第21話 『論理トレーニング101題』
何やら厳しいタイトルがついているといって敬遠しないで欲しい。
この本は文章力を根本から鍛え直してくれる本である。
文章力?
そんなものをいまさら鍛え直して何になるのか?
自分では気づかないかもしれないが、その人その人の文章のクセというものがある。よく使っている言い回し、接続語、文章の型等。
それらはその人の味となっているものだが、気付かぬうちに間違った文法も血と肉となっている。
それらを含め、もっと質を上げてみたくはないだろうか?
この本は論理学のトレーニングをしながら、文章力を見直させてくれる。
と言っても読解力云々ではなく、文章を正しく伝わるよう組み立てていく力を再認識するのだ。
難しい「書く」問題はほとんどない。大体が選択問題だから、ハードルが下げられているはずだ。
誰でも筋の通った文章は書けている。
かけているのだが、馴れの感覚と思考でやっているために予定調和のような文章が出来上がっていく。
自分では気づけないことを知っていく体験は脳に大変にスリリングだ。
小説の文章は散文的で必ずしも論理的ではないが、この別世界を知ることでしっかりした言葉の世界が自分のものになっていくのはちょっとした快感ものだ。
残念なことはこの本には電子書籍版が無い。
もっと踏み込んで学びたければ『新版論理トレーニング』という本もある。気になったらこちらもオススメだ。
実はこの著者は『増補版大人のための国語ゼミ』という本も書いていて、入り口にはこちらの方が向いているかもしれない。
お好きな本からどうぞ。
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