第43話

 チョコソース問題が公になり、記事にエースの名前が載り始め、更にエースの此れまでの悪事の噂が広まりつつある頃、警察はようやく動き出した。

 萌香という存在について、ジュンは考えていた。

 どこかが、誰かに似ている気がする。だけど、その誰かが分からない。灰色の靄の中にその答えがあるような気もしたが、そこには一生たどり着けないような気がする。

 私は何か大切なものを忘れている。

 大切な、大切な、何かの記憶。

 思い出そうとすると、頭痛が走り、思考がストップしてしまう。

 だが、萌香といるときだけは頭痛は起きないし、寧ろ安心したのだ。

 萌香はどこか、カワイイ妹のような存在だった。

 ジュンに姉妹はいないはずである。

 だが、萌香を見るたび、ジュンには姉妹がいて、忘れているだけではないかとさえ思ってしまったのだ。

 そんな妹のような萌香との縁も、今日で……、

 おしまいにしないといけない。

 

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