第11話 イラストの旅〜ジャーニー

 イラストの効果は絶大だった。

 精神的に癒してくれる。

 それは病気にとっても良い方に働いた。

 起きていられる時間はずっとイラストを眺めた時もあった。

 夕暮れの陽の光の中デバイスに向かっていた。

 初めは好きなイラストだけだったが、次第に触手を伸ばし、範囲を広げてゆく。

 ただ漠然とイラストを見ていたわけではなかった。

 方法論を持って見ることで、見る力を鍛えていったのだ。

 その方法論とは、「フォーカスして」見ていくというものだ。

 最初は好きな部分から始める。

 私は「眼」にフォーカスを当てた。

「眼」が全てを物語ると直感したのだ。

 良い眼はその人物を生かしもするし殺しもする。

 その点に着目してのフォーカスの当て方だった。

 そうやってイラストを見ていくと、これまで漠然としていた鑑賞にパッと明かりが灯り光が入った。

 急に解像度が上がった気分だった。

 次々にそうやって見ていくうちに方法論が間違っていなかったことを思い知る。

 何が良くて何が悪いかが分かってきたからだ。

 始めの頃は焦点も狭かったのが、一点を見ながら全体を捉えられるようになってゆく。

 感得すると共に観察眼が磨かれていった。

 気がつくと少なくとも自信は持っていいレベルまで育っていた。

 意識にも変化が訪れる。

 (続く)

 

 

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