々に飽きて、お人形遊びを始めた。
優樹は放り出された”妖精大図鑑”を手に取り、中身を覗いて見た。そこにはバラの花の妖精や、ゆりの花の妖精や、水仙の花の妖精など色々な妖精が描かれていた。みんな、お花と同じ色の服を着ていて、背中には虫の羽の様なものが付いている。
(妖精っているのかな?いるのなら見てみたいな……)
ふと、そう思った優樹は、台所に立っている母親に聞いてみた。
「ママ、妖精って、どこに行ったら見られる?」
野菜を切っていた母親が、その手を止めて顔を上げた。
「えっ?妖精?……そうねぇ……自然の中にいるイメージがあるけど......森の中かなぁ?......あっ、お花の中にも居そうじゃない?ほら、親指姫はお花の中にいたものね」
母親が楽しそうに答える。
「あー、みく、親指姫のお話大好き!」
お人形遊びをしていた美空が、突然、話に加わってきた。
「妖精さんは妖精の国にいるんだよ!」
「あらっ、そうなの~?」
母親は大げさなくらい、目を見開いて言った。
「そうだよー、親指姫は妖精の国の王子様と結婚して自分も妖精になったんだよ。みくも妖精の国に行きたいな〜」
母親は笑いながら、「行けたらいいね〜」と、言った。
やがて、台所から良い匂いが漂い始めると、テレビを見ていた優樹と美空のお腹が、
「グゥ〜」と、大きく鳴った。夕飯が出来上がり、子どもたちの大好きなクリームシチューと唐揚げが食卓に並んだが、父親はまだ帰って来ない。
「パパ、まだかな?」
「そうねぇ、仕事、忙しいのかもね。先に食べて待ってよっか?」
父親の事を気にする優樹と母親をよそに、美空は美味しそうにシチューを食べている。
「優樹、学校の事だけど……」
母親がシチューを一口食べてから、話を切り出した。"学校"というフレーズが出た途端に、優樹の顔が曇る。
「うん……」
「あっ、食べながらでいいのよ。学校さぁ、別に、無理して行かなくてもいいんだよ?」
母親があっけらかんとした口調で言った。
「……」
シチューの乗ったスプーンが、優樹の口元で止まる。
「学校は勉強するために行くところでしょ?別に勉強はお家でもできるんだから……優樹がお家で勉強したいなら、それでもいいんだよ?ママが勉強教えるからさ! だから、新学期の事は心配しなくていいからね?」
と、母親は力強く言った。
優樹は、内心とてもほっとして嬉しかったが、なんだか言葉につまってしまって、「うん、わかった」としか、言えなかった。
◇◇◇
その夜、ベッドの中で、優樹はなかなか寝付けなかった。学校の事を考えていたからだ。ママに、「行かなくてもいいんだよ」って言ってもらって安心したものの、何で自分は学校に行けないのだろうか?私は他の子と何かが違うんだろうか?どこかおかしいのかな?とあれこれ考えてしまう。あれこれぐるぐると色んな考えが頭に浮かんでは消えていく……今日、本で見た妖精の事も頭に浮かび、.妖精の国があったら私も行ってみたいな……きっと学校よりかは楽しいんじゃないかな……と考えている内に、いつの間にか深い眠りに落ちていた。
◇◇◇
優樹はふと目が覚めた。何度か瞬きをしてからベッドから起き上がると、自分の視界がおかしい事に気がついた。なぜか、目の前が全て青いのだ。自分の目がおかしくなったのかと思い、手で目をこすってみたが変わらない。
慌てて立ち上がり、ぐるりと部屋を見渡した。見知らぬ場所だ。一体これはどういう事なのだろうか?まるで、自分が四角い半透明の青いゼリーの中に入ってしまったかのような感覚に優樹は陥った。これは夢なのだろうか?……部屋にある額縁に入った写真が、まるで空中に浮いているかのように、二枚並べて飾られていた。優樹は近くに寄って写真をよく見てみた。一枚は女の子で知らない子だった。髪がおかっぱのかわいい子……年齢は自分と同じくらいに見える。そして、もう一枚の写真は男の子だった。この子も……同い歳くらいに見えた。しばらく誰だろうと考えていたが、二人とも見覚えのない子だった。
優樹が視線を部屋の真ん中に移すと、そこには丸いテーブルがあって、その上にノートの様な物が置いてあった。近づいて手に取ってみると、表紙は黄ばんで茶色くなっていて、”日記”とだけ書かれてある。表紙をめくると、最初のページに何やら文字が書かれてあった。1987年4月3日と日付けが記されている。その後に、日記のようなものが書かれてあった。
「……今日は、ブルーエルフィン妖精魔法学校に仮入学しました...えっ?妖精魔法学校?」
どんな学校なんだろうと興味がそそられた優樹は、先を読み進めていった。
1987年4月3日
今日は、ブルーエルフィン妖精魔法学校に仮入学しました。真っ白い汽車に乗って、お城のような学校に来ました。部屋はゆきこちゃんと一緒です。部屋はものすごくかわいくて、わくわくします。ベッドにはレースのカーテンがついていて、まるでお姫様のベッドみたい!明日から授業も始まるし、妖精学校の生活が今からとても楽しみです。
4月4日
今日は妖精界の歴史について学びました。妖精さんってすっごく昔からいるんだって分かって、驚きました。昔の妖精さんと違って、今の妖精さんが着ている洋服はかわいくておしゃれって思いました。
4月5日
今日は、なんと!羽を付けて飛ぶ練習をしまし
た。飛ぶのはすごくむずかしくて、飛んでもす
ぐに落ちてしまいます。どうしたら、ちゃんと
飛べるのかな?もっといっぱい練習しないと!
