第13話 王都民
洗濯物を干し終えてバルコニーから出ようとすると、ジェイミに腕を掴まれる。
「待って、さくら……!」
「ひゃぁっ! ど、どうしたの?」
イチイチ大げさな反応をしてしまう私。そんな私の反応を見て、ジェイミは頬を赤らめながらパッと手を離した。
「あっ、ごめん……。これから、レオンと登録に行くんでしょ? 僕も一緒に行こうか?」
「あの……そもそも、登録って何?」
「あぁ、ここブライリアント王国、王都ライヴィリアへの国民登録と、僕らのクラン“
あ、そういう登録か。役所で住民票の登録するみたいなそういう感じね。
「そういうことかぁ……それなら尚更、ちゃんとレオンにここのアジトの一員だって認めてもらうためにも、ジェイミに頼る訳にはいかないよ。私、レオンと2人で行ってくる」
私がそう言うと、ジェイミは少し寂しそうな表情を浮かべた。
「そ、そっか……分かった。じゃぁ、僕アジトで待ってるから、帰ってきたら次は僕と買い物に行こうね。ベッドマットとか、ルシオの借り物なんでしょ?」
「あっ、そうだった! うん、それはお願い~。でもジェイミ、クエストとかに行かなくていいの?」
「僕今日休みの日だから、大丈夫」
ジェイミはそう言ってニッコリと笑う。
「そっか、じゃぁ、急いで行ってくるね!」
「うん、行ってらっしゃい……」
私がバルコニーから家の中へ入っていくと、ジェイミは私に聞こえないよう小さな声でこう呟いていた。
「えー、レオンに取られちゃうのやだな……」
⸺⸺ライヴィリア役場⸺⸺
私は歩幅の全然合わないレオンを必死に追いかけながら役場へと入る。
「ふぇ……着いた……」
はぁはぁと息を切らす。
「ん? 何でお前そんなに……?」
レオンは不思議そうにこっちを見ると、多分私が息を切らしている理由が分かったらしく、急に慌て始める。
「お前、速いなら速いって言えよ……」
いやさっき口答えするなって言ったのお宅でしょうが。
「だ、大丈夫、大丈夫……」
レオンがそんな風に優しくなったりドSになったりする理由が私には分からなかったので、とにかく嫌われまいと無理に笑って見せた。
するとレオンはチッと舌打ちをして、頭をかきながら受付の方に行ってしまったので、私も追いかける。
そして、私は正式にブライリアント王国という国の、王都民となる手続きを済ませた。
⸺⸺住民登録完了のお知らせ⸺⸺
名前『サクラ・カヅキ』
種族『ヴァーデルン』
生年月日『ヴァース暦1662年2月2日』
住所『ブライリアント王国、王都ライヴィリア、居住層245番地』
⸺⸺⸺⸺⸺⸺⸺
ちなみに私の年齢は良くわからなかったので、18歳っていうことにした。
種族はレオンに言われるがままにヴァーデルンと書いたけど、受付のお姉さんはちょっとビックリしていた。
次は、クラン黒狼の牙へのメンバー登録だ。
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