第14話 ツンデレの匂い
私とレオンは役場を出て『クラン支部』というところへ向かっている。
レオンはさっきの私が息を切らしていたこともあってか、後ろを歩いている私のことをチラチラと振り返りながら歩いていた。
「レオン、私大丈夫だよ」
「っるせぇな……お前の大丈夫は大丈夫じゃねぇんだよ……」
そう顔を赤らめて言うレオンに、私はキュンとする。
あれ、まさかレオン……ツンデレですか?
ドS俺様のツンデレ系男子ですか?
私……ちょっとMっぽいところあるので大好物です……。
「じゃぁ、隣、歩くね。そしたら後ろ見なくてもいいから……」
恥ずかしいけど……。
「っ! はぁ……」
レオンは顔を赤くしながらため息をつく。
多分私たち今両方顔を赤くして並んで歩いてる……。
「あの……ごめんね。リーダーだからって、こんなことに付き合わせちゃって……」
「チッ、お前は謝りすぎなんだよ……」
「で、でも……ホントに悪いと思ってるから……」
私がシュンとうつむくと、レオンは頭をかきながらこう言った。
「朝は……その、悪かったな……。女、慣れてねぇから、対応が分かんねぇ……。昨日、いきなりあんなハプニングがあって、お前の顔見ると思い出しちまうというか……」
レオンはまた思い出しているようで、耳まで真っ赤になっていく。
「と、とにかく、調子、狂うんだよ……。それでジャンの野郎にイチイチツッコまれるのもうぜぇしな……」
そう必死になって語る彼を見て、私は嫌われている訳じゃないんだなと悟る。
そっか、レオンも私みたいに異性への耐性がないんだ。
え? そんなイケメンで? 女子わんさか寄ってくるでしょうに……。まぁ、それは今は置いておこう。
「あ、私も男の人としゃべることそんなになかったし、レオンと一緒……私もあの人間になった瞬間思い出しちゃう時あるよ……いきなり黒歴史刻んで恥ずかしすぎて死ねるよ……」
「……お互い災難だったな……」
「うん、本当に……でも、レオン、話してくれてありがとう。ちょっと嫌われてるのかなって思ってたから、すごく安心した」
それに、レオンがそうやって話してくれたことで、レオンとも話しやすくなった気がする。
「別に俺は嫌いな訳じゃ……あっ、これは別に口説いてるんじゃねぇからな!? あの壁ドンとか言うのも口説こうとしてしたんじゃ……」
「あはは、分かってるよ。焦ってるレオン、ちょっと可愛い……」
私がそう言って大笑いすると、レオンは“ツン”に戻ってしまった。
「か、かわっ!? てめぇ、調子乗ってんじゃめぇぞ……! クソッ、さっさとメンバー登録済ませんぞ……!」
レオンは急に早歩きでスタスタと歩いて行ってしまう。
「あぁぁ~、レオンごめん! 待ってー!」
こうして私はレオンとの仲もちょっとは(?)良くなり、無事にクラン“黒狼の牙”へのメンバー登録もしてもらえたのであった。
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