第44話 本番
⸺⸺ブライリアント城前⸺⸺
今日はクロードのご両親と、婚約候補の令嬢様がこの王都へ来られる日。
クロードが城の前で緊張気味に待つのを、今日は私も野次馬組として見守る。
あれからクロードは、
そう思っていると、城から妖精のような可愛らしい女性がマルクス様に連れられて出てきた。その容姿に私は思わずこう呟く。
「うわぁ可愛い……妖精さんだぁ」
エルフは男と女で見た目が全然違い、女性のエルフは背が120cmくらいと小さく、背中には小さな妖精の羽がついている。
絵に描いたような妖精のお姫様だ。
「クロード様、お待たせしてしまい、大変申し訳ございません。わたくしエルセイジ王国のシャーロット・リンディスと申します。本日はよろしくお願い致します」
シャーロット姫はゆっくりとお辞儀をする。
「わりぃな、クロード。ちょっと手続きに時間がかかっちまって、遅くなっちまった」
と、マルクス様。
「いえ、問題ありません。リンディス公爵家のシャーロット様。お会いするのは10年ぶりくらいでしょうか。一層お美しくなられて、思わず見惚れてしまいました」
「まぁ、クロード様、覚えてくださっていたのですね! そんな、恥ずかしいです……」
そのクロードの生まれ変わった一言に湧き上がる野次馬。
「第一関門クリアだぜ!」
と、ジャン。
「クロード、別人みたい……」
私は練習台になった時の悲惨さを思い出す。
その時、ふと真後ろからした声に、野次馬はみんなど肝を抜かれることとなる。
「あの子にとって、ここがもう第一関門なのですね……」
「!?」
みんなが驚いて振り返ると、エルフの男女が私たちに混じって立っていた。
「うわぁ、クロードのこと気にしすぎて全然気配分からなかった……」
ジェイミがそう言うと、レオンとジャンもうんうんと頷いていた。
「それだけ息子のことを気にかけてくれているのだな。まぁ我々も気配を消してはいたが……」
と、エルフの男性。
「息子!?」
え、お父さんもお母さんもめっちゃ若いんだけど!?
「申し遅れた。エルセイジ王国国王のメルキオル、こちら妻であり王妃のビクトリアだ」
お父様がそう言って丁寧にお辞儀をするので、私たちも揃って頭を下げる。
ってか、国王様と王妃様なのに、そこら辺の人と同じ格好をして王都の雰囲気に馴染んでるな……。
そしてクロードの同居人としてそれぞれ自己紹介をし、お父様とお母様も私たちに同行することとなった。
なるほど、影からこっそり見ようと思ってたから、普通の格好をしてるんだ。
でも、こうやって影からこっそり見守るあたり、良いご両親なのでは? と、私は感じ始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。