第31話
アキハバラを中心に半年前から流行りだしたチョコソースという薬。一時的な快楽を与え、主に女性に依存性が高い劇薬で、それを広めたのは幸崎の知り合い、エースと言う名の男であったのだ。
エースは今、アキハバラに密かに佇むクラブを占領して、チョコソースに溺れるメイド達を集め、悦に浸っているというのだ。
きっと萌香はそこにいるのだ。そして、あおいもおんぷも。
ジュンはそのクラブを幸崎から教えてもらい、意を決し向かうことを決めた。
だが、その前に……。
ジュンはろりぃたいむへ足を運んだ。
そこにいたのはみかこ。
エースの元へ行く前に、ジュンはみかこの誕生日を祝いに来たのである。
「メグリちゃん、にゃんの事なんかいいのに」
みかこは遠慮がちに言う。
「私がしたくてしたことですわ、気にしないでください」
そう言って、ジュンは白い箱から五号のケーキを取り出して、そのケーキにろうそくを立てていく。
「誕生日を祝ってもらうのなんかいつぶりだろう……、にゃんは嬉しいよ。嬉しくて泣きそう」
みかこが完成されゆく誕生日ケーキを眺めながら感動している。
「さて、それでは、改めまして、みかこさんおめでとうございます」
大人になりたくないと願うみかこの誕生日を祝うのはどうかと悩んだが、みかこは今まででは見せなかったような満面の笑みで「ありがとう」と感謝をしていたので、ジュンはやっぱり祝っておいてよかったと改めて感じたのである。
「みかこさん、私は今から誘拐されたココのメイド達を連れ戻してきますわ」
「そんなの、出来るの?」
みかこはきょとん顔で訊いた。
「全員は……、無理かもしれません、ね。でも、なんとかしますわ。なので、今後、私が居なくなっても、みかこさんは一人じゃないと信じていてください」
ジュンはそう言って、店を出て行ったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます