第9話
明け方まで店内は騒がしいままであったが、午前四時になってようやく店は閉店した。
みかこがふああ~、と大きな欠伸をする。
「こんなに気合を入れたのは久しぶりにゃあ……、今日は疲れたからぐっすりにゃあ~」
「うんうん、疲れたねー。でも皆よく頑張ったよ」
後片付けを終えたあおいが、みかこの頭をよしよしと撫でながら言った。
「いやはや、やっぱりあおいもおんぷもプロ意識が凄いね。開店から一度も休憩とってなかったよね?ずっと歌ったり踊ったりしてさ、よくあんなに体力持つなぁって思ったよ」
リリアが感心しながらあおいとおんぷを称賛する。
リリアが頑張っていなかったというわけではないが、確かにリリアはあおいとおんぷに比べたら、気を抜いていたかもしれない。そもそも、元々リリアはそんなに積極的なタイプではなく、どちらかというと冷静沈着な大人というタイプなのだ。普通にしていれば最年長のお姉さんと間違われてもおかしくないが、良い感じのツンデレ具合が幼く見えてしまうのだろう。なので、リリアのファンはツンデレのツンのリリアに罵られたいマゾか、デレの恥ずかしがっている姿を鑑賞したいというサドで極端に分かれるのだ。
「でも私も疲れたには疲れたんだけどねー。じゃ、先に着替え失礼するねー」
リリアは更衣室の中へ入っていった。
メイド達は全員眠そうで、営業中の笑顔はどこへ行ったのやら、皆、疲労しきっていた。
気を張っていたのは萌香だけでなく他のメイド達も一緒だったようで、今日の営業はろりぃたいむの中でも異例の接客だった。
リリアの次にみかこ、おんぷ、あおいと順に更衣室で着替えを済ませて、午前四時三十分には、皆、外へ出ていて、日の出とともにメイド達は解散をした。
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