明日も頑張るぞ。
4月6日
今日は男の子とお友達になりました。
名前はかいが君。一人ぼっちで寂しそうだった
ので話しかけたら、私と同じで絵を描くのが好
きな子でした。今度、一緒に絵をかきたいな!
明日誘ってみようと思います。
4月7日
今日はかいが君と一緒に丘の上に行って、学校の絵を描きました。かいが君は私よりも絵が上手で、正直ちょっと悔しかった!でも、かいが君は私の絵の方が上手って言ってくれました。かいが君ってとても優しい。
4月8日
今日は、妖精国の字のお勉強をしました。何だ
か記号みたいでむずかしいです。ちゃんと覚え
られるかな?心配。明日、かいが君と一緒にお
勉強する約束をしました。
優樹は日記を読んでいるうちに、自分がワクワクしている事に気づいた。妖精魔法学校って、何だか楽しそう!もし本当にこんな学校があったら……絶対に通いたいと思った。
優樹は最初の数ページを読むと、パラパラッとめくっていき、今度は日記の最後の方のページを読んでみた。日付は1992年12月2日
12月2日
今日はりょう君と一緒に森の中を散歩しながら、いっぱい話をしました。お互いの家族の事や、自分の好きなものについて話しました。とても楽しくてあっという間に休み時間が終わっちゃった。
12月3日
今日も一緒に森に行ったら、なんと!野生のユニコーンに出会いました。驚かさないように離れたところからそっと見ました。でも、やっぱりもっと近くで見たくて、ちょっとだけ前に出たら、りょう君も同じ事考えていたみたいで、頭と頭がぶつかってしまいました。二人で思わず笑っちゃった。
12月10日
最近、かいが君が怖い。今日、りょう君とお話してたら、私の事じっと見つめてきた。かいが君とは昔はよく話をしたけど、入学して私がりょう君とお友だちになってからは、あまり話さなくなってしまった。かいが君からも話しかけてこないし。私も何だか話しかけずらくなってしまって。何でこんな事になっちゃったのかな?
12月13日
今日かいが君が、入ってはいけないと言われている森に1人で入っていくのを見てしまった。止めようと思ったけど、どんどん歩いて行ってしまうし、声をかけたけど、全然気づかなくて。私は怖くて怖くて、森に入る勇気がでなかった。かいが君は何で森に入って行ったんだろう?
日記はここで終わっていた。そして、優樹がそっと日記を閉じようとした、その時、
「その日記、読んだの?」
突然、背後から、静かな口調ながらも怒りを含んだような声がして、優樹の心臓は一瞬ギュッと縮み上がった。優樹が恐る恐る振り返ると、そこには黒髪でキリッとした目つきの男の子が立っていた。
(何かどこかで見た様な......あっ!さっきの、あの写真の男の子だ)と、優樹はすぐに気づいた。
「あっ……う、ううん、よ、読んでないよ!」
「声がどもってるよ。読んだんだね?」
「...ごめんね...本当は...読んじゃったの」
優樹は申し訳なさそうにうつむいた。
「ご両親に、人の日記は勝手に読んではいけないって教えてもらわなかったの?」
「多分...お、教えてもらったとは思うけど…」
優樹は何やら冷や汗が出始めた。
「まあ、いいよ……ところで君は誰?」
「あっ、私は優樹だよ!あなたは?」
優樹は顔を上げると、元気よく答えた。
「僕は友達以外には名前は教えない主義なんだ 」
「えっ?あぁ……そう…なんだ。じゃあ、年は?私と同い年に見えるけど」
「僕は友達以外には年齢も教えない主義なんだ」
「……なんか、あなたって変わってるね。それじゃあ、友達出来ないんじゃない?」
優樹は少しムッとして言った。
「僕は...友達はあの子だけでいいんだ.....」
「友達って……もしかして、あの写真の子?」
優樹は、飾られている二枚の写真を指差しながら聞いた。
「ああ、そうだよ」
「あの写真の女の子って、眉毛がすっごく太くて優しそうな子だよね!」
「君って失礼な言い方するね、太いだなんて...もっと別の言い方があるだろう?全く...君のご両親の顔が見てみたいよ」
今まで静かに話していた男の子の口調が、少しだけ強くなる。
「あっごめんね!私も眉毛が太めだから親近感わいちゃって...」
優樹は慌てて言い訳した。
「君とあの子とじゃ、一ミリ足りとも似てないよ」
「……そう、だよね……ところで、ここはあなたの家?」
