ーージュウイチーー
第22話
ろりぃたいむに新人メイドが二人追加されたのは三日後の事であった。
その新人メイドの二人は同じ学校の友達同士という事で、源氏名はマイとメロというネームでお給仕をすることとなった。
マイとメロのサポートは萌香に任された。
萌香も先輩メイドとして一人前にお世話をする立場となったのだが、マイとメロは少し生意気な子であった。
みかこに萌香にジュン、マイとメロとお給仕に出れるメイドの数は増えていき再び安定したのだが、その秩序と言ったらあんまり質のいいものではなかった。
「ねえねえ、ライチちゃん」
マイがため口で萌香に話しかける。
「メロが今日休みなんだけどさー、何をしているか知ってるぅ?」
「え? わかんないです。どうしているんですか?」
萌香が訊くと、マイは含み笑いで言った。
「パパ活だよ、ぱ、ぱ、かつ」
萌香は、ん? と微妙に首を傾げる。
「まさか知らないの? パパ活」
「聞いたことがないです」
その返しだけで萌香がいかに純粋であるか、しっかりとわかった。
「パパ活。最近の女の子なら知っていて当然だと思っていたなぁ。ご飯を一緒に食べるだけでお金が貰えるし、中に入れないけど手でヤッてあげるだけで簡単にお金が貰えるんだよ。メロは今日そのパパと会っていて休みを入れているってわけーだよん」
萌香は全く興味がなかったが、またマイが興味をそそらせるような話をしだした。
「ライチちゃんもお金に困ってたりしない? 好きなものが欲しいとか、好きな人に貢ぎたいとか、大学に行きたいとか。もし興味あったら一回マイのパパ紹介してあげてもいいよ? いや、寧ろしてみなよ!ハマるって!」
そこで、萌香は渋った。
好きなものが欲しいは我慢ができる。貢ぎたい人なんていない。だけど、萌香は大学へ進学したいと心の隅で思っていたのだ。
「大学には行ってみたいかな」
「貯金必要でしょ? でしょ?」
「……う、うん」
萌香は少し引き気味であったが、食い気味にマイが色々言ってくれるものだから、ちょっぴり興味が出てきてしまったのだ。
「でも大げさにやりすぎると、けーさつが補導しに来るから注意ね。メグリちゃんにもみかこちゃんにも秘密。ライチちゃんはなんかハマりそうな顔していたから誘っちゃったけど」
マイは言いながら、体を前のめりにさせ、しーっと人差し指を口の前に突き出しにやりと笑う。
「は、はあ」
「それじゃあ、マイのパパに伝えておくから、ライチちゃんの連絡先教えてくれる? 明後日くらいに休み取って遊んでくるといいよぅ」
新人メイドというのに萌香より場を仕切っているマイ。
本当に新人か? と思ってしまうが、今時の女子学生は大体こんな子が多く、萌香が少し遅れているだけなのだ。
メロは翌日、遅めに出勤してきてマイと更衣室で着替えをしてのうのうと何事もなかったようにメイドになり切っていた。
萌香は昨日どうだったか聞いてみたかった。
「あの、マイさん、少しいいですか」
「なに?」
「メロさんは昨日どうだったんでしょう」
もじもじと萌香が訊いてみると、マイは気軽にメロを呼びだした。
「メロに聞いてみればいいじゃん、メロ、ちょっと来てよー」
「なになに?」
「ライチちゃんが昨日パパとどうだったー? ってさ」
マイはそこそこ大きめの声で話をするので周りに聞こえていないか少し心配だ。
メロは「しっ」とマイの大きな声を封じる。
「ライチさんはもう知っているんだ。昨日はご飯いってホテル行って久しぶりにちょっといれて二十くらいゲットした感じ、簡単だったよ」
メロが小さな声で萌香に教える。
メロの言っている事を萌香は全部理解できなかったが、何となく安全なのだと思い、明日休みを取る事を本格的に決めたのである。
実際のところメロは安全のあの字もない行為をしていたのだが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます