ーージュウキュウーー自己受容と自尊心を知る少女

第41話

 余り雪が降らない冬を過ごした。そして、バレンタインもホワイトデーも過ぎて、季節はあっという間に四月になった。

 闇営業をしていたろりぃたいむの責任者キイチは警察の調査が本格的に始まる前に、キャスト達に通告しておくことにした。

「アキハバラもろりぃたいむも今日で俺たちはおしまいだ」

 これは萌香とキイチの電話の一部である。

「この事件のほかに何か危ないことがあったんですか?」

 萌香が訊くと、キイチは諦めたように薄ら笑いをしながら答えた。

「ライチ、ろりぃたいむが違法店だったことわからなかったのか?わからないはずないだろ?まあ、楽しんでくれたならいいんだけど、俺はもう金輪際アキハバラのメイドと付き合っていきたくないね」

「そんな突き放すなんて酷くないですか?」

「そうは言えもう遅いんだよ。暫くは外の景色も見れなくなるんだろうな。そんな俺を知った上でも、腐ったアキハバラに残り続けたいというのなら、俺を抜いて好きにやってくれ、じゃーな」

 キイチが一方的に電話を切って虚無に浸る。そして、携帯電話からろりぃたいむに在籍していた全てのメイドの連絡先を削除して、さあ、行くか……、と腰を上げて扉を開ける。

 騒々しい景色がキイチを囲む。

 キイチがろりぃたいむの扉に触れるのはこれが最後の事であり、それ以来キイチがアキハバラに現れることはなくなってしまい、萌香らの前から消失した。

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