第45話 練習の成果
野次馬メンバーに虎丸さんがシュッと急に加わる。
「わっ、虎丸さんお久しぶり~」
「さくら殿、久しぶりだ。本日は
「うんうん、一緒に行こ~」
私がそう言って微笑みかけると、虎丸さんは顔を赤くして「かたじけない」と返した。
そうこうしているうちに、クロードが動き出す。
「ではシャーロット様、馬車を用意しましたので、こちらでまずは博物館へ向かいましょう」
「まぁ、ありがとうございます!」
クロードはシャーロット姫が馬車に登る際、手を差し出してそっとフォローをしていた。
「く、クロード、馬車なんて気がきくなぁ……!」
ルシオがたどたどしく言う。「そ、そうだね」とジェイミ。
それに対しお母様がズバッとこう言い切る。
「あなた方のどなたかが手配してくださったのですね。ルシオですか?」
「えっと……それは……すいません……俺が手配しました」
ルシオはそう申し訳なさそうに自白をした。
「良いのです。それはあの子を気遣ってのこと。ですが、私たちへの芝居は必要ありませんよ」
「ごめんなさい……」
ジェイミも申し訳なさそうに謝った。
⸺⸺ライヴィリア歴史博物館⸺⸺
「シャーロット様、ここはブライリアント王国最大級の博物館となります」
と、クロード。
「まぁ、本当に大きくて立派な建物です!」
シャーロット姫は嬉しそうだ。
「こちらにお手洗いがございますが、一度休憩しましょうか」
「まぁ、ありがとうございます! 少し行って参りますね」
「あれ僕の案だよ。トイレ見かけたら絶対言ったげてって言ってある」
リュカがそう嬉しそうに言う。
⸺⸺
そして案内板の前にて。
「シャーロット様は気になる項目はありますでしょうか?」
「そうですね……わたくしこの“クラン”というものが気になります」
「承知しました。では2階へ参りましょう」
「あ、あれ私が言ったの。全部は広すぎてめっちゃんこ疲れたから、興味がありそうなの聞いたほうがいいよって」
私はそう自慢げに言った。
⸺⸺
そしてデートは順調に進んでいき、レストランでのディナーへと移る。
私たちもあらかじめ予約しておいた周りの席につき、会話を伺う。本日このレストランは、黒狼の牙の貸し切りです。
すると、私たちの想定外の彼の本性が明らかとなる。
「そう、さくらというのが珍しいヴァーデルンで、笑顔が素敵な女性なのです」
「まぁ、そうなのですね……」
笑顔が素敵!? クロードそんなこと一言も言ってくれたことないじゃん!
「レオンハルトは一見無口で無愛想な男ですが、視野が広く、物事を冷静に判断できる、リーダーとして尊敬のできる男です」
「そうですか……」
「ごほっ……!」
私のすぐ隣でレオンがむせる。
それからもクロードはメンバーのことを嬉しそうに話していて、特に私の話をする時は顔を赤らめていた。
「クロード様は、さくら様がお好きなのですか?」
「え、なぜでしょう?」
シャーロット姫の問いに、不思議そうに問い返すクロード。
「さくら様のお話をしている時のクロード様は、とても幸せそうに見えます。わたくしの入る余地はないのだなと、感じてしまいました……」
彼女はそう言って寂しそうに微笑んだ。
「! それは……すみません……つまらない話をしすぎてしまいました……」
「わっ……ヤバい……」
焦る私同様、周りからも焦りが感じられる。
まさかクロードがこんなに嬉しそうに私たちのことを話すなんて思わなかったよ……。
「いいえ、良いのです。本日クロード様……いえ、クラン黒狼の牙の皆さまがわたくしのためにたくさん気遣って下さったこと、大変嬉しく思います。国王陛下、王妃殿下、わたくしは本日幸せでございました」
「何!? なっ、父上、母上!?」
クロードは自分の両親が野次馬に混ざっていることを知り、驚きを
ここからエルセイジ夫妻によるネタバレが始まる。
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