そう言いながら、優樹は視線をキョロキョロと動かした。
「ここは……僕とあの子の秘密基地なんだ」
「へぇー、そうなんだ……なんかすてきだね!あの子はここには来るの?」
「きっと来ない……もう現実世界では大人になってしまったし……」
「そう……えっ?じゃあ、何で、あなたは子どもなの?!」
「君に話しても、君は一ミリも理解出来ないと思うよ」
優樹は男の子の言葉に、再びムッとした。
「あのね、そういう事言うと、人に嫌われるよ?ほんとにあの子と友達だったの?」
「……うん、僕達はとても仲が良かったんだ...とても……なのに、入学してからはあの子は別の子と遊ぶようになってしまった...僕はきっと、嫌われてしまったんだろうね」
男の子の悲しげな表情に、さすがに言い過ぎたと、ばつが悪くなった優樹は、思わずうつむいた。その時、キラッと男の子の胸で何かが光ったのが見えた。あれっ?と思い、顔を上げて見てみると、光っていたのは金色のバッジだった。真ん中に一つお花の模様が彫られている。優樹がじっとバッジを見つめていると、視線に気づいた男の子は、
「このバッジが気になるかい?このバッジは……僕とあの子をつなぐ……絆なんだ」
と、言った。その表情はどことなく憂いを帯びていた。そんな男の子の様子に、
「……良かったら、私と友達にならない?」
と、優樹は自分でも思いもかけない言葉が、口をついて出た。男の子は一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに元の表情に戻ると、
「僕は…….一ミリ足りとも君と友達になりたいとは思わないよ……」
と、静かにそう言って目を伏せた。
「そう……だよね」
優樹はほんの少しだけ、胸がチクッとした。別に私だって、こんな子と友達になんかなりたくない……それなのに、なぜか悲しくなった。
知らない子と長く話したせいだろうか。優樹は急に疲れを感じて、家に帰りたくなった。
「私、疲れちゃったな……帰りたいんだけど、どうやったらこの部屋から出られるの?ドアがないみたいだけど……」
「この部屋に、ドアはないんだ」
「ええー?!じゃあ、じゃあ、私、家に帰れないの!?やだー!ねえ、ねえ、どうすれば帰れる?!」
「……君は本当に……すごくうるさいんだね」
男の子は手で片方の耳を押さえながら、顔をしかめた。
「だって!ドアがなかったら、ここから出られないじゃん!何でドアがないの?」
「もし、あの子が来たら……あの子が帰ってしまわないようにドアを作らなかったんだ…」
男の子のその返答に、優樹は驚くと同時に、ある一つの疑問が頭に浮かんだ。
「でも……だったら、あなたはどうやってこの部屋を行き来するの?!」
「それは……」
男の子は一瞬、教えるのをためらうかのように口をつぐんだ。しかし、やがて決心したのか、無言のままポケットから杖を取り出すと、空中に向かって杖を振った。すると、何もない空間にスーッと切れ込みが入り、あっという間にドアが形どられていった。
「ええー?!あなた、魔法が使えるの?!すごーい!!」
「……やっぱり君って……すごくうるさいね...」
男の子は眉間にシワを寄せて、迷惑そうに言った。
優樹はドアノブに手をかけると、男の子を振り返り、
「それじゃあね!……もう会う事もないと思うけど……元気でね!」
と言ったが、男の子は黙ったままだった。優樹は男の子の表情から、何かしらの感情を汲み取ろうと思ったが、生気を失ったかのような男の子の、その瞳から何かを感じとる事は、10歳の子どもには難しかった。
「……それじゃ、バイバイ」
優樹は最後にそう言ってから、ドアから出た。すると、ふっと意識が遠のき……次に気がついた時には、自分の部屋のベッドの中だった。
優樹は半分まだ夢の中にいるようだった。誰かと話をする夢を見たような気がしたが、はっきりとは思い出せなかった。ベッドから起き上がり、窓の方まで行くとカーテンを開けた。眩しい朝の光が差し込んでくる。
優樹は空を見た。すると、なぜか胸がきゅっとしめつけられる感じがして、思わず胸に手を当てた。起きて早々、何でこんな気分になるのだろうと不思議に思いながら、優樹は雲一つない青い空を、しばらくの間、じっと見つめていた。
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